「リニアに賛成」の言葉とは裏腹に、リニア工事の妨害を続ける静岡・川勝知事の過去発言…「顔のきれいな子は、賢いこと言わないときれいに見えない」

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 元プレジデント編集長で作家の小倉健一氏は「とうてい理解ができないリニア工事妨害を続ける静岡県の川勝知事は、昔から数々の『愚行』で周囲を振り回してきた」という。

リニア工事妨害を続けてきた川勝知事の「共犯」静岡新聞の姿勢の変化

 「リニアに賛成」という言葉とは裏腹に、リニア工事の妨害を続ける静岡県の川勝平太知事。これまで、そんな川勝知事をなぜか偏った報道姿勢で応援をつづける静岡新聞の問題について、私は指摘を続けてきた。

 静岡県内の静岡新聞のシェアは60%を上回り、2番手の朝日新聞を大きく引き離している。2023年1月(ABC協会調べ)で、部数は約53万500部を発行。県民が約360万人、有権者は約300万人であることから、新聞においてはダントツの部数ということだ。リニアの着工の遅れを、JR東海に一方的に押し付ける姿勢は多くの批判を呼んでいる。

 しかし、ここへきて、多少態度は変わったと感じた瞬間もあった。6月7日の社説では、「本県がJR東海に指摘する水資源やトンネル残土置き場への懸念について、これまで沿線都府県と情報共有されてきたとは言い難い。全国的には本県がJRに難癖を付けて工事を遅らせている『悪者』と見られる向きがある」「川勝知事の不用意な言動が本県の『悪者論』に直結することを忘れてはならない」と指摘するなど、川勝知事の問題点についても触れるような態度になっていたからだ。

「なぜ静岡県はリニアの邪魔をするのか」と知人から聞かれる静岡新聞の記者たち

 この若干の態度軟化の背景を吐露しているような記事も静岡新聞に掲載された。8月24日付けの記者コラム「清流」である。

「(他県の知人に)私が今静岡県に住んでいると紹介すると、会話の中心テーマはリニア問題になった。相手は『なぜ静岡県はリニアの邪魔をするのか』と問いただすように聞いてきた。私は本県とリニア工事との関わり合いについて懇切丁寧に『ご説明』した。同時に静岡で今何が論じられているのか知られていないと痛感した」

「本県の動きに疑問を感じるのだろう。でも決して邪魔をしているのではない。情報発信のありようを考えさせられた」

 現在、記者が静岡新聞の記者であることを名乗ると、いたるところで、なぜリニア工事を邪魔しているのかと、詰問されるようなことが起きているのだろう。「本県の動き」というが、多くの人は「静岡新聞の動き」にも疑問を感じているのである。そして、なぜ静岡新聞は川勝知事に徹底的に寄り添うことで、リニア工事の「邪魔」をしているのか、多くの国民、静岡県民は疑問に感じているはずだ。

民間企業だけを叩き、静岡県知事には無批判なメディア

 静岡県においては、新幹線の静岡県内停車本数の増加を求める声が多い。ただ、現状、ダイヤがパンパンでこれ以上、静岡県にある駅に停車する「ひかり」や「こだま」の本数を増やすことができないのが現状だ。

 こうした現状を打破する策として、リニア新幹線が開通した暁には、静岡県に停車する新幹線の本数を増やすことをJR東海は約束していて、これは静岡県民にとっての確実なメリットなのである。早期に開通することで、静岡県民のメリットに繋がる話を、川勝知事は妨害工作でぶっ潰そうとしているのである。

 とはいえ、新聞紙面におけるミスリードは、続いている。

 例えば、9月10日の静岡新聞「大井川流域首長が意見交換会、住民の懸念訴え リニア問題、JR社長に『丁寧な説明を』」という記事だ。この意見交換会は、妨害をする静岡県が参加していないことで、非常に有意義な会となった模様だ。水問題でありえない難くせをつけてきた『田代ダム案』についても、JR東海は「東電RPとの協議が順調に進んでいることを示唆」し、また、参加者もそのことを歓迎した。染谷絹代島田市長は「JRが2年間、地域の不安を払拭しようと努力したことが(首長に)評価され、きょうの雰囲気になった」と述べている。

