【磯山 裕樹】「授業料は無料」のはずが…娘を私立高に入れた年収500万円40代シングルマザーにのしかかった”手痛い出費”
高校授業料の無償化によって、私立高校を進学先として考えやすくなった家庭は増えています。以前なら「授業料が高いから難しい」とあきらめていた学校も、子どもの希望や学校の特色を重視して選びやすくなりました。
しかし、「授業料の心配が減るなら、私立高校でも何とかなる」と考えていると、入学後に思わぬ負担に直面することがあります。
今回ご相談いただいたのは、高校2年生の娘さんを育てる40代のシングルマザーの方です。年収は約500万円。
入学前は、私立高校ならではの手厚い学習サポートに期待していました。ところが実際に高校生活が始まると、学校説明会だけでは見えなかった現実が、家計に大きくのしかかってきたといいます。
「授業料は無料」のはずなのに、なぜ家計はラクにならなかったのか。1級ファイナンシャル・プランニング技能士で、『一度始めたらどんどん貯まる 夫婦貯金 年150万円の法則』著者・磯山裕樹さんが事例をもとに解説します。
学校の学習サポートがあれば、塾代はかからないと思っていた
娘さんが入学した私立高校では、放課後の校内学習サポートが用意されていました。
学校説明会では、
・専属講師が常駐
・授業の予習復習
・宿題サポート
・定期テスト対策
・大学受験指導
まで幅広く対応すると説明を受けていたそうです。
そのため、ご相談者の方は、
「これだけ学校内のサポートがあるなら、塾に行かなくても大学進学を目指せるのでは」と考えていました。
私立高校なら、公立にはない手厚い学習サポートまで受けられる。
そう期待するのは自然なことだと思います。
それでも娘が「塾に行きたい」と言った理由
ところが、実際に入学してみると、学校の学習サポートは、授業形式というよりも、自分で勉強を進めながら、分からないところを質問するスタイルが中心でした。
もちろん、定期テスト対策としては十分役立ちます。
授業で分からなかったところを質問したり、宿題を進めたりするには良い環境です。
ただ、大学受験を見据えたとき、娘さんには少し物足りなさがありました。
特に苦手科目については、
「自分で勉強して、分からないところを聞く」
という形ではなく、
「最初から苦手なところを整理して、効率よく教えてほしい」
という希望がありました。
保護者としても、大学受験に関する情報や進路のアドバイスについては、塾の方がより具体的で的確だと感じる場面があったそうです。
さらに、子どもが勉強する場所も想定外でした。
学校にも自習スペースはあります。しかし、
・18時半以降は利用できない
・テスト期間中も利用時間が限られている
など、利用時間に制約がありました。
家ではなかなか集中できない子どもにとって、塾の自習室を使えることは大きなメリットです。そのため、娘さんだけでなく、周りにも塾を利用している生徒が少なくなかったそうです。
結果として、
「私立高校に入ったから塾代が不要になる」
とはなりませんでした。
「塾なしでいけるはず」が、年間100万円近い負担に
実際にかかっている塾代は、次のような内容でした。
個別指導が90分で週2回。
さらに、集団授業が週1回・80分。
これで毎月約55,000円です。
年間にすると、55,000円 × 12か月 = 660,000円です。
さらに別途、
・教材費
・夏期講習
・冬期講習
などが加わります。
そのため、塾代だけでも年間100万円近くになり、家計の大きな支出になっています。
授業料の無償化によって、私立高校を選びやすくなったことは確かです。
しかし、大学進学を見据えたとき、学校の学習サポートだけで十分かどうかは、子どもの性格や学力、志望校によって変わります。
今回のご家庭では、学校のサポートに期待していたものの、実際には塾代が大きな負担になりました。
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ただ、私立高校で見落としやすい支出は、塾代だけではありません。後編記事〈塾代だけじゃなかった…「授業料無料」の私立高で40代シングルマザーを追い込む"想定外の60万円"〉では、入学後に見えてきた「授業料以外のお金」について見ていきます。

