「ノアの箱舟出動」…洪水の中で学生6000人を救った中国のはしけ
折り畳み式の浮橋型はしけが、中国で台風による洪水被害現場における新たな人命救助手段として注目を集めている。
16日、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によると、台風10号「メイサーク(Maysak)」の影響で、最近、中国南部の広西チワン族自治区貴港市の広西物流職業技術学院(大学)を含む周辺地域で、水深5メートルに達する洪水が発生した。
当時、孤立していた学生や教職員ら数千人は、折り畳み式のはしけを利用して全員が無事避難した。
国有の緊急救助機関である中国安能建設集団は8〜9日、救助現場にはしけ3隻を投入した。救助活動は約11時間続き、学生や教職員ら約6000人が安全な場所へ避難した。
◇10分で展開…「現実版トランスフォーマー」と話題
このはしけは全長約60メートル、幅8メートルで、最大60トンまで積載できる。自走装置を備え、乗客を満載した状態でも時速約10.8キロで航行することができる。
救助機関は、モジュール式で製作されたはしけが現場で約10分で設置を終え、直ちに運用に移ることができたと説明した。
9日にはソーシャルメディア(SNS)のX(旧ツイッター)に、洪水で学院の建物に孤立した学生や教職員を救助するため「ノアの箱舟」が投入されたとの説明とともに、応急動力はしけを使った救助映像が投稿され、急速に拡散した。
映像には、濁流にのみ込まれた広西チワン族自治区一帯や、救助活動のため投入された軍用トラック、救助隊の様子が映っていた。救助隊が設置した応急動力浮橋を渡って、学生や教職員が順番に避難する姿も収められていた。
丸められた状態で軍用トラックに積まれて運ばれてきた装備は、浸水地域に到着すると、あっという間に展開し、いかだのような形になった。建物内に取り残されていた学生や教職員は、救助装備が到着すると歓声を上げながら避難を始めた。
中国のインターネット上では「まるで水上救助空母のようだ」「とても安全そうだ」などの反応があがった。
中国外務省の毛寧報道官もX(旧ツイッター)で映像を共有し、中国の「現実版トランスフォーマー(real−life Transformers)」と紹介した。
◇ゴムボートの限界を補完…極限環境でも運用可能
はしけが投入される前まで、救助隊はゴム製救命ボートを使って救助活動を行っていたが、一度に運べる人数が少なく、避難に苦労していたという。
はしけ製造会社「中国船舶重工集団応急預警与救援装備股份有限公司(China Harzone Industry)」のホームページによると、この装備は標高3300メートルの高地や極寒地などの極限環境でも運用できるよう設計されている。同社は国有企業・中国船舶重工集団の子会社だ。
◇広西チワン族自治区で洪水被害拡大…39人死亡
9日、中国国営新華社通信によると、甘粛省隴南市宕昌県では7日に発生した土砂崩れで森林作業員21人が死亡した。同日、湖北省では豪雨と突風により11人が死亡、1人が行方不明となり、300人余りが負傷した。
一部地域で累積降水量が90センチを超えた広西チワン族自治区では、先週末から続く熱帯暴風雨「メイサーク」に伴う豪雨により、これまでに6人が死亡、11人が行方不明となった。住民37万5000人が被害を受け、このうち約13万人が避難した。
![中国・広西チワン族自治区貴港市の広西物流職業技術学院周辺で、洪水救助に投入された浮橋型のはしけ。[写真 X(旧ツイッター)キャプチャー]](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/f/e/febb8_204_c7aab720_c3288b06.jpg)
