「志願者数が多い大学ランキング」TOP10

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志願者数で4年連続トップだったのが近畿大学だ。14万人は1992年の早稲田大学以来の高水準の数字である (撮影:ヒラオカスタジオ)

2017年の一般入試の大きな特徴は、私立大学の志願者が激増したことだ。前年比で約8%増となり、しかも上位から中堅、下位まで、全体的に志願者が増えた。一方で国公立大学の志願者は6年連続減少となる0.2%減だった。ただ、内訳を見ると国立大が前年比0.9%減で、公立大は1.7%増。国立大に比べて、比較的入りやすい公立大の人気は高かった。

2017年に私大志願者が急増した理由


センター試験で総合型の平均点が理系で前年よりダウンし、文系でアップしたことが、文系学部の多い私大に受験生が流れた要因になったようだ。文系の人気が高く理系の人気が低い「文高理低」が続いている。私立大の学部系統別志願者状況を見ると、上位には観光、社会、経済、経営、教養、国際など文系学部が並び、いずれも10%を超える伸びとなった。

トップの観光は前年比87.8%の急増で、東洋大学が国際観光学部を新設したためとみられる。なお芸術、宗教は志願者が少なく、少々の増加でも伸び率が大きくなる傾向にある。

さらに、文部科学省が進める大手私立大の定員厳格化を受け、受験生が併願校を増やしたようだ。地方創生の一環として実施しているもので、大都市圏の私立大が入学者を減らせば、地方の大学に進学する学生が増える、という考えだ。今まで定員の1.2倍まで認めていた入学者を2018年には1.1倍までにする。

昨年、今年はその過渡期であり、入学者が減っているが、入学者を減らすのは合格者を減らすことに等しい。昨年は合格者を減らす大手私大が続出したため、一段と厳しくなると見越し併願校を増やした受験生が多かったことで、志願者数が伸びた。

今年の志願者数トップは4年連続で近畿大学だ。14万人を超え、1992年に15万人超えとなった早稲田大学以来、25年ぶりの水準。前年比でも22.5%増と、2万7000人近く志願者が増えた。近畿大学は近年、総合社会や建築、国際と新学部を次々と設置したほか、クロマグロの完全養殖、ウナギ味のナマズなど、研究力の高さも魅力の一つになっている。現在、メインの東大阪キャンパスの整備を行っており、新図書館などが2020年に完成する見込み。改革力と広報力の高さには定評がある。

法政大が2位、志願者数10万人超えは6校に


2位は昨年の5位から躍進した法政大学。昨年初めて志願者が10万人を超えたが、今年はさらに約1万7000人増加し過去最多を更新した。国際文化学部がセンター試験利用入試を始めたほか、受験生に認知の進んだ英語の外部試験利用入試における志願者が増えた。六大学初の女性トップである田中優子総長が保護者に人気ということもあるようだ。

今年は早稲田大学(3位)、明治大学(4位)、日本大学(5位)、東洋大学(6位)までが10万人を超えた。志願者10万人超えが6校となったのは史上初。もっとも、6校の志願者を合計すると70万人を超えており、推定される今年の受験生数66万人を上回る。受験生の併願校がいかに多かったかがわかる。

一方、国公立大トップは、2年連続で千葉大学(65位)。以下、神戸大学(72位)、北海道大学(76位)、東京大学(78位)の順だった。

私立大のほうは、大手の合格者数絞り込みで難化傾向にあり、来年も合格者は減るとみられる。来年も文高理低が続くと、私立大志願者の増加傾向は続き、受験生にとってさらに厳しいものとなりそうだ。

ランキングは「週刊東洋経済臨時増刊 本当に強い大学2017」に掲載しているもので、3月31日時点で志願者数が判明している大学を対象としています。