 にもかかわらず、である。にもかかわらず、静岡新聞は、この内容を紹介する記事のタイトルにわざわざ『住民の懸念訴え』『リニア問題、JR社長に「丁寧な説明を」』とつけるのである。たしかに、そのような発言はあったのかもしれないが、記事の本文と見出しのトーンが違うため、極めて不自然である。そこに、JR東海を少しでも貶しめようとする意図を私は感じた。また、JR東海に「丁寧な説明を」というが、これまでの説明があたかも丁寧でなかったかのような書きぶりだ。丁寧な説明を繰り返しても、ゴールポストを動かし、どうでもいいことを「確認しろ」という難くせをつけつづけてきた静岡県知事には無批判なママである。

NHKが羅列した川勝知事の疑問行動一覧 

 いかに、静岡新聞の報道ぶりが異様かを示すには、NHKの報道と比べるのが良いのではないだろうか。NHKは、中立性を重視する立場から、解釈をあまり入れないように心がけている。扱う題材については「左よりだ」「右だ」と批判を受けることも少なくないが、誰もが認める「ファクト」が前提にニュースがつくられていること(つくろうとしている)ことに異存がある人はあまりいないのではないかと思う。

 NHKは2年前、下記のように報道している。

「川勝平太、73歳。もともとは経済史が専門の学者で、静岡と深い縁はなかった」

「日本航空(静岡便の搭乗率保証金への批判)、県教育委員会(学力テスト低位に憤り)、静岡市長(静岡市廃止論や病院移転先をめぐる対立)など、川勝の“口撃”を受けた相手は枚挙にいとまがない。その政治スタイルゆえの“失言”も繰り返されてきた。2019年には、肝いりの文化施設構想の規模を疑問視する自民党県議らを念頭に『ヤクザ、ごろつきもいる』と発言し、『反対する人がいたら県議の資格がない』と議会での議論を軽視するような発言をした。2020年には、日本学術問題の会員任命問題をめぐって『菅義偉(当時首相)という人物の教養のレベルが露見した』と述べ、『学歴差別だ』と批判を浴びた。(いずれの発言も、のちに謝罪・撤回)」

「またしてもリニアを軸にした川勝の絶叫によって聴衆は沸きに沸き、選挙戦の雰囲気は一変した」

過去には学力と容姿を結びつけるような発言も

 ((2021年)11月の騒ぎを振り返りながらこの原稿を書き終えようとしていたところ、川勝の別の失言が新たに発覚した。6月の県知事選期間中に候補者として招かれた集会で、自らが学長を務めた大学の学生についてだ。この発言は、学力と容姿を結びつけるような発言をしたとして報道された。

「(学生の)8割くらい女の子なんです。でも11倍の倍率を通ってくるんですから、もう皆きれい。顔のきれいな子は、賢いこと言わないときれいに見えない」

 NHKは、自身の報道を振り返ってこう「反省」を述べている。

「(2021年)10月23日のコシヒカリ発言の演説はわれわれも取材していた」

「NHK静岡が放送したのは(2021年11月)4日の夕方だった。『問題が大きくなってきたら、タイミングを見て、書こう』と考え、なかなか判断がつかなかった。なぜ様子見をしてしまったのか、今後の教訓として生かしていきたい」

 中立性を重視するNHKでも、さすがに最近のリニア工事を巡る川勝知事の対応にはしびれを切らしている様子がうかがえる。今年8月9日には次のように報道している。

「県、そして川勝知事は、これまでの経緯を踏まえてというより、思い付きでやっている感は否めない。知事はリニア新幹線に賛成だと言っているので、いずれにせよ真に建設的な議論を積み重ねて欲しいと思う」

 公共放送のNHKをもドン引きさせていく川勝知事のリニア工事妨害が、一刻も早く終わるのを心から祈っている。