「ママは私より仕事のほうが大事なんだ」8歳児が突然「反抗期」に突入する脳科学的な理由
■7〜12歳 脳は段階的に完成していきます
8歳は、言語機能の完成期。7歳後半ぐらいから、長い文脈を紡げるようになり、「あのときも、あのときも」と過去をつないで、根源的な結論を導き出せるようになります。このため、親が何度か仕事やほかのきょうだいを優先すると、「ママは、私(僕)より仕事(ほかの子)のほうが大事なんだ」と思い込むことも。厄介なのは、その思いを言語化する力はまだないということ。このため、静かに、親への信頼や日常のやる気を失っていきます。私はこれを「沈黙の反抗期」と呼んでいます。
9〜12歳は脳のゴールデンエイジ。感じる力とイメージを言語化する能力が整い、体験をがんがん感性(センス)に変えられるとき。脳神経回路が劇的に増える、脳成長の大団円です。この時期、脳自らの進化力が最大限に働くので、大人にできることは、「金のルール」遂行のアシストと見守ることくらい。すると12歳の誕生日ごろ、子ども脳(感性記憶)が完成します。
13〜15歳は「子ども脳」から「大人脳」への変換期。更新中の脳は一部不整合を起こし、誤作動します。性格が変わったように見えることも。脳がもくろみ通りに動かないので、本人も戸惑い、イラつきます。また、脳は眠っている間に書き換えられるので、この時期の脳はひたすら眠い。思春期の子どもは存分に寝かせてやりましょう。

※本稿は、『プレジデントFamily2026春号』の一部を再編集したものです。
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黒川 伊保子(くろかわ・いほこ)
脳科学・AI研究者
1959年、長野県生まれ。人工知能研究者、脳科学コメンテイター、感性アナリスト、随筆家。奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピュータメーカーでAI(人工知能)開発に携わり、脳とことばの研究を始める。1991年に全国の原子力発電所で稼働した、“世界初”と言われた日本語対話型コンピュータを開発。また、AI分析の手法を用いて、世界初の語感分析法である「サブリミナル・インプレッション導出法」を開発し、マーケティングの世界に新境地を開拓した感性分析の第一人者。近著に『共感障害』(新潮社)、『人間のトリセツ〜人工知能への手紙』(ちくま新書)、『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』(講談社)など多数。
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(脳科学・AI研究者 黒川 伊保子 大西洋平=構成 榊 智朗=撮影)
