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日常生活から仕事まで、私たちがAIに「丸投げ」してしまう場面は着実に増えている。企画書の作成、メールの返信文、スケジュール管理、さらには恋愛相談……。自分では解決できない悩みも、もっともらしい言葉で瞬時に答えを出してくれる。
しかし、AIの答えを正解だと思い込んでしまったとき、取り返しのつかない事態に発展することも。今回は、AIに相手の気持ちを読むことまで丸投げした結果、大切な人間関係を壊してしまった2人の体験を紹介しよう。

◆AIの感情分析を信じて、取引先との関係が崩壊

黒田よいちさん(仮名・30代)は、クライアントとメールのやりとりが多い仕事をしている。膨大なメールの処理に時間を取られていたとき、AIの業務活用に関する記事を見て取り入れることにした。実際、優先度の振り分けにAIを使うことで業務効率は大幅に上がったという。

「最初の頃は、重要なメールなのか、すぐ返信が必要なメールなのかを振り分けてもらって、これがすごく便利でした」

そんな中で、黒田さんは、ある取引先とのやりとりで神経をすり減らしていた。

「先方から届くメールの文面から意図が汲み取れないことが多く、相手が怒っているのか、何を求めているのか、どうしてもわからない状態が続いていたんです。返信のたびに頭を抱えていました。そこで、個人情報に配慮したうえでメールをAIに読み込ませてみたんです」

クライアントは何を考えているのか、どう返信するのが正解なのか……。

AIに相談してみると、「相手は対応の遅さに苛立っている可能性がある」と分析し、謝罪による関係回復策と、返信文まで生成してくれた。

「その分析がすごく理路整然としていて、説得力があったんです。自分ひとりで悶々と悩むより、客観的に見てもらえた気がして、正直ほっとしました」

そして黒田さんは、AIが作成した文面をほとんどそのまま送信したのだった。

◆考えること自体を丸ごと委ねた結果…

しかし、クライアントの真意はまったく別のところにあった。相手は怒っていたのではなく、むしろこちらの状況を気遣ってくれていたのだ。それに対して、過剰にかしこまった謝罪と、やけに事務的な対応案を返していたのだ。そこからしばらく、ぎくしゃくした関係が続いた。

「先方の返信が素っ気なくなり、何かおかしいと思って電話で直接話して、ようやく行き違いが判明しました。AIに返信を委ねるようになってから、先方としては、急にこちらが冷たくなったと感じていたようです。

ただ、一度できた距離はすぐには縮まらず、こまめな連絡と対面で会う機会を増やして、元の関係に戻すまでに数ヶ月かかったと思います」

黒田さんはこう語る。

「人の感情って、文字に書かれた部分がすべてじゃないんですよね。これまでの関係性や、行間のニュアンス、その場の空気があって。AIに渡せるのは、ほんの一部のテキストでしかないのに、私はそこから出てきた答えが『正解』だと思い込んでしまっていました」

そして問題の本質をこう言い切る。

「AIが悪いというより、考えること自体を丸ごと委ねてしまった、自分の使い方が問題だったんじゃないかと思います」

現在、黒田さんは下書きやアイデア出しには今も毎日のようにAIを使っているが、

「相手の気持ちが絡む場面だけは、AIの分析はあくまでひとつの参考として受け止めて、最後は必ず自分の力で判断するようにしています」とのことだ。

◆AIは「よく当たる占い」ではなかった

小島優子さん(仮名・30代)は、意中の相手の感情をAIで読み取ろうとして失敗した経験がある。

小島さんは車椅子を利用しながら障害者デイサービスを活用している。そのデイサービスの施設長・高橋浩行さん(仮名・30代)に、いつしか惹かれていった。