料理上手の頭の中をのぞいてみたら? 長年料理に苦手意識を抱いていたというイラストレーター兼マンガ家の池田暁子さんが、人気料理人の笠原将弘さんに料理上手になるコツについて聞いてみました。料理初心者でも実践しやすいから、毎日の料理が楽しくなるかもしれません。

※ この記事は『料理上手の頭ん中のぞいてみました!』(扶桑社刊)に掲載された内容を抜粋・再編集しています

【漫画】笠原さんの頭の中とは…?漫画で読む!

料理が苦手でも大丈夫?笠原将弘さんに聞く「料理上手になるコツ」

等身大の暮らしから得た気づきやハウツーを描く作品で人気の池田暁子さん。もともと料理に苦手意識があり、長い間プロの料理家たちに引け目を感じていたといいます。

そんな池田さんが今回話を聞いたのは、朝の情報番組『ノンストップ!』などでも活躍する料理人・笠原将弘さん。

笠原さんは、28歳で実家の焼き鳥店『とり将』を継ぎ、32歳で東京・恵比寿に日本料理店『賛否両論』をオープン。レシピ本も数多く手がける人気料理人です。

今回は、料理初心者でも実践しやすい「料理上手になるコツ」について伺いました。

人に喜んでもらえたとき、料理は楽しくなる

池田:私は料理にとても苦手意識があって…。少しでも「楽しい」と思えるようになりたいんです。笠原さんが料理を「楽しい」と思ったきっかけはなんでしたか?

笠原:中学1年生のとき、家にオーブンが来たんです。最初はケーキをつくっても全然うまくいかないわけですよ。悔しいから何度も挑戦しているうちに、それなりにうまくなって。卵や小麦粉がまったく別の姿のケーキになるとは! その工作のおもしろさもありましたし、家族が食べておいしいと喜んでくれたのがうれしかったですね。やっぱり人に喜んでもらえたときに、「料理っていいな」とか「楽しいな」って思いますし、それはいまだに感じています。

池田:最初は全然うまくいかなかったというのは、レシピどおりにつくったのに、うまくいかなかったということですか?

笠原:うん。スポーツだってそうでしょ? 逆上がりとかも、先生にいくら教えてもらってもわからないけど、コツをつかんだ瞬間できるようになるとか。料理も同じで、コツをつかむまでは失敗するものなんです。

レシピを信じすぎるのもよくない

池田:私はレシピどおりにつくってうまくいかないと、「このレシピおいしくない!」と思って、投げ出しちゃってました。

笠原:そこが、多くの人が陥りがちなところなんですよね…。レシピ本をたくさん出している僕がこんなことを言うのもあれなんですけど、レシピを信じすぎてもよくないというか…。たとえば、レシピに「10分煮る」と書いてあったら「絶対10分煮なくちゃいけない」と思って煮詰まりすぎちゃうとかね。日常生活では「ちょっと寒いな」と思ったら1枚羽織ったり、「天気予報では晴れだけど、雲行き的に雨が降りそうだな」と思ったら傘を持ったりとか、自分の感覚で調節をするのに、料理に関しては自分の感覚を信じないじゃないですか。

池田:レシピどおりにやりつつも、様子を見て調整してもいいんですね。

笠原:むしろしてください(笑)。火加減や時間は、自分の感覚で微調整していいんです。料理人や料理研究家のレシピなら、大きく失敗することはまずありません。ひとつのレシピを何度もつくりながら、自分なりに調整する。その積み重ねで料理は上達しますよ!

あらゆる人に「完璧にウケる料理」はない

池田:それでも、せっかくつくった料理を家族が喜んでくれなかったら…。

笠原:「どうしたらよかった?」って聞いてみたらいいと思います。たとえば、「甘すぎた」と言われたら、次は砂糖やみりんを少し減らしてみる。反応を参考にしながら、自分なりの味を見つけていけばいいんです。

池田:自分ではおいしくできたと思っていても、家族の反応はどうか気になることも…。

笠原: 家族がなに食べても大した反応しないと、やってても楽しくないですよね…。お笑いの人が全然笑わない観客にずっとやってるのと一緒でしょ? なにかしら反応は返してほしいよね。

池田:そういえばご著書(『料理人30周年スペシャル! 笠原将弘のプレミアムおかず100』扶桑社刊)で、つくった料理を尊敬するお父様からいつも「まずい」って言われてたって…。

笠原:ありましたね(笑)。

池田:くじけませんでしたか?

笠原:くじけませんでした。たまたま親父の好みに合わなかったんだろうな、くらいにしか思わなかったです。

池田:(強い…!)

笠原:たとえば人気俳優さんでも、「好きな人ランキング」に入る一方で、「苦手な人ランキング」にも入ることがありますよね。10人いれば10人が味の好みも違う。あらゆる人に完璧にウケる料理なんてないんです。だから、自分が食べたいと思うものをつくって、自分で食べて「おいしい!」と思えたら、まずはそれでいい。僕はそう考えています。

池田:食べること自体は、もともとお好きだったんですか?

笠原:まあ、実家が飲食店で親父の料理もおいしかったし、お客さんに出してるようなものを夕食代わりに食ってたからね。お店のお客さんも飲食店やってる人がいっぱいいて…。いつも来てもらって悪いからって、休みの日とか家族で行くわけですよ。子どものころからカウンターで寿司食ったり。ぜいたくにフグ刺しとか、カワハギの刺身とかも食ってましたからね。そのフグとカワハギの微妙な違いもわかってましたし。

池田:自分の味の感覚に自信がもてない人にアドバイスをするとしたら、いろんなお店に行って食べてみるということでしょうか?

笠原:まあ、興味があればね。おいしいと評判の店に食べに行って、自分のつくる料理とどれだけ差があるか見てみるのはいいと思う。