YouTubeチャンネル「守鍬 刈雄のお暇なら映画でも」が、「【#ロングウォーク】にスティーブン・キングの全てがあった。思想・人生観・運命観(新作映画レビュー)」と題した動画を公開した。動画では、映画独自解説家の守鍬刈雄が、スティーブン・キングの幻の処女作を映画化した『ロングウォーク』の魅力を解説し、本作に込められたキングの思想や人生観を深く掘り下げている。

守鍬氏は本作を、キングがデビュー前の大学1年生の時に執筆した「キング純度120%の作品」と紹介。50人の若者が最後の1人になるまで歩き続け、勝者は望むものが何でも手に入るという設定に対し、一般的なデスゲームと異なり「他人を蹴落とそうとする人がいない」点に注目する。全員がライバルであるはずなのに、互いに励まし合いながら進む特異な人間模様が描かれていると語った。

その背景について、守鍬氏は「僕たちは理不尽な世界の中で、それが分かっていながら、仕方なく、それに従って生きていくしかないんだ」という、キング作品全体に通底する人生観があると分析する。理不尽な社会やルールに抗うのではなく、抗えない運命として受け入れ、その中でただ歩き続ける若者たちの姿に、『スタンド・バイ・ミー』や『ミスト』にも通じるキングの思想を見出している。

さらに、劇中で歩き続ける参加者たちが、次第に目的を見失い、ただ歩くこと自体が目的化していく様子に言及。「勝つか負けるか、脱落するか生き残るか、それを決めるのは自分だけなんだ」と語り、理不尽な状況下での個人の在り方が問われる作品だと評した。

守鍬氏は、一歩一歩歩みを進める姿は、人生そのもののメタファーであると総括。ただ歩くという行為の中に、不条理な社会を生き抜く人間の脆さと強さが同居する本作は、現代を生きる多くの人の心に刺さる強烈なメッセージを持った一作であると締めくくった。