名古屋市役所屋上で蜂蜜採れる? ミツバチ育成中

地上45メートルのビル屋上で「金シャチハニー」と名付けられた蜂蜜がひそかに育まれている。名古屋市が通常は立ち入り禁止の市役所西庁舎屋上で、環境保全活動の一環として3月から養蜂に取り組む。7月下旬までに約20キロの採蜜を見込んでいる。イベントなどで配布・販売し、生物多様性への関心を高める狙いだ。
5月中旬、屋上を訪れると、セイヨウミツバチが飛び交っていた。巣箱に収められた「巣枠」には黄金色の蜜が詰まっていた。この日は晴天で風も弱く、ハチたちは穏やかな様子。当初は約1万匹だったが、4千匹程度増えているといい、蜂蜜作りは順調そうだ。
きっかけをつくったのは、名古屋学院大教授で市養蜂組合長の水野晶夫氏。「蜂蜜を通じて都会の豊かな自然を感じてほしい。市や周辺地区の魅力向上にもつながれば」と打診した。
市側も生物多様性の啓発につながると、政令市では初となる市役所本庁屋上での養蜂を決めた。組合側が瓶詰め作業を障害者施設に依頼し、啓発に加え雇用拡大にも一役買っているという。
水野教授は、市役所周辺には蜂蜜作りに問題ない環境が整っていると説明。名古屋城や名城公園など、ミツバチが生きる上で必要な花や緑が広がり、農薬の心配も少ないからだ。「ミツバチは緑がありきれいな環境でしか生きられない。日本では危険な昆虫という印象もあるが『ミツバチがいる=安全な街』という意識が市役所から広がれば」と期待する。
市は、成功すれば来年も継続したい考えで、担当者は「ハチのおかげで花粉が媒介され、私たちは蜂蜜を食べることができる。生物のつながりを知る最初の段階として蜜を手に取っていただければ」と話した。

