梅雨だる、気象病も東洋医学の新常識とお手軽薬膳でケアできる!【NHK明日から使えるMOOK “新” 東洋医学】
長引く夏の酷暑、短くなる春と秋、熱帯雨林気候化しつつある梅雨。温暖化による極端な気候の変化に体調を崩していませんか? 『NHK明日から使えるMOOK 木村容子&ワタナベマキの “新” 東洋医学 季節の変わり目いたわり薬膳』では、東洋医学の知恵を活かし、これまでの常識をアップデート。さらにワタナベマキさんのお手軽絶品薬膳で、いつでもおいしく食養生ができます。
今回は、これからの時期に悩む人も多い「梅雨だる」「いわゆる気象病」の対処法と薬膳を紹介します。
まずは東洋医学の基礎 五臓六腑と五味
五臓六腑 「五臓」とは、「肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)」という5つの機能のこと。西洋医学でいう臓器(肝臓・心臓・脾臓・肺・腎臓など)と同じ名称ですが、機能は必ずしも一致しません。臓器よりも幅広い機能を含めた概念のようなものです。
その五臓と密接な関係にあるのが、六腑(胆(たん)・小腸(しょうちょう)・胃(い)・大腸(だいちょう)・膀胱(ぼうこう)・三焦(さんしょう))です。五臓の「肝・心・脾・肺・腎」それぞれに対して、「胆・小腸・胃・大腸・膀胱」という5つの「腑(ふ)」が対になっています。もう1つの六腑「三焦」は、水分代謝機能を指す概念です。
表裏一体の関係にある「臓」と「腑」は、互いの働きを補助し合い、影響し合います。たとえば、便秘になるとせきが悪化する場合がありますが、これを肺と大腸との表裏関係と捉えます。せきの漢方薬を追加するのではなく、便通を整える治療をすることで、せきが改善する場合があります。
五味 「薬食同源」という言葉をご存じですか。病気の治療に使う「薬品」と、ふだん食べている「食品」は根源が同じという意味です。
私たちが口にしているあらゆる食べ物に、体に働きかける作用があるとされています。加工して濃縮することで効能を高めて薬になります。
このため、身近な食べ物も自分の状況に合わせて活用することで薬膳になります。
食べ物は「酸(さん)・苦(く)・甘(かん)・辛(しん)・鹹(かん、塩)」の「五味」に分類され、それぞれ五臓や六腑のどれに作用するか決まっています。また、食べると体を温めたり冷やしたりするなどの働きを持つものもあります。
これからの季節に注意したい「梅雨だる」「気象病」の対処法は?
梅雨だる現代の梅雨はまるで亜熱帯
かつて梅雨の時期は、長雨で肌寒い日が多く、暖房をつけたくなるほどでした。しかし今は、温暖化の影響で気温が高く、時々スコールのような豪雨が降るようになりました。まるで亜熱帯のように蒸し暑いため、「梅雨冷え」よりもけん怠感や疲労感といった、いわば「梅雨だる」を訴える人が増えているのです。
東洋医学では、多湿のときは「湿邪(しつじゃ)」、高温のときは「熱邪(ねつじゃ)」という外邪(がいじゃ、外から体に侵入する病因)が体に入り込むと考えます。湿邪の影響が強くなると、体が重だるくなり、むくみやすくなります。熱邪が強くなると、体が熱を持って、けん怠感や疲労感が強くなります。
今回の五臓+α「脾+湿邪・熱邪」
梅雨の時期に最も影響を受けやすい五臓は、「脾」です。消化機能をつかさどる臓で、湿気が多いとき、つまり「湿邪」の影響が強いときには働きが弱まります。すると、胃もたれや食欲不振に見舞われ、熱邪の影響も重なって、ますます「梅雨だる」になってしまいます。
湿邪と熱邪に負けないために、「水(すい)」の巡りをよくする食材を基本として、状況に応じて体の熱を冷ます食材を活用しましょう。
さやいんげんの旬は、梅雨から夏にかけて。梅雨によるむくみを解消する力があります。疲労回復効果のある豚肉と合わせれば、きっとだるさも吹き飛びます!
材料・2人前 豚ロース肉(薄切り)…180g
さやいんげん…8本
梅干し(塩分14%※)…2コ
青じそ…5枚
酒…大さじ1
しょうゆ…小さじ1/2
サラダ油…小さじ2
塩…少々
※塩分10%以下の減塩タイプを使う場合は、少量の塩またはしょうゆを足して味を調整する。
1 豚肉は食べやすい大きさに切り、塩をふる。さやいんげんは両端を切り落とし、縦半分に切る。
2 梅干しは種を除いて果肉をたたく。
3 フライパンにサラダ油を中火で熱し、1を入れて炒める。肉の色が変わったら酒を加えて炒め、汁けがなくなったら2としょうゆを加えてからめ、火を止める。
4 青じそを手でちぎり、3に加えてサッと混ぜる。
いわゆる気象病「気象病」はアプリで予防する
「気象病」とは、気象の変化によって生じる心身の不調の総称ですが、雨の日や台風の日に起こる頭痛やめまい、耳鳴り、けん怠感など限定的な症状を指すこともあります。これらの症状は気圧や気温、湿度の急変がストレスになって「肝(かん)」の機能が低下し、自律神経が乱れることで起こります。さらに「湿邪(しつじゃ)」によって体に余分な水がたまり、リンパ液などの体液の流れが悪くなること(水毒(すいどく)・水滞(すいたい))も原因となります。年齢を重ねると自律神経の調整に時間がかかるので症状が出やすく、また、月経前は黄体(おうたい)ホルモンの影響で水毒になりやすいので要注意です。
肝の機能を健全にするためには、「水(すい)」の巡りをよくすることや、生活のリズムを整えて睡眠をしっかりとることが効果的です。
最近は天気予報の精度が向上し、確度の高い予報が提供されています。天気予報アプリなどで最新の予報を入手して、早めに対策を始めましょう。
今回の五臓+α 「肝+湿邪」
湿度が高い日に「湿邪」が体内に入り込み、「水」の巡りが滞ると、リンパ液や汗などの体液の巡りが悪くなる「水毒・水滞」の状態になります。
自律神経の乱れは、水の巡りにも悪影響を及ぼすので、自律神経の働きを調整する「肝」を整えることが大切になります。このため、いわゆる気象病を予防するカギは、水の巡りをよくすることだけでなく、肝の働きも整えることです。
マスタード風味にパセリの香りをたっぷりプラス。爽やかさでたこのうまみが引き立ち、ワインやビールによく合います。
材料・2人分 ゆでだこ…150g
たまねぎ…1/3コ
パセリ(みじん切り)…大さじ1強
A (粒マスタード…大さじ1 レモン汁…大さじ1 塩…小さじ1/2 オリーブ油…大さじ1)
黒こしょう(粗びき)…少々
1 たこは水洗いして水けを拭き、薄切りにする。
2 たまねぎはみじん切りにし、水に5分間さらして水けを拭く。
3 ボウルにAを入れてしっかりと混ぜる。1、2、パセリを加えて混ぜ、黒こしょうをふる。
『NHK明日から使えるMOOK 木村容子&ワタナベマキの “新” 東洋医学 季節の変わり目いたわり薬膳』ではほかにも、変わりゆく気候を健康に乗り切るための新しい養生法とお手軽薬膳を紹介しています。
◆『NHK明日から使えるMOOK 木村容子&ワタナベマキの “新” 東洋医学 季節の変わり目いたわり薬膳』より
◆写真:邑口京一郎/スタイリング:池水陽子/イラスト:michi
