「美馬」の歴史ミステリー 知られざるスポットをめぐる【徳島】
県西部、美馬市のとある場所に、歴史の謎が残された知られざるスポットがあります。
今回も私、森本が訪ねてきました。
美馬の歴史ミステリーに迫ります。
最初に訪ねたのは、美馬市美馬町の戦国時代の痕跡が残る場所。
(森本アナウンサー)
「こちらで待ち合わせをしていまして、おはようございます」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「おはようございます」
案内をしてくれるのは、美馬市教育委員会で文化財などを担当している、小島靖彦さん。
神奈川県出身で、奈良で考古学を学んだエキスパートです。
(森本アナウンサー)
「なんですかここは?」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「重清城の跡になります」
(森本アナウンサー)
「重清城址?」
美馬市の指定文化財「重清城跡」です。
城と言えば石垣と天守閣をイメージする人が多いと思いますが、実戦では、建物の周りに「土塁」と呼ばれる土の防壁を築く方式が主流でした。
ここ「重清城跡」は戦国末期、土佐の長宗我部氏が阿波へと侵攻した際、攻防戦も繰り広げられたという歴史の舞台でもあります。
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「この奥に石組みの井戸が残っている」
(森本アナウンサー)
「ここ広いですね、向こうからだとわからない」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「(遺跡は)奥の方に広がっている」
(森本アナウンサー)
「こんなに開けているんだ、この中に井戸がある? 」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「自然の石を使って、井戸が作られている」
(森本アナウンサー)
「400年以上経っても、保存状態が良好なんですね」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「石垣も崩れていない」
(森本アナウンサー)
「中世の城郭の中で、井戸がきれいに残っているのって、あんまりないんですか」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「少ないですね。なので、こちらがとても珍しい」
(森本アナウンサー)
「次は、どこに連れていってくれるんですか 」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「次は伊射奈美(イザナミ)神社に」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「イザナギとかイザナミは国生みの神、いろんな神様を生んだとか言われている」
「延喜式(えんぎしき)に書かれた伊射奈美神社は、阿波の国の美馬郡に一つしかない」
「延喜式」とは、今から1100年ほど前に編纂された、当時の法律を書いた本。
中には、全国にあった神社の名前も記されていて、当時イザナミの名前が付く神社は全国2861社のうち、阿波の国・美馬郡にしかありません。
現在、美馬市には2つの伊射奈美神社が存在しますが、どちらが「延喜式」に記された伊射奈美神社なのかは、分かっていないんだそうです。
それでも国生みの女神の名を持つ神社は、県外からツアー客が訪れるほどの隠れた名所なんだとか。
かつては吉野川の中洲にあり、北岸へと移設された伊射奈美神社の一つを訪ねました。
(森本アナウンサー)
「風格がありますね、すばらしい」
「移転したといっても、もともとこちらに鎮座していたという感じもします」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「イザナギはいくつかあるが、イザナミと言ったら美馬しかない」
(森本アナウンサー)
「なぜなんでしょう」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「美馬は古代から栄えていたので、それが関係しているのかもしれない」
最後に向かったのは、美馬市穴吹町の山の中。
車一台がやっと通れる、未舗装の道を進みます。
(森本アナウンサー)
「だいぶ涼しい」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「寒いくらいです」
(森本アナウンサー)
「寒いですね、まだまだ」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「まだまだ、これから歩きます」
(森本アナウンサー)
「何分くらい」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「15分くらい」
ここからは、歩いて山を登ります。
急な勾配、荒れた足元、文字通りの獣道です。
(森本アナウンサー)
「もう、なかなかしんどい」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「角度がきつい」
(森本アナウンサー)
「普段誰が通るんですか」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「参拝者とか」
(森本アナウンサー)
「参拝者はどこに行ってる、今」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「石尾神社へ」
(森本アナウンサー)
「神社」
道なき道を行くこと約15分。
ようやく目的の場所にたどり着きました。
(森本アナウンサー)
「到着?」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「到着です」
(森本アナウンサー)
「めちゃくちゃ大きいですね」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「着きましたね、石尾神社です」
(森本アナウンサー)
「すごいな」
石尾神社は、古代の祭祀場と考えられている場所です。
美馬市の指定文化財で、国内でも珍しい板状の岩を立てて並べた境界「磐境(いわさか)」があります。
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「金の鶏の風穴に行きます」
(森本アナウンサー)
「金鶏の風穴って、あの金鶏の風穴!すごい、感動」
風穴の中には清水があり、そのさらに奥にある金の鶏の像に触れると、剣山に移動できるという言い伝えがあります。
伝説を確かめに行きました。
(森本アナウンサー)
「ここはもう余裕なんですけど、冷たい風が吹いてきます」
「行けるかもしれないけど怖い、行けない、挟まりそうで」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「金の鶏はいました?」
(森本アナウンサー)
「見えない、行きたいけど戻れなくなりそう」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「見てください、これが」
(森本アナウンサー)
「こんなに大きいのが、まだ上に、すごい」
神社のもっとも奥まった場所には、見る者を圧倒する巨石が鎮座します。
自然が信仰の対象だった時代、ここは神が降臨する場所、「磐座(いわくら)」だったと考えられています。
(森本アナウンサー)
「私たちの前に広がっている、圧倒される」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「間違いなく神秘的で、恐れ多いみたいな」
「先ほどの磐境、大正時代に歴史家がここにあるというのを見つけて」
「そういう形態を見て、『古代からある祭祀跡』と言われている」
(森本アナウンサー)
「すごく貴重」
(美馬市教育委員会・小島靖彦さん)
「なかなか、みなさん知らないと思います」
美馬市に残る痕跡の数々。
しかし、伊射奈美神社をはじめ、その多くは今も歴史の謎に包まれています。
最大の謎はなぜ美馬なのか。
かつて美馬とは、どんな場所だったのでしょうか。
