記事のポイント
スアーヴはユカなどの成分評価アプリを活用し、新製品開発や販促を進めている。
9月に6ドル以下の高機能ボディケアをウォルマートで発売し、大衆市場の空白を狙う。
小売各社はユカでの検索行動に合わせ棚を再編し、スアーヴは年商約7億ドルを記録している。


米国の老舗パーソナルケアブランド、スアーヴ(Suave)は、2月のリローンチ成功直後、ユカ(Yuka)のような製品安全情報アプリを活用して、ウォルマート(Walmart)やターゲット(Target)といった量販店での店頭販売を促進している。

「新世代のバリュー志向の買い物客は、成分や自分たちが求めているもの、特に製品や処方における不要な成分に関して非常に精通している」と、スアーヴのイノベーションおよびブランドエクイティ担当バイスプレジデントのラファエル・ロペス氏はGlossyに語った。

世界で7500万人に拡大



ビューティカウンター(BeautyCounter)、ロレアル(L’Oréal)、ユニリーバ(Unilever)で20年のキャリアを持つロペス氏は、ブランド再構築の一環として、製品安全スキャンアプリや検索結果に表示される内容の傾向に沿ってスアーヴの新製品開発を進めている。

「現在、目にしている興味深い変化のひとつは、小売業者との協業からも明らかだが、AIや特定のアプリがウォルマートやターゲットでの日常的な買い物、さらにはオンラインショッピングにも取り入れられるようになったことだ」と、ロペス氏は言う。「たとえば、人々は[店頭で購入する]あらゆる商品を選ぶ際にユカを利用している。そこで当社も現在、[新製品開発の]初期段階からその点を考慮している」。

ユカは2017年にフランスでローンチされたアプリで、当初は食料品店で棚を見ながら、包装食品の健康への影響を理解するためのツールとしてスタートした。その後、パーソナルケア製品の評価機能も追加されている。

過去1年間で、ユカの米国ユーザー数は1400万人から約2300万人に増加し、全世界のユーザーベースは5600万人から7500万人に拡大した。ユカの共同創業者ジュリー・シャポン氏によると、9月の時点で1日あたり約780万点の商品がスキャンされている。

6ドル以下の高機能ボディケア投入



ロペス氏いわく、ユカでの高スコアはパーソナルケア商品の売上を促進する。たとえば、スアーヴが2月に発売したドライシャンプーの売上は、自社独自の調査と消費者のフィードバックによれば同アプリでのスコアが一部牽引していたと、同氏はGlossyに語った。「当社のドライシャンプーはユカで100点満点中76点を獲得し、この価格帯では類を見ない高スコアとなった」。

ロペス氏はGlossyに対し、消費者がこうした新しいツールを使って購入候補商品の情報を得るようになったことで、大衆向けボディケア市場にホワイトスペースが生まれたと述べている。「[大衆消費者は]皮膚科学に基づいたスキンケア製品というトレンドを追ってきた。それは特定の肌ニーズに対応する成分が新製品の主役となるが、[量販店では]そうした商品を入手できなかった」と同氏は言う。「価格が高すぎて参入できなかったのだ」。

市場調査会ミンテル(Mintel)が行った2024年の調査によると、米国消費者の約3分の1が、1年前よりもボディケア製品の成分に注意を払うようになったと報告しており、一部の消費者は、特に有効成分が明記されているかどうかという点や肌バリアの修復効果などを求めている。

この分野の空白を埋めるべく、スアーヴはウォルマートで新ボディケアシリーズを発売する。9月15日発売の新ボディケアライン、アドバンスト スキンソリューションは、各6ドル(約890円)未満のボディモイスチャライザー5種類で構成されている。敏感肌、くすみ肌、乾燥肌、極乾燥肌といった特定の悩みに対応した製品に加え、普通肌向けも1種類用意されている。全製品がアレルゲンフリー、パラベン・着色料不使用で、皮膚科医テスト済み、さらに動物実験を行っていないと、ロペス氏はGlossyに語った。

「当社のようなバリューブランドが、プレバイオティクス配合の無香料のローションや、過剰に敏感になった肌をターゲットにした製品、セラミドなど、非常に人気があるが依然として高価格帯ブランドでしか使用されていない成分を配合した製品を提供するのは初めてだ」とロペス氏は述べている。

アプリ評価が棚を動かす



サーカナ(Circana)によると、米国のプレステージ美容業界の売上高は今年第1四半期に前年同期比で横ばいとなった一方、大衆向け美容市場は3%増加した。上半期全体を振り返ってみると、プレステージ部門の売上高は2%増の160億ドル(約2兆3650億円)に達し、大衆向け部門は4%増の346億ドル(約5兆1150億円)を記録した。

「私が処方を考える際、[アプリのスコアをスキャンすることも]考慮して、特定の避けるべき成分を判断している。そうすることで、この処方全体の評価やプロファイルに役立つからだ」。だがその戦略をさらに強化すべく、ロペス氏は最近ユカとの協業を開始してローンチ前に製品スコアを予測できるようにした。これはユカが提供している成長中の無料サービスだ。

ユカのシャポン氏は、「過去半年間で約250社の米国化粧品ブランドが自社の評価を把握するために当社に問い合わせてきた」と、Glossyに述べている。「そのうち約3分の1がスコアを改善させたいと具体的に示していた」。

さらにロペス氏がGlossyに語ったところによれば、ウォルマートやターゲットといったスアーヴの小売業者は、買い物客が情報を確認するために商品をスキャンする順序に合わせて、実店舗の棚の陳列を再編成しているという。

「ユカのようなアプリを使った商品検索の方法によって、[若い買い物客、特に親世代が]実際に店頭での商品陳列のあり方を変えつつある」とロペス氏は語る。これまでに、小売業者は店頭でユーザーがどのように、どの商品をスキャンしているかに倣い、ルーティン注文などの手法で店頭商品の再発注を始めているという。

Glossyが以前報じたように、スアーヴの米国およびカナダ事業は2023年に非公開金額でユニリーバからイエローウッドパートナーズ(Yellow Wood Partners)に買収された。同ブランドはウォルマート、ターゲット、CVS、ダラージェネラル(Dollar General)、ウォルグリーンズ(Walgreens)などの小売パートナーや食料品店を通じて、年間約2億5000万点の製品を販売しており、ウォルマートが最大の販売チャネルだ。スアーヴによれば、同ブランドの年間小売売上高は約7億ドル(約1034億8250万円)に上る。

[原文:Suave is betting on the power of the Yuka app with first derm-inspired body-care range at Walmart]

LEXY LEBSACK(翻訳:Maya Kishida、編集:坂本凪沙)