松のやの｢490円モーニング｣で過ごす大満足の朝
松のやの朝メニューは、ボリューム抜群でワンコイン490円（筆者撮影）
喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。
そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第48回となる今回、訪れたのは「松のや」です。
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集客の弱い時間帯である、朝だけに提供される飲食チェーンの朝限定メニュー、俗にいう「モーニング」というやつ。ハンバーガーショップや、牛丼チェーン、ファミリーレストランに、モーニングがあることをご存じの方は多いのではないでしょうか？
松のやの朝メニューは揚げ物と和朝食が揃い踏み
今回はとんかつチェーン「松のや」の朝限定メニューから「得朝ささみかつ＆コロッケ定食」をご紹介します。
朝からとんかつ屋さんが開いているなんて意外かもしれませんが、「朝からがっつりとんかつを！」という方向けのメニューのほかにも、定番の和朝食もおさえた、絶妙なラインナップを朝ならではのお得な価格設定で提供している穴場なのです。
「松のや」の朝限定メニューは税込280円から。販売時間は午前4時から午前11時で、最大全7種を販売しています（一部店舗で販売時間が異なります。また、「得朝チキンかつ定食」は、順次販売終了予定とのことです）。
玉子丼以外は小鉢が選べて、ごはんみそ汁おかわり自由です（筆者撮影）
・玉子かけごはん定食 税込280円
・玉子丼（並盛） 税込290円
・得朝ソーセージエッグ定食 税込430円
・得朝ささみかつ＆コロッケ定食 税込490円
・得朝ロースかつ定食 税込530円
・得朝ささみかつ定食 税込530円
・得朝チキンかつ定食 税込530円
財布に嬉しい価格のメニューがずらり
300円以下が2種、ワンコイン500円以下が2種と、財布に嬉しい価格のメニューが並びます。朝の和朝食というと牛丼チェーンが有名ですが、それに勝るとも劣らぬコスパです。
「松のや」の朝メニューは、朝カレーがはじまったかと思えばなくなったり、玉子丼がメニューアウトしたかと思えば戻ってきたりと、改変の頻度が高いのですが、ずっとお値打ち価格であることは変わらないままで、「得朝」というメニュー名からも「朝はお得にいくぞ」という信念のようなものを感じさせます。
「松のや」のレギュラーメニューの最安値の定食メニュー「ロースかつ定食」が税込590円なので、もともととんかつ店としては、かなり安めの価格設定ではあるのですが、朝限定メニューが安すぎて、定番メニューが高く感じてしまうほどのお得度です。
お手頃価格だけでも嬉しいのに、「松のや」の朝の定食メニューは小鉢も4種から選べます。
・コロッケ（単品価格 税込80円）
・お新香（単品価格 税込90円）
・納豆（単品価格 税込100円）
・冷奴（単品価格 税込100円）
その日の気分や体調によって小鉢をセレクトでき、常連客にとってはマンネリ防止にもなります。
朝定食の小鉢としては変わり種のコロッケ。とんかつチェーンならではの一品（筆者撮影）
ごはんとみそ汁はおかわり無料
さらに嬉しいのが、ごはんとみそ汁はおかわり無料という点。実はとんかつ店では珍しいサービスではないのですが、それでなくても他店と比べると価格が安いのに、朝限定メニューはそれ以上に安いため、原価率を考えると「松のや」が赤字にならないか心配なほどです。
定食メニューを注文したら、ごはん・みそ汁のおかわりが無料です（筆者撮影）
「白ごはんをもりもり食べたいぞ」という時は、「玉子かけごはん定食」を注文して小鉢に納豆を選べば、1杯目はたまごかけごはん、2杯目は納豆ごはんを食べるなど、さまざまなアレンジが可能です（一部店舗ではおかわりサービスを実施していないそうなので、入店時にご確認ください）。
硬めに炊いたツヤツヤごはんは、揚げ物との相性抜群です（筆者撮影）
ただ、丼めしなので並盛でも200gと、お茶碗（1杯約150g）より量が多めなため、おかわりどころか、揚げ物とのコンボで食べきれないということもあるので、自分の朝の胃袋と相談のうえで、サイズを選ぶのをおすすめします。
松のやのモーニング、得朝ささみかつ＆コロッケ定食490円（筆者撮影）
今回注文したのは、1コインで大ボリュームの朝食が楽しめる「得朝ささみかつ＆コロッケ定食」です。
・ささみかつ1本（単品価格 税込230円）
・コロッケ1個（単品価格 税込80円）
・キャベツ（単品価格 税込80円）
・ポテトサラダ（単品価格 税込70円）
・ごはん並盛（単品価格 税込200円）
・みそ汁（単品価格 税込60円）
・のり（単品価格 税込90円）
・小鉢（単品価格 税込80円〜100円）
販売価格は税込490円。全てを単品で購入した場合は最大で910円になるので、単純計算で46%オフの420円値引きになります。今回は、小鉢でもコロッケをチョイスし、ささみかつとコロッケ2個というわんぱくな布陣で、揚げ物を思う存分楽しむことにしました。
