パブリッシャーの Amazon プライムデー収益は軒並み増加。ただし、依然としてその増減は予測困難
ことしのAmazonプライムデー(Amazon Prime Day)は失敗に終わるという予測だったが、いくつかのパブリッシャーは「アフィリエイトコンテンツから得たコマース収益が予測を上回った」と米DIGIDAYに語った。話を聞いた4社のパブリッシャーによると、プライムデー固有のコンテンツから得られたコマース収益は前年比で約99%も増加した一方で、コンバージョン率は2023年よりも6〜30%程度向上したという。パブリッシャーたちは、これがGoogleの最近のアルゴリズム変化に対応したコンテンツおよび配信戦略の変化によるものだとしている。
各社軒並み収益増
フォーブス(Forbes)のコマースレコメンデーション部門であるフォーブスベッティド(Forbes Vetted)も、7月のプライムデーで同様な前年比の収益の急増を見いだした。フォーブスのコマースコンテンツおよび戦略担当のエグゼクティブディレクターを務めるコーリー・ボールドウィン氏は、7月16日から17日までのプライムデーのコンテンツから得られた手数料が前年よりも88%増加したと述べている。
また、ニュースレター配信会社のザ・スキム(theSkimm)でコマース担当バイスプレジデントを務めるサム・ベイカー氏は、「ことしのプライムデーの収益が前年と同じか微増にとどまることを予測していた」と述べ、前年比で合計売上が25%増、プライムデーのコンテンツのコンバージョン率が30%増だったことは「嬉しい驚きだった」と話している。なお、同氏はプライムデーの収益総額を明かさなかった。
一方で、メディア企業のギャラリーメディアグループ(Gallery Media Group)のCROを務めるクリス・アンソニー氏は、「7月のプライムデーの合計収益が2023年とほぼ変わらず、これまでの数年のトレンドと同じだった」と語る。7月のプライムデーはAmazonの10月のプライム感謝祭よりもコマース収益の増加が小さい傾向があり、「これは10月のイベントの時点でオーディエンスがホリデーの買い物をする気分になっており、高価な買い物をする傾向があるためだ」と、同氏は説明している。
それにもかかわらず、7月のプライムデーにおけるGMGの総合的なコンバージョン率は前年比で6%向上し、衣類やフィットネスなど特定のショッピングのカテゴリーで得られた収益はそれぞれ14%と20%増加しており、「これは予測外だった」とアンソニー氏は述べている。
Googleのアルゴリズムに対応
ことしのプライムデーにパブリッシャーが直面した課題のひとつは、Googleが変更したアルゴリズムを運用開始したことで検索エンジンからの参照トラフィックだけでなく、一部のコマースコンテンツの検索ランキングも影響を受けたことだ。現在、専門知識を持つ編集者による説明を記載した商品レビューは、単に製品仕様を箇条書きにしたコマースコンテンツより優れた成績をあげている。このため、プライムデーの検索トラフィックに依存しているパブリッシャーは計画の立て直しを余儀なくされている。
シロップ氏は、「過去のプライムデーで我々のチームは『すべての最安値商品を並べた長いリスト』に頼っていたが、ことしは商品のおすすめを前面に押し出し、編集者がテストした特定の品物についての記事を執筆したり、動画を作成したりした」と語り、「この部分で大幅な増加が見られた」と述べている。
アンソニー氏は、GMGがひとつの投稿に大量のアフィリエイトリンクを入れる代わりに、商品やブランドについての独立したレビューも行うようになり、ことしのプライムデーのコンテンツ数が増加したと述べている。
アルゴリズムを優先事項にしない企業も
また、ボールドウィン氏によると、フォーブスベッティドのエバーグリーンコンテンツはGoogleのアルゴリズム更新によって最大の打撃を受け、「チームはことしを通して、適時性の利点を収益化するため特売のコンテンツに重点を置くようになった」と述べる。プライムデーには、一番のお買い得商品を取り上げた主要な特売記事が、詳しい説明と価格の比較、そして7月16日よりも数週間前から開始された定期的な更新により、もっとも高いコンバージョン率を見せたという。
一方でザ・スキムは、同社のコンバージョンのもっとも大きな要因はニュースレター配信であることから、対極的な方法を採用した。ベイカー氏は、「我々のチームは検索を決して優先事項にしないため、Googleのすべての方針に従う必要はない」とも述べている。その代わりに、ザ・スキムのオーディエンスがもっとも関心を持つと思われる商品やカテゴリーに注目し、どの商品を特売してほしいかという調査をプライムデーの前に行って、その結果をもとにいくつかのカテゴリー固有のプライムデー向けニュースレターを作成したという。
その結果、ザ・スキムのプライムデーのAmazonビューティーガイド・ニュースレターは62%のコンバージョン率を達成。「最安値の商品を提供するだけでなく、それぞれのオーディエンスとオーディエンスが何を望んでいるかに注目することが重要だ。それによって当社のコンバージョン率は最大になり、売上が前年比で大幅に増加した」と、ベイカー氏は述べている。
コマースは依然として予測が困難
プライムデーは期待を上回ったように見えるが、パブリッシャーは自社のコマースビジネスが2024年を通して全体的に成功すると確信したわけではない。「当社にとって、2024年は2023年に比べて特別当たり年というわけではない。Google検索が変化しやすいことが、当社のエバーグリーンコンテンツに影響を及ぼしているため、昨年と同じ方法でコマースを予測することは困難だった。予測は従来よりも大きな範囲に散らばっていた」と、ボールドウィン氏は述べている。
アンソニー氏も、2024年が「コマースに必要な成長の機会」にはならないだろうということに同意している。その代わりに、「2024年はGoogleの参照トラフィックへの依存性をどのように減らし、メールの戦略を調整して、ソーシャルコマースのコンバージョン率を改善するかを判定するためのイノベーション、実験、テストの年だと考えている」と同氏は述べる。また、コマースのコンバージョン率については上昇機運が見られており、「6月のコマースコンバージョンの10%はインスタグラムだけから得られた」という。
一方、ザ・スキムのコマースビジネスは、同社のコンバージョンのほとんどがニュースレターの配信によるものであることから、やや安定している。現在まで毎月、前年比で成長しているとベイカー氏は述べているが、正確な数字やパーセンテージは明かさなかった。
このほか、「7月がコマースの収益にとって驚異的な月となったものの、前月までのビジネスの収益は昨年と同程度だった」と、シロップ氏は述べる。しかし現在は、「コマース収益が前年比で少しだけ伸びる望みがある。お金を支払う意思のある人々が増えている。そのため、今年の後半に向けて見通しは十分に明るいものだ」と同氏は述べている。
[原文:Media Briefing: Publishers say Amazon Prime Day sales were up but commerce revenue remains ‘hard to predict’]
著者:Kayleigh Barber(翻訳:ジェスコーポレーション 編集:島田涼平)
