記事のポイント
アーバンアウトフィッターズは、ナイキと連携した体験型小売「オンローテーション」を立ち上げ、Z世代向けの戦略を本格始動した。
レディットやピンタレストなど、ニッチなデジタルプラットフォームを活用した新たなマーケティングに挑戦している。
収益が減少する中でも実験的な施策を継続し、顧客とのつながりを重視したプレイブックを構築中だ。


アーバンアウトフィッターズ(Urban Outfitters)は、今年のマーケティングでナイキ(Nike)との提携も含めてさまざまな試みを行おうとしていると、ブランドマーケティングおよびコミュニケーション責任者を務めるシンシア・レオ氏は米Modern Retailに語った。

アーバンアウトフィッターズは5月14日、新しい小売コンセプトであるオンローテーション(On Rotation)の最初のパートナーとしてナイキを選んだ。一部の店舗に「ラウンジ形式の」空間を設け、1回にひとつずつのブランドパートナーの厳選されたフットウェアやアパレルを取り揃える。立ち上げを活気づけるためにアーバンアウトフィッターズはナイキとともに限定版のカプセルコレクションを発売し、そのなかにはこのコレクションでしか手に入らない配色のボメロ18(Vomero 18)スニーカーもある。また、20人から25人のインフルエンサーを選出し、ナイキの6月6日のアフターダークレース(After Dark Race)への参加およびこのイベントに関するコンテンツの作成を行ってもらう。

体験型小売の進化



アーバンアウトフィッターズはこの数カ月、オンローテーションのために、特にファッション、ライフスタイル、デザイン分野の新しいパートナーを招き入れようとしている。エクスペリエンスは進化し続け、アーバンアウトフィッターズが取り扱う既存のブランドや、新規ブランドを紹介する。重要な点として、今日の競争が激しい環境でアーバンアウトフィッターズが今後さらに獲得を望んでいる層であるZ世代の要求にも対応している。この活動の一環として、クリエイターとの協力も拡大し、レディット(Reddit)やピンタレスト(Pinterest)などのプラットフォームをテストしている。

アーバンアウトフィッターズで扱われるほかのシーズンコレクションとは異なり、オンローテーションは「商品や小売のカレンダーではなく、顧客のカレンダーに基づいて行われる」と、レオ氏は語る。たとえば、今後のイベントは学年の主要な時期に合わせて行われる可能性があると、同氏は説明している。また、アーバンアウトフィッターズはオンローテーションで売上が増加することに期待しているが、主要なKPI(重要業績評価指標)はユーザーが生成したコンテンツや、ほかのエンゲージメント指標だ。「顧客が興味を持ち、そのコンテンツについてポストし、エクスペリエンスを活用して、フィードバックをくれることを望んでいる」と、レオ氏は述べている。

「体験」で取り戻す顧客基盤



アーバンアウトフィッターズは歴史的にミレニアル世代を主な対象としてきたが、Z世代についてはまだ行うべきことが多く残っていることを最近認めている。北米におけるアーバンアウトフィッターズブランドのプレジデントを務めるシーア・ジェンセン氏は、2024年8月の決算発表でパンデミックを顧みて述べた。「これらの移行が起き、新しい世代が成人するにつれ、我々は顧客への注力を失い、今日の動的な小売環境で顧客とともに勝利する方法も見失った」。それ以来、アーバンアウトフィッターズは若い買い物客を、特に体験型小売で勝ち取る新しい方法のブレインストーミングを行ってきた。同社は、オンローテーションがこれらの活動において役立つことに期待している。

ナイキは、「Z世代のお気に入り」であるため、アーバンアウトフィッターズの最初のブランドパートナーとして理想的だったと、レオ氏は述べる。また、ナイキが関わるオンローテーションの店舗はZ世代の割合が高い地域にある。その多くは大学のキャンパスの近くで、ニューヨーク市、ワシントンD.C.、アリゾナ州スコッツデール、カリフォルニア州サンディエゴ、カリフォルニア州マンハッタンビーチなどがある。今後のオンローテーションの場所は変更される可能性がある。

