≪ついに書類送検≫「冷蔵庫がマンジャロだらけ…」“ガリガリこそが美”の夜職女性やSNSで“闇取引”され蔓延…副作用で「ハゲた」ユーザーも…医師会も都も痩せ目的の使用に警鐘
糖尿病の治療薬なのにダイエットに効くとして自由診療で提供されている「マンジャロ」を無許可でSNSで販売したとして、大阪府警は男女3人を医薬品医療機器等法違反容疑で書類送検した。一部地域では夜職女性の「8割」が使っているとの証言もあるほど蔓延する“マンジャロダイエット”だが、素人の売買や保管は違法行為として摘発される高いリスクを抱えている。
《画像》「ダイエット外来」「診察」をうたう、マンジャロをネットで販売をする美容クリニック、日本医師会は2020年にはダイエットのための処方は「禁止すべき」と表明
蔓延するマンジャロ「冷蔵庫がマンジャロだらけです」
大阪府警は2日、互いにつながりのない3人の書類送検を発表した。別個の事件をまとめて公表したのは、同種の行為は許さないと強調する狙いがあるとみられる。当局は摘発に本腰を入れ始めたもようだ。
「ひとりは大阪府枚方市の35歳の会社員の女で、昨年12月に許可なく女性2人に約6000~7000円でマンジャロを売ったとの容疑です。
残るふたりは大阪市住吉区の29歳のアルバイトの女と奈良県広陵町の22歳の大学生の男で、いずれも2月に自宅で販売目的で保管した容疑です。男はこれまで転売で約5万円の利益を得ていたとみられます。3人とも送検容疑を認めています」(在阪記者)
マンジャロは体内のインスリンの量が少なくなるなどして血糖値が高くなる「2型糖尿病」の治療に使われる「GLP-1受容体作動薬」と呼ばれる薬で、インスリンの膵臓からの分泌を助け血糖値を下げる効果がある。
この効能が「食欲を抑えることができる」としてダイエットに効くという情報が広がり、マンジャロの発売前から同種薬を使った「GLP-1ダイエット」の広告がネットでうたわれ自由診療による処方が拡大していた。2023年に販売が始まったマンジャロはその中でも飛びぬけて知名度と人気が高い薬として知られている。
ただ本来の使い方とは違う美容目的でも、糖尿病治療と同じく医師の診察と処方がなければ入手や使用はできないことになっている。しかし、今回摘発された3人は販売目的で保管するほど持っていた。
これほど出回っている背景の一端を30代の女性看護師Aさんが解説してくれた。
「マンジャロはいま、美容クリニックの医師が女性に配り歩いています。マンジャロは1回分が自由診療で8千円ほどしますが、私の友人の男性医師も高級ラウンジ嬢に気に入られるためにタダで配ったり安く売ったりしています。
またオンライン診療を受けて手に入れる時は、何か月分かを定期購買することで一本当たりの値段が安くなるんです。4本で1万8千円とかになります。
普通、マンジャロってそんな何か月分も使わないんですが、途中解約すると高い違約金が発生するので解約せずに購入してそれを1本5千円とか少し安くして知り合いやSNSで見つけた相手に売ったりするんです。私の友だちも冷蔵庫がマンジャロだらけです」(Aさん)
日本医師会は「ダイエットのための処方は禁止すべき」と表明
港区のキャバクラ嬢・Bさん(28)も周囲に蔓延している状況を話す。
「周りでは夜職の子は8割はやっているイメージです。自分で注射打つのが怖い子は、別のキャストに打ってもらったりしてます(笑)」(Bさん)
もはや医薬品管理当局の手が追い付かないほど夜の街に広がっているマンジャロだが、専門家などは早い段階から美容目的でのGLP-1受容体作動薬の使用を懸念してきた。
日本医師会はマンジャロ発売前の2020年にはGLP-1ダイエットのための処方は「禁止すべき」と表明。医師は同薬には重大な副作用のリスクがあることを説明し、リスクがあっても治療が必要で効果が期待される患者に投与されるべきで「国民の健康を守るべき医師が、治療の目的を外れた使い方をすることは“医の倫理”にも反する」とまで言っていた。
「しかしGLP-1ダイエットの風潮は拡大し、日本医師会は2023年には、美容目的の使用で糖尿病患者に使う量が確保できない問題が起きていると公表しました。
同時に、減量目的の使用は膵炎リスクが上がるとの情報があり、ダイエット目的で使用して問題が起きても副作用による被害に対応する『医薬品副作用被害救済制度』の対象にはならないと警告も出しています」(厚生労働省担当記者)
また厚労省も同年「GLP-1受容体作動薬を適用外で使用された場合の安全性及び有効性は確認されておらず、思わぬ副作用による健康被害につながるおそれがある」と注意を呼びかけていた。
「細ければ細いほど良い」「ガリガリこそが美」と考えてる風潮がある
実は前出のAさんもマンジェロが原因と疑われる症状が出たという。
「私も知人の医師から1本2千円ほどで買って使ったことがあります。身長が160センチで体重が60キロでしたが1カ月半で体重は10キロほど落ちました。食欲がなくなり一気にやせますが、髪の毛が少し禿げたので止めました。やめると食欲も戻ってきました」(Aさん)
医師の管理を離れて流通した結果、副作用のリスクを認識しないままの使用が広がり、健康問題を引き起こす懸念も出ている。
「マンジャロについては、インフルエンサーがSNSで使用を推奨したことでも知られるようになりました。しかし大阪府警の摘発と前後し、このインフルエンサーが予定されたイベント参加を辞退したり、広告塔を務めていたオンライン処方クリニックのホームページから顔写真が消えるなど、動きが出ています」(ネットメディア記者)
SNS上で医薬品の違法な販売広告のポストがあれば「医薬品医療機器等法に違反します。直ちに販売を中止してください」との警告を出している東京都薬務課のXのアカウントでは、マンジャロの販売広告への警告が過半数を占めている。
大阪府警による3人の書類送検が伝えられた後の2日午後にも、
〈マンジャロいる方いますかー?2.5mg4本残ってます(中略)メルカリ希望です〉
という宣伝ポストが現れ、即座に警告を受けていた。
前出のキャバ嬢Bさんは
「とにかく今、夜の業界は『細ければ細いほど良い』『ガリガリこそが美』として女性は考えてる風潮があるから、健康体が美とされる時代になるまでは何も変わらないと思います」
と話す。公的機関による取り締まりや注意喚起だけでなく、ルッキズムや美の価値観の変容が必要なのかもしれない。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

