「サッカーには必要ない」韓国BTSと世界的歌姫が共演の豪華ショーが波紋 珠玉の決勝を蔑ろにするFIFAの“規則破り”に米国内でも反発広まる「問題を生む」【W杯】

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シャキーラをはじめ、世界的なビッグアーティストが共演するW杯決勝でのハーフタイムショー(C)Getty Images

莫大な収益を見込んだFIFA会長の肝いり企画

 4年に一度の一大スポーツイベントを彩る“スーパースターの競演”の存在が賛否両論を生んでいる。物議を醸しているのは、現地時間7月19日にアメリカのニュージャージー州にあるメットライフ・スタジアムで行われる北中米ワールドカップ(W杯)の決勝戦で史上初めて開催される「ハーフタイムショー」の存在だ。

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 とにかく規模は凄まじい。ホスト国であるアメリカにおいて「国民的行事」とも言われるアメリカンフットボールの最高峰『NFL』のリーグ優勝決定戦「スーパーボウル」で催されるハーフタイムショーを模倣する今回は、韓国の世界的ボーイズグループ『BTS』を筆頭に、マドンナ、ジャスティン・ビーバー、シャキーラ、ポストマローンらが共演。サッカーの枠を超えた価値を生み出すことで、チケット収益、放映権料の増大、新規スポンサーの獲得など数多のメリットを生むと見込まれている。

 一方で反発も招いている。ハーフタイムショーは、収益の拡大化を推し進める国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ会長が長年構想を練ってきた肝いり企画だが、国際サッカー評議会(IFAB)で「15分を超えてはならない」と定められているハーフタイムが「最大で30分」の延長が見込まれ、選手たちの健康状態やプレーへの影響に懸念が示されているのだ。

 英紙『The Guardian』は、「今大会のFIFAはとくにアメリカ市場の期待に応えるべく、エンターテイメントな側面を大幅に強化した。その結果、国際的に定められている競技規則でさえも違反しようというのだ」と指摘。莫大な収益の代わりに、競技性が劣るリスクを憂いた。

「ハーフタイムの長時間の中断によって試合で影響が生じる。しかも、その試合はワールドカップ決勝だ。結局は選手やコーチが対処すべき問題となるが、間違いなく試合の流れは変化し、チームの勢いは変わり、試合はより断片的なものになる。アーティストたちのパフォーマンスはサッカーのためにあるのではなく、広告主を喜ばせるためだけにある」

アルゼンチンとスペインというサッカー界屈指の好カードだけに、「シンプルに見たい」という声は尽きない(C)Getty Images

選手負担を取るメリットは何か?

 アメリカンフットボールである種の伝統となっているハーフタイムショー。それはスポーツビジネスにおいて一つの成功例と言えよう。だが、ワールドカップは4年に一回だけの「国際大会」である。何よりも選手ファーストであるべき舞台、それも決勝戦で「長時間の休止が選手の健康と安全に悪影響を及ぼす」として定められた規則を無視し、競技性を落とすリスクを取ることに、何のメリットがあるのだろうか。

 FIFAの強硬な姿勢を嘆く英紙『Telegraph』は、「これは一体何の試合だというのか。ワールドカップ決勝か、それとも何かフェスか」と糾弾。やはり強い反発を記している。

「FIFAがスーパーボウルに匹敵するようなハーフタイムショーを企画する必要性は何だというのか いずれにしても、選手たちの健康が全く考慮されていない彼らの判断は理にかなっていない。スーパーボウルとワールドカップ決勝は違う。ハーフタイムショーはサッカーには必要ない」

 世界的な批判を受け、米国内でも疑問の声が上がっている。米メディア『Essentially Sport』は「休憩時間が20分を超えれば、選手たちは身体のキレや集中力を失い、再びウォーミングアップが必要になる」と断言。「30分以上も間が空くことになれば、回復と試合の強度を取り戻す上で、間違いなく多くの問題を生む」と嘆いている。

 サッカーの在り方、そして競技性を変えるショーを実施するFIFA。大バッシングを受けても揺るがない強硬的なスタンスは結構だが、「選手ファースト」が実現されない試合運用を認めるなど言語道断である。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]