路線価、「北千住」が「六本木」超え…大都市の狭小住宅トレンドは“スペパ住宅”
相続税や贈与税を計算する際の目安となる「路線価(1月1日時点)」が7月1日発表された。全国の路線価の平均は5年連続で上昇し、今年は前年比2.9%プラスを記録した。東京23区は4年連続ですべての土地価格が上昇している。
住宅街での「民泊」が実質制限へ 国際イベント終了などが背景に
都内で上昇率2位となり、住宅地で際立った伸びを見せたのは、足立区北千住付近だ。「北千住駅西口駅前広場通り」は、1㎡あたりの価格が872万円に達し、「六本木けやき坂通り」を上回る水準となった。駅周辺の大型商業施設の誕生や大学の誘致により若い学生が集まるなど、再開発が進んだ結果である。
ただ、北千住駅はもともと、JR・東京メトロ・東武線・つくばエクスプレスの5路線が乗り入れる一大ターミナルで、各社の1日の利用者数を合算すると東京駅よりも多く、東京では第4位だ(1位新宿駅、2位渋谷駅、3位池袋駅)。今回の結果は不思議ではないのだ。
「港区」や「六本木」は“ブランド”かもしれないが、利便性の高い北千住は今回、本来あるべき評価を得たといえる。
都内の商業地で強さを見せたのはインバウンド需要に沸く浅草だ。上昇率トップは浅草の「雷門通り」で、1㎡あたりの価格は前年から約160万円高の737万円に達した。
インバウンド効果は、地方のリゾート地でより顕著に現れている。全国の上昇率トップ3を占めたのは、長野県白馬村、野沢温泉村、北海道富良野市だ。白馬村は、昨年1㎡あたり4万9000円だった地価が今年は6万5000円へと跳ね上がり、32.7%の上昇率を記録した。
全国の県庁所在地別で上昇率トップだったのは、佐賀市の佐賀駅前で、前年比17%増の1㎡あたり27万5000円となった。佐賀県東部は福岡市へのアクセスが良いため、福岡のベッドタウン的側面もある。
地価の上昇で狭小住宅の工夫がトレンド
専門家らは今後もしばらくは地価の上昇傾向が続くと見ている。しかし、建設資材や人件費の高騰、金利上昇などで上昇ペースが鈍化する可能性もあり、見通しは不透明だ。そして、住宅価格の高騰により、いくつかの新しいトレンドも出てきた。
国土交通省の統計によれば、「1戸あたりの床面積」は、分譲マンションで95.9㎡(04年度)から88.2㎡(24年度)と狭くなった。戸建てでも、134.2㎡(04年度)から113.2㎡(24年度)と狭くなっている。これは全国平均なので、都市部に限れば、もっと狭くなっていると考えられる。
そんな狭い住宅のトレンドは“スペパ住宅”だそうだ。「スペパ」は「スペースパフォーマンス」の略で、限られたスペースをどういう間取りで工夫しているかを意味する。例えば、天井を高くして視覚的に広く見せるような工夫や、壁にキャスターが付いていて、家族構成により壁が簡単に移動できるような作りも人気だ。
また、最近は「0LDK」と表示されているマンションもトレンドになっており、構造的には「1R(ワンルーム)」とほとんど同じだ。最大の違いは、玄関、キッチン、ベッドスペースの間に仕切り(ドアや壁)がないことで、玄関を開けると、部屋の奥まで見渡せる。専有面積が狭くても視覚的に広く、明るく感じられるとのことだ。
文/横山渉 内外タイムス

