井上苑子 10代からの支持率No.1 新世代のギター女子「人を笑わすことが“だいすき。”」
天真爛漫なキャラクター、くるくると変わる愛らしい表情、そして儚くもかわいい天性の歌声を持つシンガーソングライター井上苑子さんにインタビューを敢行。インディーズでの活動を経て、満を持して2015年7月にメジャーデビュー!デビューわずか8か月後にはTwitterのフォロワー数が10万人増加するなど、今勢いに乗っている彼女の1stフルアルバム「Hello」が3月16日にリリースされました。このアルバムに込めた想い、高校卒業を控えたリアルな心境、そしてこれから彼女が目指す次なるステージとは。


“JK”から“JD”へ!SNS新世代のギター女子 井上苑子




――まずは1stフルアルバムリリースおめでとうございます。

井上:ありがとうございます!

――ご自身も高校を卒業するタイミングでのアルバムリリースとなり、卒業をテーマにした楽曲も含まれていますが、このアルバムに込めた想いを教えて下さい。

井上:今回は1stフルアルバムということで、インディーズのときの曲も入っていたり、今までの井上苑子のライブで定番になっている曲もたくさん入れて、プラスこのアルバムのために新曲も作りました。なので、卒業だけを意識したアルバムではないんです。このアルバムには、これから私のライブに来てもらった時に絶対やる定番の曲がいっぱい入っているので、お得な! 盛りだくさんな! 1枚になっていると思います(笑)。

――アルバムのリード曲「君に出会えてよかった」は卒業ソングとして制作されたんですよね。

井上:そうです。この曲は卒業をテーマに作りはじめた曲です。高校3年間で自分を変えてくれたのはなんだろう、支えてくれたのはなんだろうって考えたときに、それが私にとっては友達で。その友達と出会ってからの3年間が本当に大切なものだったので、友達への感謝の気持ちとか、これから皆で良いスタートを切るぞ! という気持ちを込めて作りました。

――確かに明るく前向きな楽曲ですよね。それでもやっぱりどこか寂しさも伝わってくるような…。井上さんご自身は卒業することに対して寂しさを感じていますか?

井上:あまり感じてないですね(笑)。卒業式の後にクラスで謝恩会をやるんですけど、たぶんその時ぐらいに、もうこういうこともできなくなるのか…って寂しさを感じるのかな? と思うんですが…。

――まだあまり実感がないですか?

井上:そうですね。卒業しても仲良い子とは遊ぶと思うし、たぶん一緒にお仕事する子もいるだろうし、先生も学校に行けばいるしなぁとか(笑)。そう考えると本当に寂しくないですね。



――ちなみに、卒業後の進路は音楽一本ですか?

井上:実は…今日、大学に受かりまして! 晴れて“JD”になります!(笑)

――おお! おめでとうございます!

井上:ありがとうございます(笑)。いや〜初めてこんなにドキドキしました! 高校のときの合格発表は全然しなかったのに、今回はすごい不安があって…。

――どんな不安ですか?

井上:なんか大学って高校よりも人生が変わる気がして、すごいドキドキしてました…。


『ポジティブに見られるけど、実は根っからのネガティブです(笑)』


――昨年7月にメジャーデビュー、それまではインディーズとして活動されていましたが、音楽と学校の両立は大変ではなかったですか?

井上:そうですね、リリースのときとか、ライブが続いたりすると大変だったなぁって、振り返るとそう思いますけど、その時は自分のやるべきこと、目の前にあることをやってる、頑張ってるって感じだったので、その時に大変って思ったりはしなかったですね。あと、私「大変」って言うのあんまり好きじゃなくて(笑)。

――それは何故ですか?

井上:「大変」って言うことによって友達とか周りの人に気を使わせたりするのが好きじゃなくて。その時はその時で楽しんでやりたいので、だから別に“大変じゃなかった”です(笑)。

――すごいポジティブですね。こうやってお話してるだけでもパワーが貰える気がします(笑)。

井上:でも実は私、基本ネガティブなんです(笑)。

――そうは見えませんが…(笑)。



井上:いや、根っからのネガティブなんです(笑)。歌詞を書くときも、「〜できない」とか否定的な言葉ばかり使いがちで、悲しい歌詞になっちゃうことがよくあったんです。「大切な君へ」ぐらいから、そういう表現はやめようって思って、意識して歌詞を書くようにしたんです。だから、根っからのポジティブってわけではないんです(笑)。