朝ごはんとしては規格外のボリューム、昼ごはんとしても遜色なしな、この立派な定食が490円というのは、物価高騰で寂しくなった懐にとってありがたいの一言です。前日の夜を軽くすませて腹ペコで朝を迎え、練習終わりのラガーマンのような気持ちでがっつきました。
もちはもちやで、揚げ物はとんかつ専門店で
とんかつ専門店ならではの見事な揚げ具合。噛むとサクッといい音が響きます（筆者撮影）
まずはメインの揚げ物から。とんかつ専門店ならではの、たっぷりの油でカラッと揚げた、サクッとした軽い食感の衣がたまりません。なんの変哲もないカツとコロッケですが、油のブレンドや温度管理など、とんかつ専門店ならではのこだわりと美学が詰まっています。
ささみかつは脂身がなく、引き締まった肉質としっとりした食感の独特のおいしさ（筆者撮影）
ささみかつは、豚肉や鶏モモ肉と比べて淡白な味わいなので、朝でも食べやすい。今回はおかずの量が多いので、ソースではなく塩とからしを薬味にして食べました。
ささみはクセや臭みがないので、そのまま食べてもいいぐらい。衣のパン粉も、ささみかつは粗目から中目で、ザクザクとした歯ごたえとパンチのある食べごたえ。剣立ちがよく衣が立っていて、美しく揚がっています。
ささみかつは、塩とからしでいただきました（筆者撮影）
コロッケもハイクオリティ
コロッケはじゃがいもベースに、コーンとにんじんが少しだけ入ったシンプルなもの。パン粉は細目で衣は薄く、軽い歯触りです。表面はカリッ、中はホクホクのコントラストで、噛むほどにじゃがいものやさしい甘みが口のなかに広がります。
お肉なしのコロッケはホクホクとした素朴なおいしさ（筆者撮影）
ごはんはとんかつ店ならではの、ちょっと硬めに炊いた、粒立ちのよいツヤツヤの白米です。硬めのごはんが好きな人にはたまりません。みそ汁の具はわかめのみという、そっけないほどの潔さ。味噌も薄めでさらっとしています。しかし、揚げ物でギトギトした口内をさっぱりさせるのに、この味わいがぴったりなのです。
みそ汁の具はわかめのみ。シンプルだからこそ箸休めにぴったりです（筆者撮影）
朝食べるにはトゥーマッチと思う人もいるかもしれませんが、販売時間は午前11時までなので、10時半すぎに来店し、朝昼兼用で食べるのもおすすめです。
「松のや」は牛丼チェーン「松屋」を運営する松屋フーズが運営するとんかつチェーンで、とんかつ業界で「かつや」に続く、業界第2位の店舗数、全国182店舗を展開しています（2023年3月時点）。
卓上調味料も充実しています。オリジナルのソースやドレッシングもおいしい（筆者撮影）
朝メニューも安いのですが、レギュラーメニューもとんかつ店としてはかなりお手頃なうえに、おかわり無料サービスもあり、スマホアプリのクーポンを使用すると「ロースかつ定食」が税込500円で何度も食べられます。
セルフサービスになり提供時間も短縮、回転率もアップ
あまりのお得さに、「ありがてえ……」と恩恵をしっかり享受しつつも、内心では「とは言え、松のや大丈夫かいな……」と、ちょっぴり心配していたのですが、やはり大丈夫ではなかったのか、最近大幅なコストカットに踏み切りました。なんと、ほとんどの店舗がセルフサービスになったのです（一部では今まで通りの形態の店舗もあるようです）。
以前は食券制度ではあったものの、入店時に食券を買ってテーブルに座ってからは、ホールスタッフが食券を取りに来てくれて、テーブルまで配膳してくれる「ほぼフルサービス状態」でした。
特にニンジンドレッシングはすりおろしにんじんどっさりでオススメ（筆者撮影）
それが現在は、食券を買うと同時に厨房にオーダーが通り、出来上がった時点で提供カウンターに自分で取りに行くというシステムに変更になりました。食べ終わった食器は自分で返却口まで持っていきます。
これにより配膳と片付けの手間がなくなり、人件費を大幅に削減できるだけでなく、提供時間も短縮され回転率も上がる。利用客にとっては一手間がかかりますが、とは言え、出来立ての食事を安く食べられるありがたみに比べたら、弊害は微々たるものです（なお、本家と言うべき「松屋」も、セルフサービス式が徐々に増えているようです）。
キャベツのサイドには、小さめサイズながらポテトサラダまでついてきて、至れり尽くせり（筆者撮影）
モーニングを食べ歩いていると「こんなに魅力的なメニューなのに、意外と知られてないな」という店にもちょくちょく出くわすのですが、「松のや」はまさしくそんな店の筆頭です。
とんかつチェーンが朝から営業しているということが、イメージしにくいというのもあるのかもしれません。知っている人だけが味わえる、ちょっと特別な朝ごはんなのです。
編集部注：本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。
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（大木奈 ハル子 ： ブロガー・ライター）
