エフゲニア・メドベージェワ(左)とアリーナ・ザギトワ(写真は2018年)【写真:Getty Images】

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4年に一度の五輪だから見るファンの疑問「2人はどこへ行った?」

 4日に開幕した北京五輪。日本でも人気の高いフィギュアスケートは前回の平昌五輪、男子は羽生結弦(ANA)が連覇を達成し、女子は15歳のアリーナ・ザギトワが金メダル、18歳のエフゲニア・メドベージェワが銀メダル。ロシア勢が1、2位を独占し、日本でも人気を博した。4年に一度の五輪だから見る層も多いが、そうしたファンは今大会2人が代表メンバーにすら選ばれていないことに気づく。いったい、どうしたのか。

 ともに激動の4年間を過ごした。まずは金メダルを獲得したザギトワ。平昌五輪後の5月に秋田県などから秋田犬が贈られ、メス犬に「マサル」の名前をつけ、日本人にも人気が急上昇。18-19年シーズンはグランプリ(GP)シリーズ連勝、世界選手権で優勝し、史上最年少でスーパースラム(ジュニア&シニアの主要国際大会すべて優勝)も達成。健在ぶりを見せつけたが、17歳で迎えた翌19-20年シーズンになると暗転した。GPシリーズ2戦は2、3位と優勝を逃し、同シリーズ上位6選手が戦う12月のGPファイナルに進出するもまさかの最下位。これが、現在まで最後の公式戦出場となった。

 一方、日本のアニメ「セーラームーン」好きで知られるメドベージェワは平昌五輪後の世界選手権は怪我もあり欠場。恩師であるエテリ・トゥトベリーゼ氏(ロシア)と決別し、ブライアン・オーサー氏(カナダ)のもとに移籍し、世界に衝撃が走った。しかし、18-19年シーズンではGPシリーズ2戦は3、4位。世界選手権で3位に入ったものの、翌シーズンは5、2位と精彩を欠き、休養に入った。2020年9月にトゥトベリーゼ氏の下に復帰したものの、故障に新型コロナウイルス感染もあり、結局、競技会に立つことはできず、ロシア代表選考の遡上にも上がらなかった。

ザギトワ&メドベに影響した「体型変化」と「突き上げ」

 2人に大きく影響したのが、女子選手特有の体型変化とロシア勢の突き上げだ。ザギトワは平昌五輪後に身長が一気に7センチ伸びたといい、その後のスランプの原因に。メドベージェワも故障が相次ぎ、昨年1月には時期こそ明言しなかったものの、摂食障害を患っていたことを告白。ともに10代後半から20歳にかけての時期。入れ替わるように、2003〜04年生まれ世代のアレクサンドラ・トルソワ、アンナ・シェルバコワ、アリョーナ・コストルナヤが台頭すると、国際大会を席巻した。2019年12月のロシアメディア「life.ru」ではザギトワの引退騒動に触れた。

 ちょうどGPファイナルで最下位になり、休養を表明した直後。「ザギトワは勝つことに飽きた」と指摘し、すでにすべての主要大会を制し、アイスショーやCMなどに出演。地位を築いたことに触れた。「天才の後輩たちがザギトワを“殺す”」と、同門の後輩トルソワ、シェルバコワ、コストルナヤに追いやられたことを強調。21-22年シーズンはさらに2006年生まれ世代のカミラ・ワリエワがロシア選手権、欧州選手権など連戦連勝。金メダル最有力となり、ザギトワもメドベージェワも競技会に出場することはなかった。ただ、現在までに引退は表明していない。

 ともに現在はアイスショーでスケート活動を継続。19歳になったザギトワは大学に通い、テレビ番組のキャスターの活動も行う。メドベージェワも22歳に。2人は今大会、ロシア放送局の仕事で北京入りし、レポーターなどに携わるものとみられる。わずか4年で選手が入れ替わってしまうのが、大国ロシアの層の厚さの裏返し。女子はロシア勢の表彰台独占の前評判もあり、ザギトワとメドベージェワに続く期待が集まっている。

(THE ANSWER編集部)