――ポジティブに考えていこうって思ったキッカケはなんだったのでしょうか。

井上:私もともと自分に自信がなくて。歌も好きだし、自分の歌も好きだけど、どこか自信がなくて。そういう話をボイトレの先生にしたら「自信ないって言ってる人が歌手やってたらダメでしょ」って怒られたんです。その言葉を聞いたときに、そう言われてみればそうだなって思って。もし自分の好きなアーティストさんが自分の歌に自信ないって思ってたら嫌だなって思ったんです。そこからですね、もし失敗してもそれも1つの経験だし! って、ポジティブに考えていこうって思いました。

――考え方を変えてくれた言葉だったんですね。

井上:そうですね。歌とかに対してだけですけど(笑)、何か考え方が変わりましたね。自信を持っていこうかなって思えるようになりました。


『仲良い友達には、自分が書いた歌詞をいじられてます(笑)』


――高校3年間、音楽活動も忙しかったと思いますが、高校では友達とどんな風に過ごしていたんですか?「井上さんだ…!」みたいなこともあったり?

井上:いや、そういうのはなかったです(笑)。高1のときとか、私が何してるか知らない子ばかりだったと思うし、仲良い友達にはすごくからかわれてます(笑)。「だいすき〜」とか(笑)、「なんだっけなんだっけ、チュってしてよ、だっけ?」とか、歌詞ですごくいじられてます(笑)。

――自分が書いた歌詞をいじられるという…(笑)。学年が上がって後輩ができたあとはいかがでしたか?「ファンです!」という後輩がいたりしませんでしたか?

井上:あ、それはありました! この間、後輩からLINEがきて、その子の友達に私のファンだって言ってくれている子がいるみたいで。そう言ってくれる子がいるのはすごい嬉しいです。


――高校3年間を振り返っての思い出深いエピソードとかありますか?

井上:文化祭がすごい楽しかったです!クラスでクリームシチューとビーフシチューを作ったんですけど、それも朝7時から!(笑) 私のクラスだけ張り切ってやってました(笑)。すごい美味しくできて楽しかったですね。

――随分早いですね(笑)。他にはありますか?

井上:あとは2年生の時に修学旅行でハワイに行ったんですけど、海水浴とか山とかに行って本当に楽しかったです。そのときにみんなでPVを作ったりしたのがすごい思い出に残ってますね。曲に合わせて動画が撮れるアプリがあるんですけど、それを使って皆で海でPVを作ったんです。


『こんな恋したいなって、“妄想”しながら歌詞を書いてます(笑)』


――高校生ならではの思い出がとても楽しそうですね。そういう学校での体験を歌詞に反映させたりすることはありますか?

井上:「だいすき。」の歌詞は、実際に私が通っている学校のことを思い出して作りましたね。朝の始まりからストーリーを作っていきたいなって思ったので、朝を連想するシチュエーションってなんだろうなって考えて、まず遅刻しそうな人を作って、キャラ設定も友達とかを参考にして作りました。

――友達を参考にした歌詞で、その友達から「これ私のこと?」って言われたことはないですか?

井上:今回のアルバムにも入っている「赤いマフラー」は友達から相談されていた三角関係をもとに書いたんですけど、リリースしたときはその子も良い曲だね〜って言ってたんですが、後々「あれってさぁ」って言われました(笑)。さすがに気づかれましたね(笑)。

――ご自身の実体験を歌詞に書いたことはないですか?



井上:自分のはあまりないです。ただ、自分が影響されやすい性格なので、そういう部分を歌詞に入れることはあります。例えば、好きな女性芸能人さんが「オイコス」を食べてるって言ってたら私も食べてみたり(笑)。そういう影響されやすい部分があるので、そこを歌詞に反映させたりはしています。

――では楽曲を制作する上で意識していることはありますか?

井上:曲の主人公と自分を重ねられる曲を作ろうって思っています。もともと自分が共感できる曲が好きなので、自分と重ねられる、共感できる曲ってすごく良いなって思っていますね。

――恋愛ソングを作るときは具体的にどのように歌詞を書いているんですか?

井上:こんな恋したいなとか、こんな恋している女の子がいたら可愛いだろうなって思いながら、妄想して書いています(笑)。最初にテーマだったり、年齢だったりの設定を細かく決めてから書いていきますね。前までは絵でキャラクターや情景とかも描いてました。

――妄想であんなに素敵な歌詞が書けるんですね。

井上:でも、作ってるときは妄想だけど、歌うときは自分がこうなんだって入り込んで歌っています(笑)。だから喋ってるときと歌ってるときの感じは違うってよく言われます。

――妄想の源になっているものってありますか?

