「iesys.exe」の作者であり遠隔操作事件の真犯人からのメール全文が公開中、最大の問題点は何か?
By antitezo
したらば掲示板経由でリモートコントロールしてまったく関係の無い人のパソコンから犯行予告を行い、数々の冤罪事件を引き起こし、警察や検察が謝罪をすることになった遠隔操作事件の真犯人であり、あの「iesys.exe」の作者から落合洋司弁護士のところへ犯人しか知り得ない秘密が書かれたメールが届き、連日あちこちで報道されていますが、そのメール全文が公開されました。件名は「【遠隔操作事件】私が真犯人です」となっていたそうです。
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20121021
以下が本文となっており、個人名・URL・メールアドレスなどは差し替え済みです。
■はじめに
現在報道されている大阪・三重の遠隔操作ウィルス事件について、私が犯人です。
このメールには犯人しか知り得ない事実、つまり「秘密の暴露」が多く含まれているので、
このメールを警察に持っていって照会してもらえば、
私が本物の犯人であることの証明になるはずです。
■私の目的
「犯行予告で世間を騒がすこと」
「無実の人を陥れて影でほくそ笑むこと」
などではなく、
「警察・検察を嵌めてやりたかった、醜態を晒させたかった」という動機が100%です。
なので、ある程度のタイミングで誰かにこの告白を送って、捕まった人たちを助けるつもりでした。
■このメールを送信する相手に落合洋司先生を選んだ理由
これを明るみにしてくれそうな人なら誰でも良かったです。
落合先生がたまたまテレビに出ていたから、また、事情に詳しそうだったので。
そして、後述の「悠仁さま脅迫」で捕まった福岡の(被疑者名)さんを先生の力で助けてあげてほしいです。
■トロイ(ウィルス)について
既成の亜種ではなく、私が一から開発したものです。
まだ公表されていませんが、「iesys.exe」が実行ファイル名です。
「したらば掲示板」を通じて命令受信や結果出力処理を行います。
報道のとおりキーロガー機能もついていて、キー入力収集データもしたらばに書き込みます。
画面キャプチャやPC内のファイルを任意のURLにPOST送信する機能もあります。
↓操作マニュアル
(url)
■私が関与した事件一覧
●6/29
横浜市ウェブサイトでの、保土ヶ谷区桜台小学校へ無差別殺人予告事件です。
7月はじめに19歳明大生逮捕の報道がありました。
この件は話題のトロイではなく、単なるJavascriptのクロスサイトリクエストフォージェリを仕掛けただけです。
明大生は、掲示板に貼ったURLをたまたま踏んだだけです。
以下がその内容の全文です。(この事件の報道では断片しか発表されていません)
・名前
鬼殺銃蔵(おにごろしじゅうぞう)
・メールアドレス
kichigai@schoolkiller.com
・タイトル
桜台小を襲撃してガキ共皆殺しにしてやる
・本文
夏休み前に殺ります。
猟銃と包丁で完全武装して学校へおじゃまします。
散弾とスラッグ弾合わせて100発あります。
男の子は散弾で胸を撃って大穴を開けてやります。
女の子はスラッグ弾で頭を撃って首なし死体にします。
包丁も使って1匹1匹虫けらのようにブチ殺します。
教師もいっぱい殺します。
殺し疲れたらそのまま銃で自殺します。おやすみなさい。
ガキどもは夏休みのバカンスに行かずにワタシとあの世に行きます。
もう学校に行かなくていいです。永遠の夏休みです。
夏休み前に殺ってやる。
夏休み前に殺りにいく。
夏休み前に皆殺し。
逮捕報道の2日後ぐらいに、全く同じ手口(CSRF)で横浜市サイトに告白文を送ったのですが、
その後どうなったのかは報道が無いので不明です。
●7/29-8/1
このときから自作の遠隔操作トロイを使用しました。
感染させたのち、画面キャプチャ機能で、ある程度観察しました。
以下がキャプチャの一部です。
(URL)
(URL)
※このgmailの画面からPCオーナーが「北村真咲」という名前であることを知りました。
