画像はイメージ

写真拡大

国際オリンピック委員会(IOC)の最古参委員であるディック・パウンド氏(79)の「アルマゲドン」発言が波紋を広げている。

英紙「イブニング・スタンダード」(電子版)は2021年5月25日、東京五輪開催へ向けてのパウンド氏の見解を報じた。記事の中でパウンド氏は「前例のないアルマゲドンに見舞われない限り、東京五輪は計画通りに進むだろう」と持論を述べた。

最終戦争、人類滅亡意味する「アルマゲドン」

パウンド氏が口にした「アルマゲドン」とは、最終戦争、人類滅亡を意味する言葉で、とても過激な表現だ。

パウンド氏は、突発的な大事に直面しない限り五輪は開催されると強調したかったかもしれないが、残念ながら「アルマゲドン」を用いたことで理解に苦しむものになった。

そもそも東京五輪・パラリンピックは、スポーツを通じて東日本大震災の復興を後押しするもので、「復興五輪」を掲げてきた。そして現在、新型コロナウイルスの影響で先行きに不安を抱えている国民もおり、そのような中であまりにも配慮に欠けたIOC委員の発言だった。

五輪中止の選択肢を事実上排除したパウンド氏の発言は日本でも話題となり、このニュースを伝えたインターネットのコメント欄では批判的な声が相次いでいる。

バッハ会長「我々はいくつかの犠牲を払わなければ」

IOCは何様なのか」「五輪は平和の祭典ではなかったのか」「IOCの傲慢さには...」「完全に日本のことをバカにしている」などの声が上がり、パウンド氏に対して反発の声が強まっている。

五輪開幕を約2カ月後に控え、IOC委員による問題発言が相次いでいる。

IOCのジョン・コーツ調整委員長(71)は5月21日に緊急事態宣言下でも五輪は行われると明言。翌22日にはバッハ会長(67)が国際ホッケー連盟のオンライン総会にビデオメッセージを寄せ、この際の発言が波紋を広げた。

バッハ会長の発言を伝えたインドのPTI通信によると、バッハ会長は「東京大会を実現するために、我々はいくつかの犠牲を払わなければならない。選手は夢を間違いなく叶えることができる」と話したという。

バッハ発言、IOC広報が火消しに走るも...

バッハ会長が発言した「我々」のなかには日本国民が含まれるとし、国内では批判の声が上がり、後日、IOC広報が会長の発言に誤解があるとして火消しに走る一幕があった。

IOCの広報担当者は、バッハ会長が「我々」としたものは「日本国民にではなく、五輪関係者、五輪運動に向けた発言」と説明した。

IOC幹部による「問題発言」が続く中での今回の「アルマゲドン」発言。五輪開催へ向けてIOCの「意思表示」は過激さを増している。