ブランドが熱心な買い物客を獲得して維持するため、ほかの方法を模索するなかで、オンローテーションのようなアクティベーションはマーケティングプレイブックのより大きな部分を占めつつある。アスレジャーブランドのアスレタ(Athleta)とブオリ(Vuori)は店舗でヨガ教室を開催し、ブティック衣類チェーンのフランセスカズ(Francesca's)はマイアミのロイヤルティメンバーを対象に「バッグバー(Bag Bar)」によって無料で商品を配布した。体験型小売は、「特に若者向けの市場では」人気の高い戦術だと、eコマースアクセラレーターのフロントローグループ(Front Row Group)で最高ブランド責任者を務めるミシェル・リー氏は述べる。「このような試みは、小売業界で今後多くみられるようになるだろう」。

コピー&ペーストではないマーケティング



それでも、アーバンアウトフィッターズは小売にとって困難な時期にさまざまなマーケティング戦術をテストしようとしている。顧客の好みの移行と、新しい関税の影響を懸念して、多くのブランドはマーケティングへの支出を控えるか、資金をほかの部門に再割り当てしている。しかしアーバンアウトフィッターズは、四半期売上が前年比で3.3%減少したと2月に報告したにもかかわらず、依然として進みつづけていると、レオ氏は説明する。

「我々はコピー&ペーストのようなマーケティング方式を行わないので、常に進化しつづけている」と、同氏は述べている。「常に、正しいタイプの方法を模索しており、常にテストを行い、学習と試験的な導入を行っている。このミッションは、経済がどのように移行しようと変化しない。それによって常に顧客の近くに存在しつづけ、顧客からの合図に従う。実際に、当社のマーケティング戦略はこの方法ではじまり、終わる」。

その一環として、アーバンアウトフィッターズはインフルエンサー主導のコンテンツも含めてさまざまなマーケティングの最先端に登場しようとしている。2024年7月には、UO100というカレッジアンバサダープログラムを開始し、全米のキャンパスから100人のインフルエンサーを選び、TikTokおよびインスタグラムでブランドのプロモーションを行ってもらった。また、レディットを使用することも習慣にした。同社はこのプラットフォームで広告を行わないものの、「さまざまなコミュニティに飛び込んで」、サブレディット(SubReddit/レディット内のコミュニティ)で新商品の情報を共有し、新しいトレンドの雰囲気をつかむと、レオ氏は述べている。

「レディット全体で非常に楽しいマーケティングを行ってきた。商品を好み、盛んに関わってくれるニッチなオーディエンスに触れることで、期待を高め、つながりを作り上げることができる」と、レオ氏は述べている。

ピンタレストでの可能性



ピンタレストもまた、アーバンアウトフィッターズがよく使用するプラットフォームになりつつある。ピンタレストのユーザーの40%以上はZ世代で、このプラットフォームはアメリカンイーグル(American Eagle)やベイズ(Béis)などのブランドがもっとも多く利用するようになった。アーバンアウトフィッターズのピンタレストの公式アカウントは、320万人のフォロワーを抱えている。「ピンタレストでは多くの成長が見られ、素晴らしいパフォーマンスを築き上げた」と、レオ氏は述べている。

全体として、アーバンアウトフィッターズはマーケティング計画の将来について、オンローテーションやデジタルプラットフォームが関与するものか否かにかかわらず楽観している。「これは総体的なエコシステムであり、複数の異なる接触ポイントにわたって当社のオーディエンスとつながるための方法であると考えている」と、レオ氏は述べている。

[原文:Urban Outfitters’ 2025 marketing playbook includes a Nike activation, more creator content and posts on Reddit]

Julia Waldow(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Urban Outfitters