「Fitbit Versa」の登場で本格化するFitbitの日本における戦略
Versaは女性向けを意識し、機能やデザインが洗練されたモデル。GPS機能を省くことで3万円を切る価格帯を実現している。より広い層へのリーチを狙ったものだ。

Fitbit Versa
このVersaの発表に合わせて開催されたDevelopers and Users Conferenceでは、Versa、Fitbit OS 2.0についての詳細、また開発者向けのSDKのほか、実際にアプリやクロックフェイスを開発しているユーザーからのプレゼンテーションがあった。

Fitbit シニアデベロッパーエバンジェリスト フレドリック・ハーパー氏
活動量計デバイスの開発・販売の老舗Fitbitが、スタートアップのPebbleを買収したのが2016年のこと。Pebble製品のサポート終了を2018年6月30日までとしたFitbitの正念場、いよいよユーザーとの関係性をつないでいこうというのだ。
◎「toriwatch」をFitbit向けにリリースした岡田さんが登場
Pebbleはクラウドファンディングで製品をリリースしていたこともあり、コミュニティとともに成長していたという企業だ。それ以外にも、アプリ開発用のSDKを準備し、開発を広くサードパーティに公開した。開発者は自作のソフトウェアをアプリストアにアップしたり、フォーラムなどで技術情報を共有することで、ユーザー間の交流も盛んだった。
今回のプレゼンテーションでは、そのPebbleアプリストアでダントツのダウンロード数を記録した「toriwatch」「waniwatch」の開発者・岡田麻里さんが登場した。

岡田さんのプレゼン資料はネットで公開されている
もともとの"プログラミングスキルはほぼないに等しい"と自ら言う岡田さんだが、自分でクロックフェイスを作り始めたきっかけはPebble愛から。今回、Fitbit OS版「toriwatch」の開発にあたって実装した機能の解説から、アップギャラリー(アプリストア的なもの)の申請まで紹介した。
Fitbit OSも開発者用SDKやWebブラウザベースの開発環境などが用意されており、Fitbit OSから歩数やHeart Rate(心拍数)が取得できる。JavaScriptで書くことができるので、かなりとっつきやすくなっている。
岡田さんはその場でWebブラウザベースの「Fitbit STUDIO」にログインし、クロックフェイスのテンプレートから背景画像を変更するデモも行った。
「toriwatch」は、心拍数や歩数の取得および表示、また背景色をユーザー側が変更できるようになっている。まだ追加していきたい機能があり、開発中だという岡田さん。開発していて感じたこととして、
・日本語のドキュメントが少ない
・日本の開発者が少ない
・アップギャラリーでの販売手段がない
と、3つの点を上げる。
現在、Fitibitのアップギャラリーではアプリの販売はできない。
Fitbit Versaの発売を機に、こうしたコミュニティの動きが盛り上がっていくことは期待したいが、やはりアプリの収益化が1つの課題になる。
もちろん、これらはFitbitも検討していることだろう。
とはいえ、クロックフェイス(文字盤)を自分仕様にできることには、やってみると、そのおもしろさがわかる。そのあたりから、Fitbit STUDIOにログインする人を増やしていくことはできそうだ。
◎Fitbit データの活用の可能性
今回、もう1つ、Fitbitが示したのは、Fitbitから取得できるデータを活用することの可能性だ。
アレグロスマートが今回の発表用に開発したアプリが「StreSmiley」、Fitbit OSから取得した心拍数からストレス度を判定するというもの。判定するのは同社が開発中のクラウドサービスだ。内部のシステムとしては、心拍データとストレス評価の研究成果をアルゴリズムにしたものを使っているという。
Fitbitが扱う、心拍数、歩数といったデータを取得できるWeb APIを使うものだ(もちろん、データの利用には、デバイス利用者からアクセス許可を得る必要がある)。
また、データの活用という面では、すでにこうした動きが起こっている。
法人として、損保ジャパングループのひまわり生命が女性社員向けにFitbit Versaの導入を決定している。これは約300名を対象に、女性の健康をサポートするために導入するもの。また。同社が進める「リンククロス ピンク」という活動(乳がんの早期発見から罹患後の生活まで、トータルでサポートする)とも連動したサービスを今後考えていきたいという。
こうしたデータを活用するアプリの実現には、まだまだプラットフォームの整備は必要となるだろうが、大いに期待したい。
大内孝子
