村上春樹も通ったジャズ喫茶「DUG」が閉店 「移転の可能性は…」 2代目マスターが思い語る
「我々は新宿の街に出て、紀伊國屋の裏手の地下にあるDUGに入ってウォッカ・トニックを二杯ずつ飲んだ」(村上春樹『ノルウェイの森』より)
三島由紀夫、寺山修司、村上春樹らが通ったことで知られる東京・新宿の老舗ジャズ喫茶「DUG」が、入居するビルの解体によって、6月27日で65年の歴史に幕を閉じることとなった。
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ジャズ喫茶の役割
「世の中が変わっても、ここで鳴る音とお客様の間に流れる濃密な時間だけは、ずっと守っていきたい。それがジャズ喫茶の役割だと思っています」
と、今日まで貫いてきた信念を語るのは、2代目マスターの中平(なかだいら)塁さん(53)。写真家だった父・中平穂積さんの後を継ぎ、DUGを運営してきた。

ジョン・コルトレーン、マイルス・デイヴィスらジャズの巨人たちを撮り続けた穂積さんが、ジャズ喫茶「DIG」を開店したのが1961年。姉妹店として6年後にDUGをオープンして以降、移転を繰り返しながらも新宿のジャズ文化を支え続ける存在だった。
「どこかへ移転したとしても……」
国内外のミュージシャン、小説家、映画・演劇関係者をはじめ、ここで音楽に耳を傾けつつコーヒーや酒を楽しんだ人々は数多い。ゆえに惜しむ声は広がり続け、閉店発表以来、店の前から店内へ降りる階段に行列が絶えない。塁さんによると、
「今後の展開については模索中です。仮にどこかへ移転したとしても、音響システムはそのまま移行すると決めています」
コール・ポーターの名曲のように “Every Time We Say Goodbye”とならぬよう、復活を願いたい。
撮影・福田正紀
「週刊新潮」2026年7月2日号 掲載
