【図解】中国は南シナ海で埋め立てや威圧的な行動を繰り広げている

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 中国は5月、南シナ海のフィリピン西方沖に位置するスカボロー礁に浮遊式の構造物を設置した。

 6月に撤去したが、ブイやアンテナのような物体も確認された。

 中国は昨年9月、スカボロー礁の一部を「国家級の自然保護区」に指定。それ以降、実効支配を強める動きを加速させた。比側では、人工島造成の準備ではないかとの警戒感が高まる。

 比政策研究機関「国際開発・安全保障協力」のチェスター・カバルサ代表は、中国が将来の埋め立てに備えて「海底測量など、必要なデータを収集し終えた可能性がある」と指摘する。

融和外交も

 仲裁裁判所が2016年7月に中国の主権主張を否定した後、中国は国際社会の批判をかわすため、東南アジア諸国に対する融和外交に転じた。南シナ海での紛争防止に向けた「行動規範」の策定に積極姿勢を見せた。仲裁裁判の提訴国であるフィリピンのドゥテルテ政権(当時)に経済協力を持ちかけ、取り込みを図った。

 だが、22年に発足した比マルコス政権は米比同盟の強化を最優先する。比国内で米軍が使用できる拠点を4か所増やし、日米との軍事演習を行うなどしたため、習近平(シージンピン)政権は猛反発。ここ数年のスカボロー礁周辺でのフィリピンへの嫌がらせ行為につながった。

新たな火種

 スカボロー礁以外での現状変更の動きも強めた。20年には、軍事拠点化を進めるスプラリー(南沙)諸島を管轄する行政区として「南沙区」などを新設。行政権が及んでいることを宣伝した。

 中国とパラセル(西沙)諸島で領有権を争うベトナムは、昨年以降、米国のトランプ政権による高関税などを背景に対中関係の強化に動く。中越間で南シナ海問題の紛争は表面化していない。ただ、ベトナム政府は今年3月、中国が同諸島アンテロープ礁で大規模な人工島の造成を進めているとして「完全に違法かつ無効だ」と強く抗議した。人工島に2700メートル級の滑走路が整備されるとの見方があり、両国の新たな対立の火種になる可能性が高い。

米本土射程?

 中国外務省の毛寧(マオニン)報道局長は10日の記者会見で、仲裁裁判所判決について「無効で拘束力はない」と改めて主張した。中国が南シナ海に執着するのは、海上交通路を掌握するとともに、対米抑止のための軍の活動海域を確保する狙いがあるからだ。

 中国軍が6日に強行した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)実験の発射海域は、南シナ海の北端に位置する海南島の沖合だったとされる。同島にあるのは、中国の戦略原潜の基地だ。米本土を射程に入れるSLBMを搭載し、南シナ海などで常態的に潜航を続けている可能性がある。(比ルソン島マシンロック 竹内駿平、北京 吉永亜希子)