その行動、「困ってる」のサインかも…発達障害の子どもに関わるときに忘れてはいけないこと
落ち着けない、こだわりを抑えられない、気持ちを切り替えられない……発達障害を抱える子には「できない」ことが多く、保護者の悩み・教師の負担となっている。“いずれはきちんと自立してほしい”そう考えると少しでも「できること」を増やしておきたいところだが、どうすればいいのか。発達障害の臨床に長年携わる医師2人が総力を挙げてつくった著書『発達障害を抱える子どもの「できる!」を増やす作戦事典』から、とっておきの知恵をご紹介する。
【前編を読む】「片付けない」「手を洗わない」「ゲームばかり」…発達障害の子の「気になる行動」が変わる“接し方”の極意
「好ましくない行動」への対応(続き)
発達障害の子どもの行動を3タイプにわけて捉え、それぞれのタイプに適した対応をするのが、ペアレント・トレーニング(ペアトレ)でした。この記事では引き続き「好ましくない行動」に適した対応法を解説していきます。
【好ましくない行動の例】
宿題をしないでゲームをしている/トイレの後で手を洗わない/おもちゃを出しっぱなしにして片付けない……など
好ましくない行動への対応のなかに、「好ましい行動や代替行動ができるように、子どもを導き強化する」という方法があることは前回記しました。その方法として挙げられるのが、次の2つです。状況に応じて上手に使います。
●子どもへの「指示」の工夫
●「環境」の調整
最初に、“子どもへの「指示」の工夫”についてご説明します。親が子どもに指示を出すときは、苛立ちや怒りといった感情を抑え、穏やかに(C:Calm)、子どもに近づいて(C:Close)、落ち着いた静かな声で(Q:Quiet)、わかりやすい指示を出します。英単語の3つの頭文字をとって「CCQ」と呼ばれるこの工夫は、ペアトレの基本です。
そのほかにも、
・行動の開始や終了までの時間を予告し、子どもに心づもりをさせる
・行動の選択肢を与えて、子どもの意思で行動させるようにする
・たとえば「これができたら、本を読んであげる」というように、報酬を約束して守る
などもあります。子どもが機嫌よく、自然に好ましい行動を実行できるように工夫しましょう。
忘れてはいけない「環境の調整」
子どもの周囲を整えることで、好ましい行動の呼び起こしにつなげるのが「環境の調整」です。たとえば、子どもが宿題に取り組もうとしているとき、集中できるようテレビを消すなど、気が散るような感覚刺激を減らします。
目で見てわかりやすいスケジュールやルールなどを提示して見通しや基準を示し、子どもが納得のうえ、心づもりをして行動できるように導くこともできます。
感覚刺激を減らすことで、好ましくない行動が出るのを未然に防げる場合もあります。
たとえば学校では、大きな声や椅子を動かしたときに出る音などに過敏に反応してパニックになったり、服薬している子は、薬の影響でチャイムの音などをいつも以上に耳障りに感じたりすることもあります。これを「感覚過敏」と呼びます。さらに、ASD を抱えている子には「こだわり」という特性もあります。
これらの特性により、特定のマークやテレビ画面(CM やタイトル画、タイトル文字など)を怖がったり、逆に吸い寄せられるように近づいてしまったり、あるいは他の子どもの声に耐えられず逃げ出す、などといった行動が出てしまう子どももいます。
刺激に反応して「つい、そうなってしまう」のですが、これらの課題を解決する方法として「環境の調整」はおすすめできます。環境を整えることで解決できる課題もあるのです。見える物や聞こえる音に反応しやすいのですから、子どもが困らないように、また、落ち着けるように、室内の環境を静かでシンプルにすることをおすすめします。
「許しがたい行動」とは
ペアトレにおける行動の3分類のうち、最後のひとつは「許しがたい行動」でした。
【許しがたい行動の例】
きょうだいをたたく/椅子や机を蹴とばす/わざと物を壊す など
これらの「許しがたい行動」に対しては、警告・制限を与えるのが基本となります。モラルや社会規範に反する「許しがたい行動」は放置せず、言葉で警告を発したうえで、必要なら正しい罰としての制限を加えます。
もちろん、警告・制限とは、「厳しく叱る」「体罰を加える」ことではありません。どのようなことか、次回の記事で詳しくご説明します。
