Glossyの「未来を考える」シリーズでは、2024年のファッションと美容業界の展望をブランドや小売業者のエグゼクティブが解説する。

Robloxで発見したデジタルファッションの物理的なバージョンを買う人が増えているため、近々同社は、ユーザーがRobloxプラットフォーム内で統合コマースを通じてデジタルと物理的なアイテムの両方を購入できるようにする予定だ。フォートナイト(Fortnite)はすでに6月にナイキ(Nike)などのブランドとこのコンセプトを試行しているが、ほとんどのゲーミングプラットフォームはまだブランドのeコマースサイトと効果的に連携していない。

2023年第3四半期のRobloxの売上は8億3900万ドル(約1198.7億円)だった。同社はブランドにも収益を提供すべく、2024年には統合コマースをローンチしようとしている。ブランド側は自社のeコマースとRobloxの体験をつなぐ機会を得る。

Robloxのファッション&ビューティパートナーシップ責任者であるウィニー・バーク氏は、「ユーザーがRobloxでブランドと関わると、そのブランドを現実世界で購入する可能性が高くなる」と語る。フォーエバー21(Forever 21)などのブランドは、もともとRoblox向けに作られたアイテムの物理的なバージョンを販売するようになり、デジタルと物理的なファッションの間に流動性があることを示している。物理的なアイテムをデジタルで再現したり、その逆を行ったりする「ツイニング(Twinning)」 は、Roblox内外でブランドの継続性を築くのに役立っている。

アバターを現実世界のスタイルの参考にする若者たち



11月9日に発表されたレポート「2023年Robloxデジタル表現、ファッション&ビューティトレンド(The 2023 Roblox Digital Expression, Fashion & Beauty Trends)」には、米国と英国で調査された1500人以上のZ世代のRobloxユーザーによる新しいデータや、Robloxからの行動データ等が含まれている。このレポートによると、84%のユーザーがRobloxで見たり身に着けたりしたブランドの購入を検討する可能性がやや高く、没入型プラットフォームの商取引の可能性を示している。

Robloxユーザーはデジタルファッションにお金を使いたがっている。レポートによれば、ほとんどのZ世代ユーザー(52%)が、自分のアバターをスタイリングするのに毎月10ドル(約1430円)までの予算を使うことに抵抗がないと回答している。リミテッド(Limited)というコミュニティが作成した限定アイテムの場合、価格が1万ドル(約143万円)に達することもある。

さらに調査回答者の84%が、現実世界での自分のスタイルは、自分のアバターが着用するものに少なくとも「多少インスパイアされている」と答えている。

「ユーザーは自分のアバターからスタイルのヒントを得て、それを現実の自分に適用している」とバーク氏。「ファッション業界が考えていないかもしれないのは、消費者は自分のアバターやデジタル世界での自分の見え方に関して、現実世界での服装よりも多少冒険しているということだ」。そこにはアクセサリーや「オーラ」に投資して、デジタルの服装に個性的な要素を加えることも含まれる。

バーク氏は、これは人々が物理的な服装に関しても多少大胆になることにつながるのではないかと話す。

「一緒に仕事をしているいくつかのブランドと話をする際には、(デジタルファッションを)デザインする時に、それが物理的な世界でどのように変換できるかということを考えているか尋ねている」とバーク氏は述べた。また、より思い切ったことをしたいという消費者のことを考えているか、とも聞いている。特に(Robloxの)アクセサリーに関しては、消費者はずっと進歩的だ」。

若い購買層のブランド発見の場に



ロエベ(Loewe)が2023年春に発表したピクセル(Pixel)コレクションをはじめ、ラグジュアリーブランドはすでに、Robloxのようなプラットフォームのピクセルスタイルにヒントを得た物理的なアイテムを発表している。また、Robloxに参加するニッチなデザイナーも増えており、個性的なファッションルックの台頭を後押ししている。今年のLVMH賞のセミファイナリストで、カラフルなニットウェアで知られるパオリーナ・ルッソ氏もこれに参入し、11月に2023年秋コレクションのランウェイルックを3点ほどデジタルで再現して販売した。バーク氏は、ファッションブランドを発見するために真っ先に訪れる場として、また若手デザイナーがZ世代の買い物客を惹きつける場として、Robloxがますます利用されるようになると予想している。

「ラグジュアリーファッションを好むような、本当に強いあこがれを持つ消費者のいるブランドが存在する」とバーク氏。「Robloxのようなプラットフォームにいることで、アクセシビリティを提供し、消費者にツイニングの機会を与えることができる」。今後ラグジュアリーブランドは、Roblox上にてアクセサリーやその他の小物をさらに提供し、いずれは現実世界でのツインの購入を通じてブランドへの入り口を提供するようになるかもしれない。

Robloxでブランド理念を表現



バーク氏は、2024年は一部のブランドにとって、新たなデジタルファッションのカテゴリーに進出したり、このプラットフォーム上でブランドの理念をさらに表現したりする年になるだろう、と語る。

「多くのファッションブランドや美容ブランドはコアビジネスの枠を超え、次のレベルへとそうした点を拡大している」とバーク氏。H&Mの場合は、サステナビリティをRobloxのブランド体験の中心的な要素に据えている。「H&Mはゲームの中でコミュニティが服をリサイクルできるようにしている」。

一方、「E.l.f.のRoblox体験では、ユーザーは自分のストアフロントを作って起業家になることができる。これは、この環境でブランドの価値や目的、ブランドが何を目指しているかを伝えている」。

2024年末までに統合コマースをローンチ



Robloxのユーザーの多くは年齢が若いので消費力が弱いことから、少額の買い物に限られている。バーク氏によると、17歳から24歳の年齢層が、このプラットフォームで2年以上もっとも急成長している層だ。同社は統合型ショッピングを導入する際、購入規制を含む子供の安全保護も行っている。

「さまざまな情報と消費者の行動や意思決定のサイクルを結びつけることができるように、私たちは現実世界の商取引を注視している」とバーク氏は言う。「ブランドが(Robloxの)ユーザーに共感されたら、このプラットフォーム内で直接的に物理的なツインの購入を完了することができる」。

ブランドがエクスペリエンスを構築することなくプラットフォーム上で存在感を示すことができるよう、Robloxはブランド広告のテストも行っている。11月15日の時点で、ブランドはゲーム内のディスプレイ広告を購入することが可能になった。来年からは、ブランドはゲーム内の動画広告も購入できるようになる。統合コマースの機会は2024年末までにローンチされる予定である。

[原文:The Roblox brand opportunity in 2024: Integrated commerce]

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)