タワーレコード・嶺脇育夫社長(写真中央)とNegicco(写真左)、LinQ(写真右)のメンバー。

写真拡大

■ダウンロード時代にアイドルが売れる理由とは?

 AKB48の大ブレイクで、史上最大の盛り上がりを見せるグループアイドル業界。果たして今後はどんな展開になるのだろう? てことで、そこらへんを教えてくれる先生をお招きしました。タワーレコード(以下、タワレコ)社長の嶺脇育夫(みねわき・いくお)さんで〜す!!!

 まずは嶺脇氏がなぜ先生に最適なのかを駆け足で説明しよう。彼は東京・新宿店の店長就任後、働きまくってヘトヘトになっていた。そんなある日、テレビでモー娘。を見かけ、「かわいいなぁ?♪」と癒やされ、アイドルにハマった。その後は個人的に楽しんでいたが、しばらくすると仕事でもアイドル好きを前面に出した。

 まだまだ洋楽やロックが主力商品というなか、アイドル系コーナーの拡大展開を店長会などで訴え始めたのだ。これはショップのブランドイメージを考えると非常に勇気のいるチャレンジだったが、結果、集客力アップにつながり、コアなアイドルファンたちの間から絶大な支持を得る存在となった。

 その後、取締役を経て社長に就任したのだ。 ね? 適任でしょ? てことで、そろそろ本題に進むぜっ!!

     *     *     *

――先生! 現在のアイドル市場はバブルな気がするのですが?

 昨年のオリコンチャートを見ると、1位から100位のうち、約70%がAKB系、ジャニーズ、K−POPのアーティストでした。これは特殊な状態だとは思いますが、一過性のものでもないと考えています。

――バブルはハジけないと?

 ブームとしてサッと消え去ることはないと思います。AKB48さんでいえば、総選挙や握手会、じゃんけん大会など、前例のない“ファン参加型”の企画がウケた。今後も新しい挑戦を続けていくことでしょうから。

――前例がないんだから、過去と比べても意味ないってことか!

 はい。また、彼女たちは運でブレイクしたのではなく、5年以上も努力してここまできている。あっさり消えるなんてことは絶対にないでしょう。

 視点を変えると、例えばロックバンドでは、ビジュアル系のセールスが好調です。つまり、ユーザーは視覚的な要素を重要視しているということでしょう。

――ダウンロード時代のCDには、購入特典やパッケージの付加価値、ビジュアル要素を備えた作品が売れるってことだね!

■ハロプロ復権で“二大勢力”が激突!? ブレイク寸前の大注目グループは?

――とはいえ、永久に好調が続くとは思えないのですが?

 落とし穴はいくつかあります。アイドルファンのニーズは日々変化していきます。それをしっかり読み取ることが大切です。読解を間違えると、一気に反感に転じる危険性もあるので注意が必要ですね。さらに、現在の好況を維持していくためには、AKB系以外のアイドルグループも伸びることが大切だと思います。

――どーいうこと?

 AKB48さんが、アイドル業界の市場規模を画期的に大きくしてくれた。わかりやすくいうと、一般の人が「アイドル好き」だと発言することに抵抗感がなくなったと思いませんか? これって、今までアイドル市場に参加していなかった層が大量に流入している証拠なんですよ。

――確かに学校や職場で、AKBの誰それが好きかという会話をしても、引かれるどころか女子ともオトナとも会話が弾むもんなあ!

 この市場規模が少しずつ縮小していくときに発生する若干の“スキマ”に、ほかのアイドルが入り込むこと。これがアイドル業界全体の景気を刺激し、市場規模の維持につながると思うんです。

――スゲー! アイドルの話をしていたら経済学みたいになってきた。