この記事をまとめると

■近年、ペダル踏み違い事故が注目を集めている

高齢者の踏み違いの多くは道路以外の場所で起きている

■装備の利用など、防止する方法を紹介する

高齢者の踏み間違い事故は道路以外の場所で目立つ

 近年注目を集めている、ペダル踏み違い事故は、年間 6千〜7千件程度発生している。これは、事故全体の約1%で、アクセルとブレーキの踏み間違いによる死傷事故件数は、2010年から2019年の10年間で、じつは約4割も減少している(6328件→3845件)。

 しかも年齢男女差でみると、20代の男性が年間800件ちょっとと一番多い。続いて70代の男性が約700件で、60歳以上の男女でくくると約2500件と、大半を高齢者が占めている(2014年の例/全体は6114件)。

 20代の若者の踏み間違えが多いのは、運転キャリアの少なさと、経験不足からの緊張、焦り、もしくは慢心などが原因だが、高齢者の踏み間違いの原因は何なのか。

 高齢者の踏み間違い事故は、道路以外の場所(駐車場やSAなど)で目立つのが特徴。全体の12%で発進時の割合も高い(3.9%)。さらに後退時の事故で高齢者の割合が顕著に高いこともわかっている。

 このうち、比較的わかりやすいのは後退時の踏み間違い。交通事故総合分析センターでは、「体を後方にひねる」「踏み替え回数の増加(切り返しの増加)」「急な後退」を、後進時に推測される踏み間違い要因としてあげている。

 高齢者は、加齢によって身体が硬縮つまり固くなっているので、後方を見るために身体を(右に)ひねったりすると、足もつられて右寄りになり、ブレーキペダルを踏んだつもりが、アクセルペダルを踏むことに……。

 そして高齢者は身体が固くなっていく一方で、同時に身体が弛んでくる。そのため年齢を重ねると、股関節が開きやすく、足先がアクセルに近づく傾向があることもわかっている。

ドライビングポジションも重要

 トヨタにはその足の開きを補正する「安心ドライブサポートクッション」という製品を出しており、これを使えば太ももを外側から優しく支え、足先を自然にブレーキに寄せることが出来るという。高齢者はこうした製品を活用するといいだろう。

 もちろんバックモニターを使えば、体をひねって後ろを見る回数も減らせるし、コーナーセンサーや低速衝突被害軽減ブレーキ付きのサポカーも非常に有効。

 もうひとつ、駐車場などで切り返しが必要になり、何度もアクセルとブレーキの踏み替えを繰り返しているうちに、混乱して踏み間違えるケースも多い。

 これについては、切り返しの際、前進も後進も基本的にクリープ現象を利用し、足はブレーキに軽く乗せたまま動かせば、かなりリスクが軽減する。

 あとはサンダルやヒール、ブーツなど、運転に適さない履き物は避け、スニーカーなどペダル操作のやりやすい靴を選ぶのも重要。雨の日は靴底も滑りやすいので要注意。

 あとはドライビングポジション。乗降性を優先し、シートを後ろに下げ気味にして、浅く腰掛けている人が多いがこれはいただけない。シートに深く腰掛け、ブレーキを一番奥まで踏んだときでも、膝裏が軽く曲がっている位置に調整。左足はつねにフットレストにおいておくことと、足の位置の基準ができるので、左足を遊ばせておかないのも肝心。

 買い換えなどで、まだ乗り慣れていないクルマに乗るときは、走り出す前にアクセルとブレーキを何度も踏んで、足にペダルの位置を覚えさせる。素振りのようにたくさんこなしておくことがけっこう重要。

 できれば後付けの急発進防止装置なども積極的に取り付けておきたいところだ(自治体からの補助金も使える)。

 さらにパニックになって踏み間違えるという例もたくさんあるが、これについては思い込み運転を避け、急がば回れの精神で、落ち着いて何度も周囲を確認しながら運転するクセをつけるしかない。視力の衰えも認知判断に影響するので、最低でも年に一度は視力検査を行い、運転に合ったメガネなどを作っておくことを忘れずに。