大阪に住んでいることも分かったので、日本橋のオタロードを対象に選定し、
7/29に大阪市サイトから予告文を送信するよう指令を送りました。
その後、首相官邸のページから「桜田門前で皇居ランナーを無差別殺人」という予告も送りましたが、
このことは報道が無い模様です。
あとは8/1に日航脅迫を送ったあと、自己削除コマンド「suica」を送ってトロイを消去。
※なぜsuicaかというと、「自殺」を意味する英語「suicide」にしようと思ったのですが、
プログラム実装してたときにスペルを度忘れしてしまったので適当に設定しました。
●8/9
2chへの書き込みです。
ここ↓の366と372で晒されている、
(URL)
「コミケで大量殺人」「天皇をライフルで殺す」書き込みです。
感染先は(会社名)という会社の社内PCでした。
(個人名)という人のPCのようでした。
今回のバージョンからPC内のファイル送信機能を付けたので、
社内のファイルをいくつか見させてもらいました。
↓(個人名)氏のマイドキュメントフォルダのファイル一覧
(URL)
この件はどちらもニュースになっていないので、捜査されたのかされていないのかは不明です。
●8/27
感染PCを遠隔操作して(プロバイダ名)メールのアカウントを一つ作成し、
これを使って4箇所にメール送信。
メールアドレス:(メールアドレス)
パスワード:(パスワード)
・お茶の水女子大学附属幼稚園宛て (メールアドレス)
タイトル:お茶の水幼稚園を襲撃して悠仁を殺害する
始業式を狙って襲ってやる。
始業式に不在ならほかの日を狙う。
刃物持って無差別に刺す。
ガソリン撒いて焼き殺す。
悠仁だけはかならず刺し殺す。
わるい天皇制を終わりにしてやる
ご学友ともどもあの世へ送ってやる!!
・学習院初等科宛て
上記とほぼ同内容。対象は愛子様とご学友。
・(子役タレント名)ちゃんの所属会社宛て(メールアドレス)
タイトル:(子役タレント名)を誘拐してレイプしたあとバラバラにして殺す
本文:
(子役タレント名)を車で拉致。
3人の成人男性がバコバコにレイプしてやる
その後生きたまま手足を切り落として宅配してやる。
できるだけ死ぬのに時間がかかるように切り刻んでやるからな。
・部落解放同盟宛て
「部落民は死ね」「本部を襲撃する」等の内容
なお、感染PCのマイドキュメントフォルダにテキストファイルを残しておきました。
このメールアカウントのログインID・パスワードと犯行予告本文の一部が書いてあるファイルです。
これを警察が発見したらオーナーが犯人で間違いないと誤認すると思ったので。
ついでに2chに、ここ↓の377で晒されている書き込みもしました。
(URL)
このPCオーナーは福岡のハローワークのサイトを見ていたのが分かったので、
福岡在住だということは分かったけれど、今回は居住地を反映させる予告にはしませんでした。
数日後、悠仁さま脅迫の件で福岡の「(個人名)」が捕まったと報道。
なんと、「容疑を認めている」とのこと。
警察の強引な取り調べで認めてしまったことと予想されます。
その後報道が無いけれど、起訴されていればまだ拘留されているはずなので、
かわいそうだから早く助けてあげてください。
●9/10
報道のとおり、2chに伊勢神宮爆破予告、任天堂爆破予告。
PCの中身から、この人が三重在住だと分かったので伊勢神宮をターゲットにしてみました。
数日後、「(個人名)(27 無職)」逮捕の報道が。
なお、この時だけはわざとトロイを消さないでおきました。
仕掛けたトロイを警察が見つけてくれるか、見つけられないか、
見つけたなら誤認逮捕を認めて彼らを釈放するのか、
見つけたけれど無かったことにして黙殺し彼らを犯人扱いのままか、
・・・そんなふうに警察がどう出るか試す意図がありました。
結果的に2人釈放。警察・検察にしては殊勝なほうだと思いました。
■警察・検察の方へ
あそんでくれてありがとう。
今回はこのぐらいにしておくけれど、またいつかあそびましょうねーーー
いずれの件でも、本当に凶行に及ぶつもりはありませんでしたのでご安心ください。
それから、北村氏らに、犯人が「巻き込んですみませんでした」と言っていたと伝えてください。