井上:携帯小説を読んでます! 流行ってたのは私が中学の頃ですけど、いまだに好きで読んでます。キュンキュンするので(笑)。曲作りに行き詰まったときとか、以前は漫画とかドラマとか見てたんですけど、今は手軽にすぐ読める携帯小説を読んで曲を書いています。




――個人的には今回のアルバムに収録されている「おんなのこ」の歌詞がすごく可愛いなと思いました。

井上:ありがとうございます! この歌詞はいつもよりもリアルを求めて書いてみました。彼氏がいる女の子の気持ちを書いたんですけど、私の周りの友達って、彼氏にデレデレしている子があまりいなくて、ツンツン? サバサバっていうのかな(笑)。はっきり好きとか言わない子が多くて、だから、そういう女の子たちに共感してもらえるような曲を作ろうと思って書きました。記念日を忘れちゃったりするダメな彼氏を持った女の子の曲です(笑)。

――結構そういう経験をしている女性って多い気がします(笑)。そういう意味では若い世代の子達だけではなくて、社会人とかの女性にもすごい共感できる歌詞だなと。

井上:本当ですか? 嬉しいです!


『イケメンといたら疲れちゃうと思うので(笑)、身近な恋がしたい!』


――先程、携帯小説を読まれているというお話もありましたが、少女漫画も読んだりされますか?現在、咲坂伊緒先生の作品「思い、思われ、ふり、ふられ」でタイアップされていますよね。

井上:そうなんです! コラボさせてもらっています。私咲坂先生の絵が大好きなので、作品は全部読んでます! 登場人物がめっちゃかっこいいので(笑)。最初「ストロボエッジ」を友達に借りて読んでたんですけど、はまっちゃって自分で買いました(笑)。

――元々好きだった咲坂先生とのコラボのお話を聞いたときはどう思われましたか?

井上:すごい嬉しかったです! やばい! って思いました(笑)。

――先生にもお会いしましたか?



井上:会いました! 本当に好きなので、先生に会ったとき嬉しすぎて泣いちゃいました(笑)。すごく優しくてお綺麗な方でした。友達にもLINEで「咲坂先生に会ってきた!」って自慢しました(笑)。

――好きな作品に自分が関われるって素敵なことですよね。

井上:本当に嬉しいです!コラボさせて頂いたからには、一緒にこの作品を広めたいですね。

――他にもオススメの少女漫画はありますか?

井上:一番最初に読んだ少女漫画が「ラブ★コン」だったんですけど、すごいハマりましたね。「ラブ★コン」は、もともと仲の良い友達だったのに好きになっちゃってどうしよう!? みたいな、すごいリアルなストーリーなので、あるあるだなって思って。最近読み返したんですけど、やっぱり面白いので是非皆に読んで欲しいですね。オススメです!

――「ストロボエッジ」のような誰もが理想とするイケメンとの恋か、「ラブ★コン」のようなリアルで身近な恋だったら、どっちの恋がしたいですか?

井上:イケメンといたら疲れちゃうと思うんですよね、モテるだろうし(笑)。私は一緒にいて楽しい人が好きなので、身近な恋をしたいです(笑)。


『自分だけの感性で歌ったり、作ったり、そういうのを大切にしたい』


――アーティストを目指そうと思ったのはいつ頃ですか?

井上:小学校5年生のときですね。学校のミュージカルで主役をやったのがキッカケです。みんな思春期だったのかやりたがる人があまりいなくて(笑)、でも私は人前で歌うことが大好きだったのですごいやりたくて、立候補してオーディションを受けてやらせてもらえることになりました。学校が小中高一貫だったので、全員が入れるような大きい講堂でやったんですけど、舞台の上に立ってみたらすごい楽しくて。周りからも「良かったよ」って言ってもらえるのが嬉しくて、そこから頑張ろう、目指そうと思いました。



――最初は路上ライブをやっていたんですよね。

井上:そうですね。小5のときに今話したミュージカルがあって、その年の秋にはレッスンに通い始めました。小6のときにギターを買ってもらって、練習をし始めて、自分の曲も1曲作ったときに、路上で歌ってる人を見かけたんです。ギター持って外で歌うだけだし、これなら私にもできるかも! って思って(笑)。

――オリジナル曲を作ろうと思ったキッカケってなんだったんですか?

井上:練習してギターを弾けるようになったら、カバーだけでいいのかなって思ったんですよね。アーティスト目指してるんだったら、自分で作らなきゃいけないんじゃないかって思って作り出しました。

――一番最初に路上でやった曲ってなんですか?

井上:沢尻エリカさんが雨音薫という名前で歌った「タイヨウのうた」という曲です。すごい好きで、あの時すごい流行ってたし、コードも簡単だったのでやり始めました。

――今後どのようなアーティストになっていきたいですか? 例えば、目指す人だったり、目指すステージだったり、考えているイメージはありますか?

