《イオンテナント従業員の“ニセ親族”が金を詐取》「『母は自宅で生き埋めになっていた』と嘘」“ニセ親族”が被害者にした驚きの言いわけ「インプ稼ぎや承認欲求で止まらなくなった」
熊本県が再び最大震度7の地震に見舞われた。10年前の「平成28年熊本地震」の活動域と重なる場所が震源とみられており、現地では甚大な被害が報告されている。政府の発表によれば、7月30日17時の時点で死亡者は34人。避難者は1万人ちかい。
【写真を見る】〈インプ稼ぎや承認欲求で...〉イオンモール熊本の爆発事故に便乗して現れた「ニセ被害者」のメッセージのやりとり
なかでも世間に衝撃を与えたのは、嘉島町の大型商業施設「イオンモール熊本」爆発事故だろう。
「イオンの吉田昭夫社長らは記者会見で、『詳しい経緯については調査中』と前置きした上で、爆発の原因はガス漏れの可能性があるとしている。県によればこれまで、12人が救助され、うち7人が死亡、ほかの5人はけがをしたということです。
地震発生直後、店内にいた客は従業員の誘導で避難している。現在も捜索が続いていますが、取り残されたうちのほとんどは店舗の関係者とみられています」(地元紙記者)
事件直後、SNSでは店内に取り残された人たちの親族などが〈連絡がとれません〉などと情報提供を呼びかけた。これに便乗して現れたのが"ニセ被害者"だ。被害者と思われるユーザーの情報拡散を手伝っている、インフルエンサーの油井大顕さん(@yuidaiken_x)が話す。
「"行方不明者まとめ"という形で、取り上げたXのユーザーの中に『リンガーハットイオンモール熊本店で働いている方で、夕勤で入っている佐々木と連絡が取れる方がいましたらDMお願いします。私の母です』と発信している方がいたんです。ですが、これはまるっきり嘘で、なりすましでした」
すでに削除されているがそのアカウントでは、
〈リンガーハット関係者さんからの連絡で、熊本店の従業員は無事だった、という連絡がありました!(;;)社内の掲示板でも、従業員が無事であったという連絡があったそうです〉
〈リンガーハット関係者さんからお聞きしたところ、私の母が当日の勤務に入ってはいなかったとのことです。可能性としては実家が潰れた、または家具の下敷きになっていて連絡ができない可能性が浮上しました〉
などといった投稿を連ねていた。この人物は7月29日夕方、Xで〈警察から連絡がありました。私の母は亡くなっていたそうです。自宅が倒壊し、生き埋めになっていたそうです〉などと母親の死を報告し、投稿のインプレッション(表示回数)は500万回以上にのぼった。
前出の油井さんはこう語る。
「私も大切な人を亡くした過去があり、境遇に共感したので、食事代にでもなればと思ってその方にPayPayで3000円を渡しました。その人は『新幹線代がすごく高かったので、助かります』『もし仲のいい家族や友人がいるのであれば大切にしてください』と返信してきました。
その後、夜にTikTokでライブ配信をする予定だったので、『支援を呼びかけることもできるのでどうですか』と誘ったら、参加はせずとも配信を見にきてくれた。本人は"さや"と名乗っていました。彼女が"私も母の元を追おうと思っているんですが、皆さんに救われました"とコメントした途端、僕の視聴者が何人かさやさんに支援したいとなり、追加で1万5000円をあげることになった」
問題はそのあとだ。
油井さんの元に「イオンモール熊本リンガーハット」の従業員から、「佐々木という人は勤めていない」と情報提供があった。油井さんはその情報提供者が実際に同店で働いている証拠を確認したうえで、"さや"を問いただした。
「『実は佐々木は偽名で、本名は佐藤』とか『私にはリンガーハットで働いていると言っていたけど、本当は水商売などをやっていたかも』などと言い訳をしてきました。
その後にいろいろ問い詰めて、"警察"というワードを出したら30日0時ごろに『インプ稼ぎや承認欲求で止まらなくなってしまいました』となりすましを自白してきた。さすがに警察沙汰は避けたかったのか、お金は全額返ってきました。アカウントはその後すぐに消されて、"さや"の性別や年齢も、今となってはわかりません」(同前)
人の良心につけ込んだ詐欺まがいの行い。震災に便乗して現れる"火事場泥棒"についてこう注意喚起した。
「のちにAIを使ったと自白していますが、"さや"は僕にわざわざ福岡県の宿泊先の位置情報を送ってきたり、『明日、母の遺体を確認して身元引き受けや銀行手続きをしないと』など伝えてきて、あの手この手で信用させようとしてきました。本当に震災で亡くなった方に対しての侮辱ですよ。
知り合いには、他にも似たような"ニセ被害者"らしき人から連絡が来たという人もいるようです。SNSでそういう人を見かけたら、慎重に見極めてほしいです」
国中の人が一致団結で支援にあたるなかで起きた"火事場泥棒"。SNSによって災害時の情報収集は便利になったが、こうした悪意ある人物が紛れ込んでいることには注意が必要だろう。

