ジャクソン郡保安官事務所が公開したノーラン・ウェルズさん(18)の写真/Jackson County Sheriff's Department

CNN)ノーラン・ウェルズさん(18)は4日、米ミシシッピ州のメキシコ湾沖にある人気の砂州島、ホーン島に出かけた。独立記念日を祝うためだった。

その日の船上で撮影された写真では、友人たちよりも頭一つ抜きんでたウェルズさんが、友人たちの肩に腕を回し、カメラに向かって笑顔を見せている。

しかし、ウェルズさんが目立っている理由はもう一つある。グループの中で唯一の黒人男性のように見えることだ。

その日の午後遅くに友人たちが船着き場に戻ったとき、ウェルズさんの姿は見えなかった。数時間後、家族は行方不明届を出した。

ジャクソン郡保安官事務所が捜索を開始して間もない6日、ウェルズさんは島で遺体で発見された。

捜査当局は現在、当日に島にいた人々に情報提供を呼びかけている。SNS上では米国の人種関係について激論が交わされ、ウェルズさんの死をめぐって臆測が飛び交っている。

独立記念日を祝うため島へ

ウェルズさんは、ミシシッピ州沿岸の町オーシャンスプリングスにある高校を卒業した。

高校時代のアメフトコーチ、ジェイク・ブラムレット氏は、CNN提携局WXXVに寄せた声明で、「ノーランは優れたアメフト選手というだけの存在ではなかった」と述べた。

「謙虚に振る舞い、他人を尊重し、懸命に努力し、周囲の手本となっていた」

ウェルズさんは卒業後、サウスウェスト・ミシシッピ・コミュニティー・カレッジに進学。アメフトチームのワイドレシーバーを務めていたと、AP通信は伝えている。

全米の多くの人々と同様、ウェルズさんも4日を水上で祝おうと出かけていった。家族によると、ウェルズさんは友人たちと船でホーン島へ向かった。島はミシシッピ州の海岸から約16キロの沖合にあり、地元の海水浴客に人気がある。

しかし、ウェルズさんが帰宅することはなかった。

母親の訴えをきっかけに必死の捜索

ウェルズさんの家族は4日夜、行方不明届を出し、5日未明には母親がSNSで情報提供を呼びかけ始めた。

5日夜にはジャクソン郡保安官事務所が、米沿岸警備隊やミシシッピ州海洋資源局と連携して島を捜索していると発表した。

保安官は後にAP通信に対し、「話を聞いた人々によると、ウェルズさんは別の誰かと本土へ戻るつもりで、島に残ることを選んだようだ」と語った。

しかしSNS上では、ウェルズさんが友人たちと過ごした最後の数時間についての説明に疑いの目が向けられるようになっていた。

悲劇的な結末

母親のSNSでの呼びかけが注目を集める中、捜索救助ボランティアなど複数の非営利団体が捜索に加わった。

そのうちの一つで副代表を務めるブライアン・トラッシャー氏も捜索に参加した。トラッシャー氏が4日にホーン島にいた複数の人に話を聞いたところ、ビーチは船と人で混雑し、酒を飲んでいた人もいたという。

当日は海水の流れが強く、誰かが海に落ちた場合、危険にさらされた可能性があるとトラッシャー氏は指摘した。

しかし数時間後、当局は最悪の事態を確認した。島でノーランさんの特徴と一致する遺体が収容されたのだ。

検視の結果、外傷を受けた明らかな痕跡はなかった。しかし、保安官が「事件性の疑いはない」と発表したことで、SNS上の不満と怒りはさらに強まったようだ。

ミシシッピ州の不穏な人種差別の歴史

ウェルズさんの最期の瞬間については、依然として不明な点が多い。なぜ友人たちと一緒に船で戻らなかったのかは分かっていない。

携帯電話を持っていなかったことも不可解だ。

当局は、口論があったとするネットの情報や、それにウェルズさんが関わっていたかどうかについても調べている。

一方、友人たちと一緒に写るウェルズさんの写真は、2026年の米国の人種関係にまつわる、いわばロールシャッハ・テストのようなものになっている。

ほぼ白人の集団に囲まれた若い黒人男性の写真を見て、危険を感じ取った人は多い。ミシシッピ州の不穏な人種差別の過去を思い起こさせるものであり、そうした差別は現在も残っていると主張する人は少なくない。

最新の国勢調査によると、ウェルズさん一家が暮らすオーシャンスプリングスでは住民の約79%が白人だ。

ウェルズさんと最後に一緒にいるところを目撃された男性の一人の母親は7日、うわさの一部を打ち消そうとSNSに投稿。自身の未成年の子どもたちの写真がオンラインで出回り始めたため、ウェルズさんの捜索中にフェイスブックのアカウントを停止したと説明した。

母親は息子が保安官事務所から事情聴取を受け、全面的に協力したと投稿している。

ウェルズさんの家族の代理人、ベン・クランプ氏は8日のABCニュースとのインタビューで、家族は人種問題を帯びた捜査がミシシッピ州でどのように扱われるのかを懸念し、独立した司法解剖を依頼したと明らかにした。

「ここはエメット・ティルがリンチで殺害された州だ」とクランプ氏は述べ、家族は、回収されたウェルズさんの携帯電話からテキストメッセージが削除されたと考えていると付け加えた。クランプ氏自身も複数の目撃者の証言に矛盾があると感じているという。

「分かっているのは、ノーランが亡くなったということだけだ」