井上:目指す人っていうのは明確には持っていないです。自分だけの音楽を持ちたいなって思っているので。自分だけの感性で歌ったり、作ったり、そういうのを大切にしていきたいと思っています。ステージとしては、ホールとか武道館でやりたいですね。大阪城ホールとかでもできたらなって…、頑張らないといけないですけど(笑)。あとは神戸出身なので、ワールド記念ホールとかでもやりたいし、その時には家族にも来てもらって、真ん中の一番見やすい席で見て欲しいなって思いますね。


『LIVE前はすごく緊張します。でもその緊張感も好きなんです(笑)』


――今月ワンマンライブも控えていますが、チケットも即ソールドアウトしたと聞きました。

井上:すごいびっくりです。小6のときにやったワンマンは、会場前にお客さんが並んでくれてたりして、たくさんの人が来てくれたんですけど、その後にやった中1、中2、中3のときのワンマンは全然お客さん来てくれなくて(笑)、路上ライブやるときに自分でチケットを手売りしていました。



――毎年続けていたワンマンライブが満を持してソールドアウト!今のこの状況をどう感じていますか?

井上:そうですね、今回は手売りじゃなくて皆が自分で申し込んでくれているので…、嬉しいけど実感が沸かないです。しかも今回抽選で外れちゃった人もいて…。来たいって思ってくれている人達に見てもらえないのはすごく申し訳ないなって思っています。

――ワンマンライブへの意気込みなど教えてください。

井上:すごい楽しみです。今回の会場は恵比寿リキッドルームと渋谷クアトロなんですけど、この会場は私自身もお客さんとしてしか観に行ったことがないので、今回初めてステージからの景色を見られるんだって思うとすごいワクワクしますね。

――ライブ前は緊張するタイプですか?

井上:すごくします! 私本当に緊張しいで…。胃が痛くなって吐き気がするんですよ(笑)。薬とか飲んじゃうぐらい。しかもその症状がライブ後に出るんです。緊張感が解けて逆に痛くなる(笑)。大変なんですけど、でもそのライブに向けての緊張感も好きです(笑)。


『どこにも行かないのに家で一人でメイクしたりしてます(笑)』


――10代の女の子ってメイクやファッションに自分流のこだわりを持っている子が多いと思うのですが、井上さんはどうですか?

井上:こだわりあります! 私メイクもファッションもヘアアレンジも大好きです。服はデザインが個性的なものというか、見たことない! って思うような、基本的に人とかぶらないものが好きですね。あとは普段足をあんまり出さない服を着るので(笑)、ロングスカートとかパンツスタイルが好きでよく着てます。

――メイクについてはいかがですか?



井上:メイクも服によって変えます。服がオールブラックのときは赤系のメイクにしたり、髪も編みこんだりして可愛くするならメイクも淡い感じにしたりします。チークの色を変えてみたり、アイラインの引き方を変えたり、眉毛も眉マスカラしたり、逆にしないで黒っぽくナチュラルな感じにしてみたりとか。どこにも行かないのに一人で家でメイクしてみたり(笑)、髪も細かいコテで巻いてトイプードルヘアとかやってみたり。研究するのがめっちゃ楽しいです!

――ステージや撮影の時のメイクはどうしてますか?

井上:自分の顔は自分が一番知ってるので(笑)、基本的に自分でしてるんですけど、メイクさんがいるときは自分の意見も言ったりしますね。


『人を笑わすことが“だいすき。”』


――最後の質問になりますが、Peachyとは「ゴキゲン」「ハッピー」という意味がある言葉なんですが、井上さんにとってゴキゲンの源になっているものってなんですか?

井上:友達に会うことです。何もなくても会って、ひたすら喋ってることがすごい楽しいです。私一人が嫌いなので、ご飯も必ず誰かと食べたいんですよね。お母さんには外食ばっかりやめなさいって言われるんですけど(笑)。人に会ってご飯食べないと元気でないし、寂しくなっちゃうので、誰かと会って何もなくても喋ったりしてます。人を笑わすのが大好きなので、いつも笑ってくれたらいいなって思っています。みなさんの笑顔がゴキゲンの源ですね。



――今日こうしてお話を聞いていて、Peachy編集部もすごい笑わせていただきました(笑)。

井上:本当ですか? まだまだ笑わせた気になってないですけど(笑)。でもよかった〜!ありがとうございます!

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撮影:倉橋マキ
制作・編集:iD inc.
取材・文:Peachy編集部