ビデオ会議サービス大手のZoomは、AI機能の「Zoom AI」が世界的に難度の高いAIベンチマークのひとつである「Humanity's Last Exam(HLE)」において、48.1%という最先端クラスのスコアを達成したと公式ブログで発表しました。しかし、専門家からは「複数のAIをつなぎ合わせて、顧客に直接的な価値をもたらさない形でベンチマークを改善しただけ」など批判を受けています。

Zoom AI、Humanity’s Last Exam(HLE)ベンチマークで新たな最先端ベンチマークを達成 | Zoom

https://www.zoom.com/ja/blog/humanitys-last-exam-zoom-ai-breakthrough/



Zoom says it aced AI’s hardest exam. Critics say it copied off its neighbors. | VentureBeat

https://venturebeat.com/ai/zoom-says-it-aced-ais-hardest-exam-critics-say-it-copied-off-its-neighbors

Zoomは2025年12月10日に、Zoom AIがHLEベンチマークで48.1%という最先端(SOTA)スコアを達成したことを発表しました。過去に最高スコアを記録したGoogle Gemini 3 Proの45.8%を、2.3ポイント上回る結果となります。以下は、Zoomが示した主要なAIモデルとZoom AIのHLEベンチマークを比較した表。



Zoomによると、SOTAスコアを達成したポイントとして、従来の単一モデル中心のAI戦略とはまったく違う「フェデレーテッドAI」のアプローチを開発したことを挙げています。フェデレーテッドAIアプローチとは、Zoom独自の小型言語モデルに加え、先進的なオープンソースおよびクローズドソースのモデルを統合することで、複数の言語モデルを連携させ、対話的なコラボレーションを通じて相互に生成や検証、改良を行い推論の精度を高めていくというもの。

Zoomは今回の成果を「『AI Companion 3.0』への道」と表現しています。AI CompanionとはZoomの提供するアシスタントAIで、AI Companion 1.0では会議の要約などの基本的な支援機能、AI Companion 2.0ではGmailやOutlookとの外部データ連携やPerplexityとの連携によるWeb検索機能の導入など、クロスプラットフォームでの利用を実現しました。AI Companion 3.0では、情報検索や文章生成、ワークフロー自動化といった、エージェント機能を備えたフェデレーテッドAIアプローチを発展させ、複雑な推論タスクにおいてこれまでにない高い性能を発揮することができるとのことです。

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Zoomの発表に対し、AIエンジニアのマックス・ルンプフ氏は、ZoomがGemini、GPT、ClaudeのAPI呼び出しを組み合わせることでベンチマークを少しだけ改善し、それによりSOTAを主張している点について「残念な発表」だと批判的に述べています。ルンプフ氏は複数のモデルを組み合わせるフェデレーテッドAIアプローチの有用性自体は認めつつも、「Zoomは独自にモデルをトレーニングしているわけではないのに、発表ではその事実を曖昧にして、他人の仕事の功績を自社の功績であるかのように見せています」と指摘しました。



また、アメリカのAIスタートアップであるExoria AIの創設者であるライアン・プレアム氏は、「Zoomは別のLLMを基盤としたハーネスを作り、それを成果として報告しているだけです。HLEにおける単なるノイズです」と否定的な意見を述べました。

一方で、技術系メディアのVentureBeatは、ZoomのフェデレーテッドAIアプローチが、OpenAIやAnthropic、Googleが追求するモデル中心の戦略とは根本的に異なる、エンタープライズAIのビジョンを示していると指摘しました。急速にAI技術が発展して次々に最新のAIが登場する中で、どのモデルが最適かをユーザーが見極めるのは難しくなっていますが、Zoom AIはプロバイダー間で切り替え可能なインフラストラクチャを構築することで、理論上は「顧客にとってあらゆるタスクに最適なAI」を提供することができます。ZoomのフェデレーテッドAIアプローチが真にAI業界の革命になるのか、それとも一時的に最先端のAIを組み合わせただけのHLEスコアに過ぎないのか、今後の動向が注目されています。