@AUTOCAR

写真拡大 (全5枚)

これまでになかったスタイル

ジャガー・ランドローバー(JLR)は、レンジローバー・ブランドの新たなモデルラインとなる『レンジローバーGT』のプロトタイプを発表した。グランドツアラーとSUVの中間的な位置づけとなるだろう。

【画像】グランドツアラーとSUVの要素を融合させた新しいモデルライン【レンジローバーGTのプロトタイプを詳しく見る】 全9枚

レンジローバーGTは、JLR独自のEMAプラットフォームを採用する。このプラットフォームは当初EV向けに使用されるが、将来的にはハイブリッド車にも採用される予定だ。


レンジローバーGTのプロトタイプ    ジャガー・ランドローバー

数か月前から世界各地でテスト走行が行われており、AUTOCARもそのプロトタイプ車両を何度か目撃している。しかし、当初の予想とは異なり、レンジローバーGTは現行の『レンジローバー・ヴェラール』の直接的な後継モデルではない。ヴェラールは当面の間、現在のガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッド(PHEV)のパワートレインを使用して販売継続する。

GTはヴェラールよりも大型で、全長は『レンジローバー・スポーツ』に近いが、全高はかなり抑えられている。低い車高とクーペのようなルーフは、レンジローバーブランドにとって画期的な変化と言える。空力性能の向上により、航続距離と洗練性が大幅に向上するだろう。

オフロード性能はやや低くなるかもしれないが、デュアルモーターによる四輪駆動のみが設定される見込みだ。

卓越した走行性能を実現

JLRは、「洗練されて快適な長距離移動」と「従来のGTにはない卓越した走破能力」を実現するとしている。マイナス40度から50度までの幅広い気温条件下で、その性能を最大限に発揮できるという。

長距離走行向けかつスポーティなモデルであり、BMW iX3、メルセデス・ベンツGLC with EQテクノロジー、ボルボEX60よりもやや上位に位置づけられるが、JLRは「驚くほど魅力的な価格設定」になると約束している。


レンジローバーGTのプロトタイプ    ジャガー・ランドローバー

GTのインテリアは、将来のレンジローバーの方向性を示すものだ。従来のミニマルなスタイルをさらに発展させつつ、高めに配置されたインストゥルメントパネル、ワイドなセンターディスプレイ、非レザーの内装材といった、トレンディな新要素を多数取り入れている。

装飾を最小限に抑え、スクリーンの過剰な配置を避けることで、ゆっくりとリラックスできる空間の創出を目指した。例えば、情報過多を防ぐため、ライバル車に見られるような助手席用スクリーンは設定されていない。

物理的な操作系は最小限に抑えられており、ドライブセレクターはステアリングコラム上のレバーに移行し、エアコン操作はタッチスクリーンに統合された。このタッチスクリーンには、現行車とはまったく異なる新ソフトウェアが搭載され、「ユーザーインターフェースが簡潔になる」という。

センターコンソールはフラットな形状だが、開くとカップホルダーや小物入れが現れる。後部座席については、2人掛けシートと固定式センターアームレストが標準となるが、通常のベンチシートもオプションで用意される可能性がある。

新開発のEMAプラットフォーム採用

専用設計のEVプラットフォームのおかげで、後部座席の足元スペースはフルサイズの『レンジローバー』に匹敵すると期待されている。光をたっぷり取り込む大型のガラスルーフも特徴的だ。ルーフラインが傾斜しているにもかかわらず、リアドアの乗降性やヘッドルームは非常にゆとりがあると言われている。

GTは、小型および中型モデル向けに開発された新しいEMAプラットフォームを同社として初めて採用する。EMAプラットフォームはもともと複数のパワートレインに対応するよう設計され、その後、バッテリー駆動専用として紹介されていた。最近、グローバル市場の動向に沿ってハイブリッド車とEVの両方で採用されることが明らかになった。


レンジローバーGTのプロトタイプ    ジャガー・ランドローバー

GTに続く2台目のEMA採用車は、ランドローバーの新型『ディフェンダー・スポーツ』(仮称)になると見込まれている。詳細はまだ不明だが、人気の高い『ディフェンダー』の小型版であり、おそらく『ディスカバリー・スポーツ』や『レンジローバー・イヴォーク』の後継となるものと予想される。

ラインナップを補完する存在

AUTOCARはレンジローバー担当マネージング・ディレクターであるマーティン・リンパート氏に単独インタビューを行った。以下、Q&A。

――既存のレンジローバーの顧客は、新しいEVモデルを受け入れるでしょうか?


レンジローバーGTのプロトタイプ    ジャガー・ランドローバー

「レンジローバーのEVは、当ブランドが過去56年間にわたり体現してきたすべての価値観の集大成であると考えています。ワンペダルドライビングやより迅速なトラクション制御により、これまで以上に洗練され、スムーズな走りを実現しています。電動パワートレインが理にかなうクルマがあるとすれば、それはレンジローバーです。電動のレンジローバーがいつ登場するのかと尋ねるお客様は数多くいらっしゃいます」

――新型レンジローバーGTは、ヴェラールやスポーツの販売に良くない影響を与えてしまうのでは?

「むしろ逆だと思います。このモデルはレンジローバー・ファミリーを完璧に補完する存在です。レンジローバー・スポーツは五感を刺激するパフォーマンスがすべてであり、EV版はさらにスポーティなので、その傾向はより顕著になります。一方、今後登場するGTは、長距離ドライブの楽しさを追求したモデルです。最も “乗用車らしい” レンジローバーになるでしょう。そしてヴェラールは、現代的で美しいデザインがすべてであり、若い世代や若い家族層にとって良い選択肢となるでしょう」

――レンジローバーのラインナップの下位モデルはどうなるのでしょうか? イヴォークとヴェラールは発売からかなり時間が経っています。

「わたし達はレンジローバーとレンジローバー・スポーツ・エレクトリックの発売に注力してきました。これは絶対に乗り越えなければならない大きな転換点でした。レンジローバーGTは、新しいEMAアーキテクチャーに基づいて開発された最初のモデルであるため、当然ながらその実現に多くの力を注ぎました。しかし、2年半前にはレンジローバー・イヴォークも改良を行い、イヴォークとヴェラールのマーケットエディション(ベルグレイヴィア・エディションやホクストン・エディションなど)を投入して、市場での存在感を維持しています。これらのモデルには熱心なファンがいて、すべてを一度にこなすことはできないのです」