EVを牽引してきた『日産サクラ』国内販売10万台超を達成 BYDラッコ発売、年内にスズキ新車登場など、群雄割拠の時代へ【自動車ニュースを読む】
国内累計販売10万台超を達成
日産自動車は7月、軽自動車BEV(バッテリー式電気自動車)の『日産サクラ』が2022年の発売以来、約4年で国内累計販売が10万台を超えたと発表した。
【画像】国内販売10万台超を達成!日本でのBEVを牽引する『日産サクラ』 全53枚
サクラがユーザーから支持を得ている理由は、軽自動車のメリットである運転のしやすさとBEVの静かでなめらかな走り、流麗で均整のとれたデザインなどが挙げられる。

2022年の発売以来、約4年で国内累計販売が10万台を超えた日産サクラ。 日産自動車
また、近距離移動を主体とする軽自動車のユーザーをターゲットに、1回の満充電で走行できる距離を限定的にして、バッテリー容量と車両重量の最適化を図ることでユーザーニーズにマッチさせたことは大きい。
さらに4月のマイナーチェンジでは、より上質で華やかさを増したエクステリアデザインに変更。100V AC電源(1500W)を、ラゲッジルームとインパネの2ヵ所へ装備した。
これにより、移動式給電車として災害時や企業のBCP(事業継続計画=自然災害や事故などの緊急時に事業への影響を最小化して早期に復旧や継続を図る)にも活用することができる。
実用面でも助手席側カップホルダー追加やエアコンの風向性能改良、使いやすさ向上のために移設したドライブモードスイッチなどで、快適性も向上させている。
国内BEV市場を牽引するサクラの存在感
日本におけるBEVの販売は過去4年ほどで急激に増えているが、その中においてもベストセラーモデルとしてBEV販売全体のおよそ3割を占めてきたサクラの販売台数は群を抜いており、その存在感は極めて大きい。
最新の販売状況に着目すると、6月のサクラ販売台数は1913台で前年同月比168.2%(全国軽自動車協会連合会/新車販売確報より)と、マイナーチェンジ効果も出ていると捉えられる。

同じ日産のルークスなら1回の満タンで400km以上走れるのに対し、サクラは1回の満充電で150kmほどが現実的。 日産自動車
しかし、日本のBEVの販売シェアは未だに5%未満。ここで改めてBEVとガソリン車の実用上の違いを述べれば、条件にもよるが、同じ日産の軽自動車であるルークスが1回の満タンで400km以上走れるのに対し、サクラは1回の満充電で150kmほどの走行が現実的なところ。
また、警告灯がついてからガソリンの満タン給油時間は多めにみても5分ほどだが、同様にバッテリーを80%まで充電するにはこれも条件にもよるが40分ほど要するため、長距離走行時の利便性においては明確な差が存在する。
そんな中、毎日の走行が100km以下であれば日産サクラは十分に役割を果たし、BEVらしい走りの良さも持ち合わせる。家庭で充電できればガソリンスタンドに行く必要がなくなるため、近距離移動に割り切って走るユーザーにとっては非常に魅力的だ。
群雄割拠の時代に突入した国内BEV市場
今年は日本のBEV市場が転換期にあり、4月に業界を牽引してきたサクラがマイナーチェンジを施し、5月にはホンダから軽自動車規格ではないが、かつてのシティターボIIを彷彿とさせるスーパーワンが登場した。
さらに本稿執筆時点では発表前だがBYDからはラッコが登場し、スズキも年度内に軽BEVを登場させることを発表。従来のガソリン車がBEVに置き換わる考え方とは異なり、ユーザーニーズに沿った魅力的なモデルの登場が予想される。

日本のBEVもいよいよ、クルマ本来の魅力としてユーザーに受け入れられるモデルが登場する時代が到来か。 日産自動車
サクラやスーパーワンが人気を得ている理由としてユーザーに『欲しい』、『乗りたい』と思わせる点が大きく、旧来のカーボンニュートラルなどの社会的側面ではなく、クルマとして魅力的な側面が強いと考えられる。
つまり、それらは社会通念上の慈善行為でもなければ経済合理性を伴うものでもなく、言わばスポーツカーの尖った魅力に通ずるものがあり、クルマ本来の価値としてBEVが受け入れられ始めた証明とも言えるのではないか。
米国のテスラや中国のBYDがそうであるように、日本のBEVもいよいよ、クルマ本来の魅力としてユーザーに受け入れられるモデルが登場する時代が到来したとは言い過ぎだろうか。
いずれにせよ、補助金ありきの現状であることを忘れてはならないが、魅力あるBEVが市場に投入され、日本の自動車市場が活性化することは好ましいことだ。既にホンダはN-BOXにEV追加を明言し、新たなブランドとなるエムタの参入など今後も話題は続く。各メーカーが今後、どういったBEVを投入してくるか楽しみだ。

