熊本県で最大震度7を記録する強い地震が発生した。体温を超える暑さが続く中、被災者たちは不自由な避難所での過酷な生活を余儀なくされている。

【映像】被災地のトイレ(複数カット)

 特に注目を集めているのが、猛暑の避難所において直面する「暑さ対策」と「トイレや入浴などの衛生環境」という命に直結する課題だ。

 ニュース番組『わたしとニュース』では、数々の被災地で支援活動を行ってきたNPO法人の浦野愛氏が紹介する避難所の知恵や、健康被害を防ぐための具体的な衛生対策について、弁護士の三輪記子氏とともに深掘りした。

■“太陽熱のペットボトル温水シャワー”など…識者が推奨する過酷な避難所で過ごすための知恵

 1995年の阪神淡路大震災以降、10年前の熊本地震や2024年の能登半島地震など、数々の被災地で支援活動を行ってきた認定NPO法人レスキューストックヤードの浦野氏。

 浦野氏は、避難所における差し迫った課題として以下の2つを挙げる。

「とにかく皆さん『暑い暑い』とおっしゃられているので、その“暑さ”というところと、“衛生環境”に関してはずっと課題」(浦野氏、以下同)

 厳しい暑さを少しでも和らげるために、浦野氏が推奨するのが「うちわ」の配布や、それを用いた効果的な対策だ。

「暑さ対策でいうと、うちわを配ったりしていました。うちわは意外と使い勝手が良く、人に迷惑もかけない。ちょっと被災地を出ると、熊本市内などでお店をやっているところもありますよね。そこからたくさん氷を調達してきて、タオルを入れて、冷たいおしぼりを作って暑さ対策をしてもらうのもおすすめ」

 さらに、暑さで汗をかくと心配なのが衛生面。ガスや水道などのライフラインが途絶え、入浴ができない場合でも対策はあるという。

「2007年7月の新潟県中越沖地震の時にすごくいいなと思ったのは、水などのペットボトルがいっぱい届くんですよね。そうするとペットボトルが余る。そこに給水車から水を入れて、車のボンネットに置いておくと、水が太陽熱で温まる。ペットボトルの底に画鋲で穴をあけると簡易シャワーになるので、それで頭を洗ったり、赤ちゃんの沐浴ができる」

■「トイレの我慢は病気や災害関連死を招く」凝固剤を正しく使うための4つのステップ

 そして、避難中の健康を維持する要となるのがトイレだ。

「能登の時、発災4日目の朝に現地入りしたが、1日でトイレはぐちゃぐちゃな状態・汚物であふれ返っていた。ウェットティッシュなどそういったあるものでなんとか拭いて、ビニール袋をかぶせるので精一杯だったそう。トイレが臭い・汚い・使いづらいと我慢するようになって、それが水分や食事を控えることにつながって、いろいろな健康被害を引き起こす」

 浦野氏は、トイレを我慢することは、様々な病気、最悪の場合は災害関連死に直結しかねない非常に危険な行為だと指摘する。

 この悪循環について、三輪氏も「トイレの環境も良くない中、たくさんの人に見られている場所で飲食をするのが難しい方もいるかもしれない」と、被災者が抱える心理的なストレスに深く共感した。

 さらに浦野氏は、こうした深刻な問題を解決するために「トイレの凝固剤の正しい使い方を、避難所の運営側も利用者側もマスターしておくことが重要」「指定避難所には必ずトイレ凝固剤が備蓄されている。トイレに凝固剤がない避難所は、備蓄がある他の避難所からもらいに行くべき」と強調する。

 ただ、トイレ凝固剤を使ったことがない人が多数というのが現状だ。そこで、トイレを清潔に使い続けるための「凝固剤の正しい使い方」を4つの手順で紹介する。

〈ステップ1〉便座に袋をセットする。
〈ステップ2〉袋の中に凝固剤を入れる。
〈ステップ3〉排泄をする。
〈ステップ4〉排泄後に袋を取り出し、口をしっかりと結ぶ。

※排泄を済ませてから入れるのは誤った使用法のため要注意

 トイレの凝固剤は、基本的に1回ごとの使い切りとなっている。浦野氏は「能登地震では『トイレ講習会』を開き、皆がトイレ凝固剤を使えるように教えあった」と重要性を強調した。

■避難所でのお風呂アイデアと、周囲への情報共有の大切さ

 お風呂に入れない日が長く続く避難生活において、浦野氏は、能登地震の被災地で1カ月お風呂に入れない期間、アルコールが含まれていない「赤ちゃん用のおしりふき」や、先述のペットボトル温水シャワーが大いに役立ったという実体験も紹介。

「不衛生だと感染症になることも。特に女性は膀胱炎のリスクもある」(浦野氏)

 被災した人々は、目の前の過酷な環境や先行きへの不安から、大きなストレスに晒されている。浦野氏は「少しずつ外から支援が入っていけるように今多くの人たちが動いているので、ぜひ外の力を上手に受け入れいただきながら、これなら自分にできるかなということがあったら実践し、周りの人に教えてあげてほしい」と語り、周囲と知恵を共有し合うことの大切さを訴えた。

 三輪氏も同意して、「もしお友達で熊本の被災者がいたら、『こういう使い方があるらしいよ』と強制するのではなく、情報提供という形で伝えてほしいですね」と締め括った。

(『わたしとニュース』より)