警察や検察がIPアドレスなど上記のようにしていくらでも偽装できるにもかかわらず「指紋」と同様の証拠であると考えていたことは既に警察幹部が「IPアドレスが判明すれば、捜査は半分終わったようなものだと思っていた。想定外の事態ですよ」と漏らしていると報じられていることによって明らかですが、本当に問題なのは、今回の件で何もしていない無関係の者を逮捕しただけではなく、「鬼殺は日本酒の商品名。13が不吉な数字だからジュウゾウと読ませようとした」「楽しそうな小学生を見て自分にない生き生きとしたものを感じ、困らせたかった」というようなニセの自白を詳細に作文してでっち上げていた、つまり「自白強要という名の偽造」を行い、事実上の違法捜査をしていた点にあります。このようにして警察・検察が取り調べの過程を録画録音して記録していないのをいいことに自分たちに都合のいいように「作文」しているということは昔から知られており、数々の冤罪事件の原因になっているので「取り調べの可視化・記録」がこれまでも求められてきたわけですが、「捜査に支障が出る」などの言い訳でごまかしてここまでずるずると続けてきた末にこんなことになったわけです。
今回の事件の恐ろしい点は、警察は躍起になって真犯人を捜し出そうとしているものの、事件の本質はそれではなく、「無実の人がはめられて誤認逮捕された場合、犯人でもないのに嘘の自白を強要させられ、人生をめちゃくちゃに破壊される」可能性が、対岸の火事ではなく、インターネットをしているすべての人に降りかかってきている、という点。この点については既に特定非営利活動法人日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)が報道関係者向けの緊急説明会の中で「今回はたまたま痕跡が残っていたが、犯人が痕跡を完全に消していたら、釈放された人たちが犯人とされていたかもしれず、無実の立証はさらに難しくなる」と語っていることからも明らかです。
実際に今回の事件で間違って逮捕され、上記の無関係で何も知らないにもかかわらず詳細なでっちあげの自白を作文されたケースでは「少年は10分間ほど、何も言わずに泣き続け、上申書を書き始めたという」と報じられており、そこでわいてくる一般的な疑問として「なぜ無実の人が自白するのか?やっていないのであれば無実を主張し続けて否認し続けるはず」というのがあるわけですが、これについては下記のようなことがわかっています。
講演「なぜ、無実の人が自白するのか?−アメリカの虚偽自白125事例が語る真実−」に参加して−JanJanニュース
http://janjan.voicejapan.org/living/0812/0812173677/1.php
まず虚偽の自白をする確率は取り調べの時間が長くなればなるほど上がっており、「6時間以上になるとかなり高くなる」とのこと。さらに虚偽自白は以下の4つのタイプに分類されています。
1:自発的な虚偽自白―警察からの圧力がないのに、意図的に自分を有罪とする供述を行う。
2:強要されて迎合した自白―危険を受ける恐れから、または、減刑の約束に応じて自白を行う。
3:ストレスによる迎合―法的に妥当な範囲を超えた取調べによる極度のストレスからの逃避のために自白を行う。
4:信じ込まされた・取り込まれた―罪を犯した記憶がないにもかかわらず、自分がやったに違いないと認め、心から(ただし往々にして一時的に)罪を犯したと信じ込む。
さらに警察の取り調べが非常に過酷なものであり、「取り調べの可視化と記録」を頑なに長年拒み続けてきた理由も、アメリカの事例ですがテクニック的には日本でもあまり差は無いため、以下を読むとよく分かります。
アメリカの警察は訓練を受けており、被疑者が自信を失くし、絶望感を持つまで取調べを行います。絶望感にひたった被疑者は、自分が犯人であることを示唆するような発言をしてしまいます。捜査官は罪を認めたという供述がほしい。自白のプロセスは、認める前の段階では被疑者との関係構築が重要であり、認めたあとは自白の内容が虚偽かどうか重要となります。
