進撃の巨人』は、正体不明の巨人たちから身を守るため大きな壁のなかで生活している人類を主役にした諫山創の漫画だ。物語が進むにつれ、その壁は世界の残酷な真実から民衆たちを遠ざけるための覆いでもあったことが明らかになっていく。城壁は身を守るための砦なのか、はたまた自由を拘束する牢獄なのか。そんな『進撃の巨人』を思想史的に翻案・再演したかのような税込み一万円超えの重厚な一書が今年一月に刊行されていたこと