家庭内では冷え切った関係を保ちながら、外では仲のよい夫婦を演じる「仮面夫婦」。実は今、およそ2割が「仮面夫婦の可能性」という調査結果が話題になっている。

【映像】仮面夫婦のLINEのやりとり(実際の映像)

 実際、経済的な問題や家事・育児など生活していく上での現実的なメリットから、離婚せずに結婚生活を続ける人も多いのが現実。メリットもあるなら仮面夫婦を続けていくのはアリなのか。また、元の良好な関係に戻る事はもうムリなのか。『ABEMA Prime』では当事者と専門家とともに考えた。

■4年前から仮面夫婦の男性

 妻との会話がほぼゼロの状態が続いているという男性(30代)は、「話さない、会話がない状態。世間話も何もないし、行ってきますと言っても、あっちから返ってくる言葉もない」と語る。

 時々、LINEでやりとりするものの冷たくあしらわれてばかり。「語尾がすごく鋭い。修復しようと、関係をやり直そうと近寄っていったことがあるが、『今更話すことない』『何の話?』みたいな。聞く耳を持たない感じだった」。

 一方、外面について、「妻はママ友とか結構いるので、対外的にはちゃんと生活している。いい家族みたいな感じにはなっている。子どもの行事や運動会には行く」という。

 仮面を被る事になった大きなキッカケは4年ほど前。資格を取るための勉強でピリついていたという男性。相手いわく、その頃の家族への態度が、どうしても 受け入れられなかったそうだ。「(妻は)そこでプツンと切れたらしい。今までの溜まったものがあり、『産後何も手伝ってくれない』『共働きになったらもうちょっと家事をやってくれるって言ったじゃん』『家事のことを軽く見られてたことが許せない』みたいな」。

 さらに、子どもとの関係も良好とはいえず、「娘がすごく妻と仲良くて、結構私の悪口を妻は言っている。だから娘は私に寄り付いてこない」と明かした。

■「小さな積み重ねで、距離ができていった」

 数年前から夫とほぼ会話のない状態の、子どもが2人いるみつきさん(30代)。仮面夫婦になったきっかけについて「妊娠、出産、仕事復帰といった大きな出来事はあったが、どちらかというと小さな積み重ね」だと振り返る。「家事の役割分担を提案しても受け入れてもらえなかった。LINEで伝えたり頼む量を減らしたり、付箋でメモを貼ったりと伝え方を変えても夫の行動は変わらず、伝えること自体を減らしていった」。

 現在は、夫と子どもはそれぞれ普通に話しているが、「私と夫の間でのやり取りが極端に少ない状態」だという。子どもの行事や親戚付き合いの場では「同じ空間に最低限存在している」。子どもに対して夫の悪口を言うことは「固く決めてしない」と明言する。

 離婚の選択肢については、「私と子ども、夫と子どもの関係はそれぞれ良好で、家庭から父親の役割を私の都合で取り除くことが子どものためによいとは今は思えない。手続きの労力を注ぐエネルギーも今はない」といい、現時点では踏み切っていない。ストレスの発散については「夫に感情を受け取ってもらえない分、友達に恵まれているのでそこで発散したり、自分のケアの時間を作るようにしている」と話す。

 夫婦問題研究家の岡野あつこ氏は、「男性側は仕事という逃げ場があり、家で子どもと妻が仲良くしていればいいと思って、妻が話しかけてこなければ仮面夫婦とすら思わない人もいる」。また、子どもへの影響については「子どもは大人より敏感で、親が話していないという不穏な空気を感じ取り、逆に子どもの方が気を使っている家庭が多い」と述べる。

■「”寂しい”を正直に伝える」専門家が促す脱・仮面夫婦への一歩

 岡野氏は、仮面夫婦のまま放置することのリスクについて、「夫も嫌気がさしてきて、弁護士のところに相談しに行くケースも出てくる。子育てが落ち着けば変わる、という期待は持たない方がいい。女性は我慢強いが、男性の方が案外我慢ができない」と警鐘を鳴らす。

 そして脱・仮面夫婦への道筋として岡野氏が提示したのが「卒婚」という選択肢だ。「卒婚とは2人が自立して納得し合った上で、お互い自由にしましょうという関係の再設計。仮面夫婦から卒婚に移行するにはハードルが高いが、しっかり話し合い、この状況は良くないよね、とお互いが納得した上で提案すると、案外うまくいく夫婦も出てきている」と語る。

 ただし、みつきさんは「卒婚という形も憧れなくはないが、私にとって一番辛いのは感情を受け取ってもらえない寂しさ、孤独感。卒婚は信頼関係がベースにある関係の再設計のように聞こえるので、私にはまだその土台ができていない」と率直に語った。

 修復に向けた具体的なアドバイスとして岡野氏は、「ご主人はプライドがあって自分から謝ったり変わったりするのは難しい。だから、みつきさんの方から、朝の挨拶や帰宅時の『おかえりなさい』といった小さな積み重ねで、あなたを大切に思っていますというポーズを示し続けることが必要」だと勧める。さらに「寂しいという気持ちを正直に、素直に夫に伝えることが大切だ」と続けた。

(『ABEMA Prime』より)