熊本県で最大震度7を記録する強い地震が発生した。過酷な避難生活が強いられる中、プライバシーが守られにくい環境において性被害という極めて深刻な問題が懸念されている。

【映像】実際にあった被災地での性的トラブル

 ニュース番組『わたしとニュース』では、過去に被災地で起きた性的トラブルの実態や、性被害にあった被災者を支援するためのプロジェクトについて、弁護士の三輪記子氏とともに考えた。

■「パーテーションの要望を取り合ってもらえない」被災地で起きた性被害

 避難所では、周囲に遠慮して声を上げにくい環境が、深刻なトラブルを助長している。数々の被災地で支援活動を行ってきた認定NPO法人レスキューストックヤードの浦野愛氏は、過去の被災地で実際に起きた若い女性からの悲痛な訴えを紹介する。

「30代の若い女性の方が避難所で寝ていたら、知らない間に隣に男性が立っていて、じーっと自分の寝顔を見ているということがあった。気持ち悪いので『パーテーションが欲しい』と避難所の運営に申し出たが、『パーテーションなしで仲良くやっている避難所なんだから、今さらそんなこと言わないでよ』と取り合ってもらえなかった」(浦野氏、以下同)

 さらに、屋外に設置されたトイレでもトラブルが発生したという。

「夜、外の仮設トイレに行こうとしたら、後ろから抱きつかれるということも。これは女性だけの話ではなく、男性でも子どもでもあった」

 こうした可視化されにくい避難所での性被害について、三輪氏はいかなる理由があろうとも許されるべきではないと強い口調で批判する。

「避難所での性被害はこれまでなかなか可視化されてこなかったが、実際に起こっている。どんな状況であれ性被害は絶対にあってはならない。被災という状況に乗じて何か怖いことをする加害者ついては、きちんと声を上げていかないといけない」(三輪氏)

■望まない妊娠を防ぐ緊急避妊ピルを届ける「性暴力女性被害者支援プロジェクト」

 プライバシーが守られにくい避難生活の中で、事後的なケアや支援の仕組みも動き出している。

 能登半島地震の発生時には、女性医師や一般社団法人などが「性暴力女性被害者支援プロジェクト」を設立。被災地で性被害にあった人々に対し、望まない妊娠を防ぐための緊急避妊薬(アフターピル)を薬の効果がきちんと発揮される72時間以内に直接届けに行くという、迅速かつ具体的な取り組みが行われた。

 今回の熊本地震においても同じプロジェクトが立ち上がっている。被害にあった人へ早急に対応し、ピルを届けるというこの事後的な支援の重要性について、三輪氏はその広がりを期待する。

「こういうプロジェクトが必要だということは、それだけ被害が起こりやすいということ。もちろん、あってはならないことだが、あった時に、どういう支援ができるかということで、事後的ではなるがこういう支援が行われている。これはできるだけ広がると良いのではないか」

(『わたしとニュース』より)