自動車業界は脱炭素化の流れにあるが、どんな状況下でも稼働することが求められる「緊急車両」の世界ではどうなのだろうか。「TOKYO GX ACTION MUSEUM」のいすゞ自動車で、カーボンニュートラル(CN)燃料でも走行可能なVR防災体験車「VR Bosai」を実車確認してきた。

デカい! 「TOKYO GX ACTION MUSEUM」のいすゞブースでVR防災体験車「VR Bosai」を実車確認

いすゞ「GIGA」ベースの消防車で脱炭素化?

いすゞ自動車は「TOKYO GX ACTION MUSEUM」(7月25〜26日に東京ビッグサイトで開催)に出展した。ブースのテーマは「カーボンニュートラル(CN)燃料による安心×斬新な緊急車両の脱炭素化」。その一例として、東京消防庁が所有する「VR防災体験車」を展示した。どんな状況下でも稼働することが求められる緊急車両において、CN燃料の活用(脱炭素化)とBCP(事業継続計画)の両立を図る未来像を提案しているのだという。VR防災体験車のベース車両はいすゞの大型トラック「GIGA」だ。

大型トラック「GIGA」がベースのVR防災体験車「VR Bosai」

「VR Bosai」が搭載するのは、大型トラック用としてはコンパクトな排気量9.8Lの「PPNLT 6U型」エンジン。最新のディーゼル直列6気筒OHC2段/VSG可変容量ターボチャージャー+コモンレール燃料噴射式で、最高出力は360〜400PSを発生する。

従来の大型トラックが採用していた12L〜15Lクラスと同等の力強さを発揮しつつ、エンジンの軽量化と省燃費化を両立できているのが同エンジンの特徴。低回転からフラットな最大トルクを発揮することから、ドライバーの疲労軽減にも寄与するという。

型式のPPNLTは「Post Post New Long Term」(ポスト・ポスト新長期排出ガス規制)の略。これまでの「NLT」(新長期規制)や「PNLT」(ポスト新長期規制)に続く、NOx(窒素酸化物)やPM(粒子状物質)の排出を極限まで抑えた平成28年排出ガス規制(PPNLT規制)に適合していることを意味する。



消防車や救急車などの緊急車両については、緊急時における運用の継続性が求められると共に、その動力として大量のエネルギーを必要とするため、電動化による脱炭素化は現状では非常に困難。そのためのひとつのソリューションとして、軽油系のCN燃料(=HVO)を使い、既存の内燃機関を活用した脱炭素化と緊急車両での事業継続性の確保を図るというのが、今回のVR防災体験車が体現するテーマだ。



「VR Bosai」を体験!

いすゞブースに展示されたVR防災体験車「VR Bosai」は全長約12m、全高約3.5m(体験時は4.1m)、車両重量約16トンという巨大な車両。荷台に備え付けられたモーションシートで、同時に8人が災害を疑似体験できる。参加者はヘッドマウントディスプレイを装着し、3分間の地震の揺れと振動(震度7クラス)、におい、水しぶき、熱気など、臨場感あふれる演出を体感していた。







原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。 この著者の記事一覧はこちら