イヤホンの革命児ヒアラブルデバイス「Xperia Ear Duo」は、どんな世界を作り出すのか

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ソニーモバイルコミュニケーションズは4月21日、ワイヤレスヘッドセット「Xperia Ear Duo」を発売した。

Xperia Ear Duoの特徴は次の通り。
・完全ワイヤレスイヤホン
・スマートフォンと連携するヒアラブルデバイス
・周囲の音と音楽の両方が聞ける「デュアルリスニング」




完全ワイヤレスイヤホンとは、
・スマートフォンとイヤホン間がワイヤレス
・左右のイヤホン同士もワイヤレス
となったものだ。
邪魔なケーブルがないため、取り扱いが楽であることから、いま注目を集めているイヤホンである。

ヒアラブルデバイスは、
・音声でのスマートフォン操作
・メールやメッセージ通知を音声で読み上げる
などの機能を持つデバイスである。
主に
・グーグル「Google Assistant」
・アップルの「Siri」
などを利用して様々な情報の確認やデバイスのコントロールができる。

スマートフォンを取り出さなくてもアシスタント機能を利用できるため、メールなどの通知を直接音声で聞くことができる。
スマートフォンの画面を見なくても情報が耳に届く、つまり常にネットワークに繋がっている、そんな感覚で扱えるスマートデバイスである。

Xperia Ear Duoは、これらのアシスタント機能に加え、独自の「Assistant for Xperia」を搭載している。
例えば、
届いたLINEのメッセージに対して音声で返信することも可能だ。
面白いのはAssistant for XperiaがLINEのアシスタント「Clova」を呼び出し、Clovaがアシスタントを引き継ぐ点だ。
このためClova経由での検索や「LINE MUSIC」の操作なども可能となる。

さらにXperia Ear Duoは、これらの最新トレンド機能に加え、独自の「デュアルリスニング機能」を搭載していることも、製品として注目すべき点である。




通常のイヤホンは、ドライバーユニットから発生する音を耳に栓をするように装着し、ダイレクトに音を聞く。

しかしXperia Ear Duoは、少々異なる。
耳の後ろの本体のドライバーユニットからの音を細い音導管を通して、耳の穴いわゆる外耳道を塞がない形で音を伝える仕組みなのである。

つまり、この仕組みにより
・Xperia Ear Duoの音
・外界の音
これがミックスされた状態を聞くことができるのだ。

Xperia Ear Duoでの音の聞こえ方は、
「耳の近くに小さなスピーカーがある」
そんなイメージに近い。

仕様上、低音部の弱さがあり、オーディオ的に音を追求すると厳しい。
しかしリアルな世界の音とイヤホンの音が同時に聞けるAR(拡張現実)体験がこのXperia Ear Duoの革新的な部分なのだ。




電車の中でも
・音楽を聴きながら、車内のアナウンスを聞いて列車の運行状況を把握できる
・メールが届くと差出人、件名、本文を読み上げてくれる
・毎時に時報も知らせてくれ、時間の経過も把握できる
耳元の本体をタッチ操作することで、自分がいる場所に応じて、
・天気予報
・ニュースヘッドライン
も案内してくれる。

実際に使ってみると”ながら”利用に最適なデバイスであるとわかった。

さらにXperia Ear Duoを装着したまま会話ができる。
この点が、ほかのヒアラブルデバイスと大きく異なる点だ。

Xperia Ear Duoは、リアルな世界と繋がったまま、ネットの世界とも繋がることができる。
これは新しい世界感を生み出す可能性を秘めていると言ってもいいだろう。


4月12日に行われたXperia Ear Duoの発表会では、Xperia Ear Duoによる庭園案内の体験イベントも行われた。

これは5月14日から18日まで東京・港区の八芳園で開催される「耳から感じる新しい庭園体験」のイベントを先行体験できるというものだ。




体験イベントでは、貸し出されたスマートフォンとXperia Ear Duoを付けて、ガイドの案内を聞きながら庭園を散策する。
庭園に設置されたビーコンに応じて耳元ではリアルな鳥の鳴き声や、環境音楽が流れ、リアルの音とXperia Ear Duoを通した本当にその場でその音を聞いているかのような仮想の音が融合した新しい体験ができた。

Xperia Ear Duoのデュアルリスニングを利用すれば、
・ガイドの案内を聞きながら、仲間同士で会話もできる。
・庭園の川のせせらぎを聞きながら、天候や時間などのコンディションに関係なくその場に居るかのような鳥の鳴き声も聞こえてくる
こうしたARの利用方法もあるのかという気付きがあった。




発表会ではJALの客室乗務員の業務利用としてXperia Ear Duoが実証実験も開始することも発表している。
Xperia Ear Duoは、個人利用だけでなく、B2CやB2Bなどビジネス利用の可能性も視野に入れたヒアラブルデバイスなのである。


スマートウォッチをはじめとするウェアラブルデバイスは、
従来の腕時計などと置き換えることに成功したのか?
と言われると、まだまだそこまでは至っていない。
特に腕時計は実用性と嗜好性の強いアイテムだ。
このため利便性だけでは、腕時計ユーザーからの反発もあり、スマートウォッチに置きかえきれずにいる。

一方ヒアラブルデバイスは、イヤホンを拡張したデバイスである。
このため、スマートフォン利用者なら抵抗なく受け入れられるのではないだろうか。

さらにソニーは「デュアルリスニング」で、ヒアラブルデバイスの新しい使い方を定義した。
今後は、
・従来型のイヤホン
・デュアルリスニング
この2つがヒアラブルデバイス選びの基準にもなりそうだ。

今後のヒアラブルデバイスは、センサーを利用した機能が充実してくる可能性もある。
例えば、
マップのナビゲーションでは、自分が見ている方向に対してナビゲーションする。これなら見たままで動けるため、迷うことはないだろう。
ARのように「正面にカフェ、右方向にレストラン」など音声で知ることもできるかも知れない。VRゴーグルで左右を覗くかのように、左右を見渡せば音声が情報を知らせてくれるなんてこともできるかも知れない。
また、ヒアリング用の内蔵マイクを利用して周囲の音をより細かく聞くなど、聴力を拡張できる機能などがあっても面白いだろう。

Xperia Ear Duo、そしてヒアラブルデバイスは、久々に夢のあるデバイスの登場といえそうだ。


執筆  mi2_303