「20代の1000万円プレーヤーが何人もいる」マグロ漁船員の告白。航海中は食費も住居費もゼロ…10か月の海上生活の実態とは
◆10か月の海上生活で年収1000万円以上!
20〜30代船員
仕事・マグロ漁船員
未経験から5年程度で年収1000万円
かつては、借金返済のためにマグロ漁船に送り込まれたといった話も都市伝説的に語られたが……実際のところはどうか?
「20代の年収1000万円プレーヤーは何人もいるので、他の職種に比べて、若くして稼げるのは間違いないでしょう」
こう話すのは日本かつお・まぐろ漁業協同組合の佐藤康彦・船員職業紹介所長だ。背景には、仕事の過酷さに加えてマグロ漁船員の高齢化や国際情勢の変化があるという。
「正直、キツい仕事であることは間違いないでしょう。遠洋マグロ漁船になると約10か月の航海となることが多く、漁場に着いたら時化るなかでも長時間働かなくてはならない。約3000本の釣り針がついた全長150kmにもなる幹縄を数時間かけエサをつけて投縄(とうなわ)し、2〜3時間休憩したら、12時間以上かけて引き上げるという仕事を交代制で行うのが一般的です。
そのほかにもマイナス60℃の凍結庫で200〜500kgにもなるマグロを運んで管理する仕事を、結構な負担に感じる人も多い。釣り針が飛んできてケガしたり、揺れる船上でのマグロの解体で手を切ることも稀にあります。
体力に加えて、電子機器を活用した高度な航海術、機関技術などを要求される仕事なのですが……遠洋マグロ漁船の船員の60%以上が60〜70代で、80代も3%いるという、かなり高齢化が進んでいる業界なのです。
若手の層が薄いため、経験を積んで技術を身に着ければ短期間で何百万円も収入がUPしやすい。実際、2〜3年経験を積んで海技士免許を取得して、とんとん拍子で機関長(船舶機械等責任者)に昇格して29歳で2000万円近くもらっている人もいます。
原油高で操業を停止する外国船籍が増え、その影響で日本のマグロに高値がつきやすくなったこともあって高給取りの船員が増えている」
稼げるだけではない。貯まりやすいのが、マグロ漁船員の特徴だ。
「船員法で船舶所有者が船員の食事や居住設備を提供しなければならないと定められているので、航海中は食費も住居費もゼロです。体力仕事なので、インドネシア人コックが毎日4〜5食ふるまってくれます。
3か月に一度は寄港して休暇を取る操業形態の船もあるので、そのときに散財してしまう船員もいますが……財布のヒモが固い人ならば高額収入のほぼすべてを貯金できるでしょう。
だから、3〜4年乗って、2000万円以上貯める人もいる。また、3年の乗船履歴がつけば、1年休んで海技士の資格を取得し、また遠洋マグロ漁船に乗るという人もいます」
◆乗船希望者は増え続けている
佐藤氏は、そんな特殊な仕事に挑戦しようという人が今、増え続けていると話す。
「多い日は週に4〜5人からマグロ漁船員になりたいと連絡をもらいます。あまりにも希望者が多すぎて、乗船待ちが出ているほど。水産高校を卒業したばかりの10代の希望者も増えているほか、40〜60代の会社員の希望者も増えています。
先日は、60歳で定年退職された元警察官の方から『マグロ漁船に乗るのが夢だったんです』と連絡をいただきました。『毎日トレーニングしているので体力には自信がある』と。
一方で、若手だと御三家中高出身などの高学歴の乗船希望者も増えています。中には国内トップの国立大卒で現在2航海目という人もいる。高収入に魅力を感じて応募されるだけでなく、大海原に出て体一つで資格とスキルを身に着けて稼ぐというロマンを求めて応募される方が増えている。
