「回収できる可能性はゼロに近い」『全東信』″1150億円破産″で始まった「阿鼻叫喚の地獄絵図」

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「未入金の額は100万円以上」「家賃も人件費も払えない」

「倒産の影響で、7月15日に振り込まれる予定だった売上金の入金の目途が立っていません。未入金になるのは6月15日以降の売り上げ分で、100万円を超えています。このままでは、家賃やキャストの女の子の人件費も払えない……」(都内でスナックを経営する女性)

7月6日、クレジットカードの早期決済代行会社「全東信」が準自己破産を申請した。同社は加盟店の売り上げを立て替えてクレジットカード会社より先に入金するサービスを展開。飲食店や夜の店などを中心に20万を超える店舗と取引していた。しかし、コロナ禍や「PayPay」などカードを使用しないキャッシュレス決済サービスの台頭によって、資金繰りが悪化した。

’24年には、通常では審査が通らない飲食店の加盟店契約を他人名義で結んだとして社員が逮捕される事件まで発生。信用不安が表面化するなか、1150億円もの負債を残しての倒産となった。

現在、加盟店は全東信が立て替えるはずだった売上金が支払われないという非常事態に陥っている。東京・港区で会員制のバーを経営する男性が苦境を明かす。

「ウチの未入金は90万円ほど。7月上旬に全東信から『破産申立てに関するご通知』という書類が届いたのですが、具体的な補償などについては記載されていませんでした」

7月1日以降の未入金総額は50億円を超えるとされるが、税理士で起業コンサルタントの中野裕哲氏は「回収できる可能性は限りなくゼロに近い」と見ている。

「全東信の債務超過は600億円を超えています。これほど巨額の債務超過があるということは、同社にはほとんど分配できる財産が残っていない。債権回収は税金や従業員の給料のほうが優先順位が高いため、仮に財産が多少残っていたとしても、回収できるのは債権の数%程度。しかも、債権届出書の提出などの手続きには1年近くかかることも多い。多くの加盟店は回収を諦めざるを得ないでしょう」

目下懸念されているのは、加盟店や取引業者の連鎖倒産だ。

「加盟店の資金繰りが悪化すれば、食品や備品の納入業者、店舗物件の貸し主といった取引先も影響を受ける。連鎖倒産が起こる可能性があります」(中野氏)

飲食店の生命線ともいえる金融インフラを襲った巨額の倒産劇。加盟店や取引業者まで巻き込んだ阿鼻叫喚の地獄絵図が全国の繁華街に広がりつつある。

『FRIDAY』2026年7月31日号より