■第10試合UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R
[王者]アンデウソン・シウバ(ブラジル)
Def.TKO
[挑戦者]パトリック・コーテ(カナダ)

落ち着き払っている様子の王者、小さい構えから右ローを放っていく挑戦者。再び右ローを放つコーテは、得意の右フックを放つ機会を窺っている。左へ左へと足を使い、待ちの態勢のアンデウソン。全く攻撃する気配がない王者は、1分50秒が経過し初めてローを繰り出した。

右ストレートを放ったコーテの首相撲に捉えようとした王者に、コーテは必死に後方へ距離をとる。アンデウソンは構えをスイッチし、突如前進。挑戦者は相当なプレッシャーを感じているようだ。

右のフックを放つコーテに、ヒザをヒットさせるアンデウソン。しかし、コーテはひるむことなくフックを返していくと、左ローをサウスポーの構えの王者に放ち、コーテもスイッチし、アンデウソンが前に出てくるのを持つ。

そのまま1Rが終了、互いに一礼し両者は離れた。

2R、左右に動き、アンデウソンの先回りをしようとしたコーテだったが、ここで王者の左ストレートがヒット。さらに前に出てきたところにバックブローを見舞ったコーテだったが、アンデウソンが組みついてケージに押し込む。

距離を取り、大きな構えから左ハイを放った王者。コーテがテイクダウンを狙うと、これをいなしてトップを奪う。左パウンド、右ボディを落とすアンデウソンは、自ら立ち上がりステップバックしブレイクを待つ。スタンドでオーソドックスになったアンデウソンは、厭味なほどに余裕を感じさせるファイトを展開する。

再びサウスポーに戻ったアンデウソン、カンフーのように忙しく拳を上下させるが、足は前に出ていないためブーイングが飛ぶ。ラウンド終了間際、テイクダウン狙いで片足タックルをコーテが仕掛け、ケージに押し込んだところに、アンデウソンのヒザがボディへ2発ヒットしラウンドが終了した。

UFCに登場し、初めて3Rを迎えたアンデウソン。コーテは指を三本立てて、アピール。しかし、試合が始まると。小刻みなステップから前進したところで、コーテが右ヒザを抱えしゃがみこんでしまう。ステップを踏んだときに、どうやら右ヒザを脱臼してしまった模様。

突然の試合終了にアンデウソン・シウバは「申し訳ない、必死で準備したけど、こういうことがあるのがファイト。だから、ブーイングを送らないでほしい。また、良い試合をすることを約束する。パトリックは素晴らしいファイターだった。もちろん、彼と打ち合いたかったし、彼もそうしたかったはずだ」とインタビューに答え、最後まで「ソーリー」という言葉を残してオクタゴンを下りた。

また、「ヒザが脱臼してしまった。本当にすまないと思っている。もっと強くなって戻ってくる」というコーテ、エキサイティングな試合が多かったUFC90だったが、メインイベントは非常に残念なフィニッシュとなってしまった。

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