9月30日、党役員会の主催で安倍首相の在任戦後最長を祝った

「もともと総理は、東大卒が大半を占める、財務官僚が大っ嫌い。父の(安倍)晋太郎外相の秘書官を務めていたころ、朝日新聞の東大卒の番記者から、『成蹊大卒のぼんぼん』と小馬鹿にされて以来、東大卒の人には、苦手意識があるそうだよ」

 こう話すのは、自民党のあるベテラン秘書だ。

 本誌は、この1年で安倍晋三首相(65)が面会した人物のランキングを集計。すると、東大卒が多数を占める財務官僚が少ない。総理執務室に「立ち入り禁止」なのかと勘繰ってしまうほど、回数が少ないのである。官邸担当記者は、その理由をこう指摘する。

「財政は、基本的には麻生(太郎)財務相まかせ。だから財務官僚を単独で、総理執務室に呼ぶことは少ない。『アベノミクス』をはじめ、経済財政政策は、経産省出身の “官邸官僚” が取り仕切っているんだ」

 官邸官僚の筆頭格に挙がるのは、安倍首相が「今井ちゃん」と呼んで信頼を寄せる、今井尚哉・首相秘書官兼首相補佐官(61)である。

 元外務省主任分析官で、作家の佐藤優氏は、こう話す。

「財務官僚との面会回数が少ないのは、昔は強かった、財務省の官邸への影響力が弱まっている証拠。なかでも岡本(薫明)財務事務次官が少ないのは、『とにかく財務省は使わない』という安倍首相の意思の現われです」

 だが今井氏は、表には登場しない。このからくりを、『インサイドライン』編集長の歳川隆雄氏が解説する。

「首相官邸の5階に、総理執務室、官房長官室とそれぞれの秘書官室があります。これらの部屋は繋がっているので、総理番記者などの目にふれないように、秘書官たちは行き来ができるのです。

 だから今井秘書官のように、面会回数ランキングには登場しませんが、安倍首相と頻繁に会っている人もいるということです」

 今回のランキングでは、1位が秋葉剛男外務事務次官(61)だ。2018年の1位は、内閣情報官から国家安全保障局 (NSS)局長になった北村滋氏(62)だった。北村氏は今回2位に。

 この結果から、「安倍首相が最重要視していることがわかる」と、前出の佐藤氏は指摘する。

「現在も、安倍首相にとってのいちばんの関心事は、外交だということです。北村NSS局長、谷内正太郎前NSS局長がいますし、上位は外務官僚が占めています」

 その点については、前出の歳川氏も同じ見方だ。

「安倍首相は、外交・安保が大好き。国会の答弁では、外交・安保問題なら、“アンチョコ” なしでこなしてしまう。それだけ官僚のブリーフィングを数多く受けているんです」

 東大卒財務官僚を遠ざけ、好きな外交・安保関連の役人とばかり会う。ある自民党幹部は、現状をこう危ぶむ。

「今井氏と北村氏は東大法学部卒ですが、第一次安倍政権の秘書官で、“安倍命” の、総理と一心同体の存在です。総理は、仲がいい “お友達” 政治家や、イエスマンの官僚としか会っていないということ。長期政権となり、周囲が意見しにくくなっているんです」

 諫言を嫌う権力者と、その国家の運命は、歴史が教えてくれている――。次のページでは総理の面会ランキングBEST35を一挙に紹介する。

“盟友” とされる麻生副総理は6位

【総理は外交がお好き……「首相動静」登場ランキング!】
・1位/108日/秋葉剛男・外務事務次官:中学時代はサッカー部キャプテンだった
・2位/106日/北村滋・内閣情報官→国家安全保障局局長:渾名は、“官邸のアイヒマン” という強面
・3位/105日/谷内正太郎・前国家安全保障局局長:元外務事務次官。首相のブレーンだった
・4位/79日/森健良・外務審議官:日露平和条約交渉の、実務担当者を務める
・5位/66日/西村康稔・官房副長官→経済再生担当相:元通産官僚で、首相の寵愛を受ける
・6位/64日/麻生太郎・副総理兼財務相:財務省の不祥事にも、首相はかばい続けた
・7位/57日/槌道明宏・防衛省防衛政策局長:九州防衛局時代、オスプレイ配備に対応
・8位/55日/金杉憲治・外務省アジア大洋州局長→外務審議官:韓国公使も務めた朝鮮半島問題の専門家
・9位/51日/茂木敏充・経済再生担当相→外相:官僚や記者に「最恐」と言われる政治家
・10位/49日/野上浩太郎・前官房副長官:国交副大臣も務めた、首相の側近のひとり
・11位/41日/山崎和之・前外務審議官
・12位/37日/菅義偉・官房長官:記者に気づかれずに面会可能なのだが……
・同13位/36日
―河野太郎・外相→防衛相
―正木靖・外務省欧州局長
・同15位/35日
―鈴木哲・外務省総合外交政策局長→インド大使   
―世耕弘成・経産相→自民党参院幹事長
・17位/34日/高橋憲一・防衛事務次官
・18位/33日/鈴木量博・外務省北米局長
・19位/31日/長谷川榮一・首相補佐官
・20位/28日/寺澤達也・前経産審議官
・21位/27日/石川正一郎・内閣官房拉致問題対策本部事務局長
・同22位/24日
―岸田文雄・自民党政調会長
―冨田浩司・G20サミット担当大使→韓国大使
・同24位/23日
―浅川雅嗣・財務省財務官→内閣官房参与
―岩屋毅・前防衛省
・26位/22日/武内良樹・財務省国際局長→財務省財務官
・同27位/21日
―兼原信克・前官房副長官補
―河野克俊・前統合幕僚長
―薗浦健太郎・首相補佐官→自民党総裁外交特別補佐
―山上信吾・外務省経済局長
・31位/19日/二階俊博・自民党幹事長:よく官邸に、“直談判” に赴くことも多い
・同32位/18日
―岡本薫明・財務事務次官
―多田明弘・内閣府政策統括官
―田和宏・内閣府審議官
・35位/17日/松島浩道・農水審議官→農水省顧問

※2018年10月1日から2019年9月30日までの朝日新聞「首相動静」で、氏名が確認できた人物のみ。1日に複数回会った場合もカウントは1とする。

(週刊FLASH 2019年11月19日号)