1986年のW杯メキシコ大会で優勝し、トロフィーを掲げるアルゼンチンのマラドーナ(AP)

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 【アトランタ(米ジョージア州)=細田一歩】サッカー・ワールドカップ(W杯)の歴史の中で最も因縁深い対決かもしれない。

 サッカーの母国イングランドと前回王者アルゼンチンがぶつかる準決勝は、15日(日本時間16日未明)にキックオフを迎える。

粘り強く勝ち上がった両チーム

 1966年以来、60年ぶり2度目の優勝を目指すイングランドは、縦横無尽に動き回るFWケーンが攻撃の軸となり、MFベリンガムらスターが躍動。決勝トーナメントはここまでの3試合いずれも楽な戦いではなかったが、劣勢を覆す勝負強さを見せてきた。

 アルゼンチンは、W杯9試合連続ゴールの大記録を打ち立てたFWメッシを中心に、脇を固める実力者たちが献身的に走り回る。イングランド同様苦戦を続けてきたが、泥臭く勝ちきった。

「ある種の復讐だった」

 歴史をさかのぼれば、英国が南米でサッカーを普及する拠点としたのがアルゼンチンだ。両チームの関係は深く、エピソードには事欠かないのだが、「ライバル」というポジティブな言葉よりも、「対立」「摩擦」といった印象が強い。

 66年大会の準々決勝で対戦し、後にイエロー、レッドカードのシステムが導入されるきっかけとなった荒れた一戦はイングランドが制したが、当時のラムゼイ監督がアルゼンチンを「アニマル(動物)」と呼び、激しい怒りを買った。

 準々決勝で激突した86年大会は、4年前に英領フォークランド諸島の領有権を巡って両国の間で起こった紛争の影が色濃く残っていた。激しい削り合いとなった一戦は、マラドーナの「神の手」による先制点と、いまだに語り継がれる伝説の「5人抜き」ゴールでアルゼンチンが勝利した。マラドーナは「イングランドに対する、ある種の復讐(ふくしゅう)だったと思う」と語った。

「売国奴」の汚名返上

 98年大会の決勝トーナメントの1回戦では、イングランドのベッカムが後ろから厳しいチャージをしてきたシメオネに蹴りを見舞い、退場処分に。イングランドはPK戦の末に敗れ、人気歌手のビクトリアと結婚し人気の絶頂にいたベッカムは一転して「売国奴」と汚名を着せられた。

 最後の対戦となるのは、2002年日韓大会の1次リーグ。失意から立ち直った主将のベッカムがPKを沈めて1―0で勝利し、雪辱を果たした。

 それから24年。準々決勝の客席ではイングランドの得点にベッカムが豪快なガッツポーズを決め、アルゼンチンの歓喜の輪にはシメオネの息子、ジュリアノらの姿もあった。自身イングランドと初対戦となるメッシは、「(因縁も含め)特別なものになる」と語る。世界が注目する戦いは、どんな結末を迎えるのか。