無実の被疑者が絶望感に陥り、無実を主張するより自白が有利と思わせる方法はなにか。被疑者との関係を構築したのち、突然、「おれたちは、おまえがやったかどうか訊くためにここにいるわけじゃない。どうしてやったのか訊くためにいるんだ」「おまえがやったはずだ。証拠もある。自白したほうが身のためだぞ」などと対決モードに変わる。
捜査官は被疑者に対し、有罪だと信じている状況から始まるため、被疑者が自らの無実を訴えようとしても割って入り、認めるまで取調べは何時間にも及ぶ。プロセスの中で被疑者の自信が最後は絶望感に変わる。
被疑者の自白を促すテクニックは、「おまえがやったという何人もの証人から話を聞いているんだ」「おまえの共犯者はおまえに罪をかぶせようとしているぞ」などと言い、「おまえの毛髪、血液、精液があの部屋で見つかった。研究所に送っているが、鑑定結果が出たらおまえも終わりだな」などと、嘘をついたり、持っている証拠で被疑者をだましたりする。
あるいは、被疑者の対面を保ってやり、「子どもに食べさせるために金を盗んだんだろう」「被害者を襲ったのは、自己防衛のためだったんだろう」「合意の上での性行為だったんだろう」などと言ったりする。最初から無実のオプションは与えられておらず、動機づけをしたら自白に追い込んでいく。
強制的な動機付けについては、良心、良識、信仰、道徳心への訴えかけや、「自白しないと死刑になる」などといった量刑軽減の約束や危害への恐れや、「警察官や判事の立場にもなってみろ。協力的なやつと、そうじゃないやつと、どっちを相手にしたいと思う?」などと言い、自白をするほうが検察官や裁判官の心証を良くし、被疑者に資すると思わせるやり方があります。
被疑者の記憶への自信を失わせる攻撃もあります。被疑者は疲れてくると、自分の記憶を疑い始めます。「たぶん自分がこんなひどいことをしてしまったに違いない。でも、どうして思い出せないんだろう」。それに対し、捜査官は十分な答えを用意しています。「一時的な無意識状態」か「夢遊状態」にあったと思いこませる。あまりに痛ましいので自分の意識のなかで抑制してしまっているのではないか、被疑者に自分の記憶に疑いを持たせ、記憶にない犯罪を犯してしまったのではないかと思わせるのです。
アメリカでは、警察が被疑者にこのような心理的圧迫を与える方法で、動機付けを行い、否認して厳しい刑を受けるのか、自白して減刑するのか、被疑者に迫るといったやり方で虚偽自白が起こるのがほとんどのケースだそうです。
今回の件では「認めたほうが処分軽くなる」と取り調べの過程で言われて虚偽自白をしたそうなので、まさに上記で書かれている「自白をするほうが検察官や裁判官の心証を良くし、被疑者に資すると思わせるやり方」が使われたことになります。
こういった「自白させるテクニック」に加えて、未成年・知的障害・精神疾患・薬物乱用・睡眠の剥奪・暗示にかかりやすいなどの弱みを持っていると、さらに虚偽自白をさせられやすくなるわけですが、「大半の虚偽自白は脆弱性がなくても起きており、誰にも限界点があることが、調査の結果、わかった」とのことなので、誰でも虚偽自白はさせられると言っても言いすぎではないようです。
今回の件で白日の下に晒されたように、「無罪でも逮捕されて有罪にされ、自分の人生も生活もある日突然すべてが破壊される」というとんでもないことが誰の身にでも起きる事態にもう既になっており、特に現時点では「ダウンロード違法化」が2012年10月1日から「刑事罰化」されているため、今回のように無実の者が警察に犯罪者扱いされて人生が破壊される……というようなことが、今すぐ誰にでも起きる可能性があり、いくら自衛策を講じても結局のところ、「警察に逮捕されたときにあらゆる自白テクニックに耐えうるかどうか」がすべてです。
警察・検察がその捜査手法を根本的に変え、冤罪事件を起こさないためにも「疑わしきは罰せず」を徹底していき、取り調べの可視化・記録はもちろんのこと、今回のように明白にでっちあげの自白調書を偽造した者を罰していく必要がある、と考えられます。
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