JRT四国放送

写真拡大 (全53枚)

徳島市勝占町で長年、市民に親しまれてきた徳島ガラススタジオが、2028年3月末をもって、閉館することが発表されました。

開館から37年、奇しくも、南海フェリーと同時期に姿を消すこととなった、ガラススタジオのスタッフや利用者に今の心境を聞きました。

(徳島ガラススタジオ・戸田智 チーフインストラクター)
「本当に仕方がないとは思うが、残念だという気持ちが一番強い」

徳島市勝占町の徳島ガラススタジオ。

ガラス文化の先進地として徳島を全国へアピールし、県内外からの観光客誘致を図ろうと1989年に開館しました。

(徳島市・三木俊治 市長〈当時〉)
「スケールは別として、内容は非常に充実している。機械・器具など、全国の中でも内容が非常に充実している」

総工費7800万円をかけて建設したスタジオには、ガラス工芸用の窯が4つ備えられ、ガラス制作を教えるインストラクターが県内外から集められました。

当時の市長も、吹きガラスを自ら体験。

自治体の力の入れようがわかります。

開館後は、季節ごとに様々な講座やイベントが開かれ、観光と文化の発展に大きな足跡を残しました。

オープン20周年の2009年度には、入館者数1万1000人と過去最多を記録。

(朝川公美子 リポーター)
「ご覧ください、かわいらしい足跡でしょ」
「赤ちゃんの足跡をこのようにガラスで作ってくれるんです。本当いい記念になりますね」

しかし近年、入館者が減少傾向にあることや、施設や設備のほとんどを開館当初に設置したまま使用しており、老朽化が進んでいることから、2028年3月をもって閉館することが決まりました。

(徳島ガラススタジオ・戸田智 チーフインストラクター)
「徳島ガラススタジオは体験型の工房」
「観光に来た人が見て楽しむというよりは、実際に自分でガラスを作ってもらって楽しむ場所」
「個人の観光客はさほど問題なかったが、団体の受け入れが難しかった」
「立地的なものがあって、大きいバスが入れないというような状況の中で、どうしても個人のお客様ぐらいしか受け入れが難しかったというのはあった」

取材当日もガラススタジオでは、初心者から上級者まで、講座の受講生6人が吹きガラス作りに汗を流していました。

(徳島ガラススタジオ・戸田智 チーフインストラクター)
「まずは前後(に転がして)筒型にする、筒型になってきたら手の角度をわずかに変えて、先がとがった卵型にする」
「(ガラスの)量が多いとその分長い時間柔らかいから、慌てなくてゆっくりでいい」
「はやく回したりしないでゆっくり回して。はやく回してしまうと、遠心力がかかってずれてしまう、安定して回す」

こちらの女性は、講座を受講し始めてまだ3か月。

閉館の話は、まさに寝耳に水だったと言います。

(受講生)
「ずっと前から吹きガラスしたかったが、仕事の都合でできなくて、退職したのですぐに申し込んだ」
「やっと自分の趣味を見つけて、友達もできてこれから楽しく(ガラス工芸を)していきたいと思っていたのに、残念でたまらない」
「できたらずっと続けたかった」

講座を受講して3年になるこちらの女性は、講座のたびに上達が実感できることに喜びを感じていました。

(受講生)
「徳島は、あまり芸術や文化を大切にしていないなと、もともと感じていて、ホールもなかなか出来上がらない」
「今回の閉鎖は、講座の意見を何も聞かず突然決まったので、憤りを感じている」

(徳島ガラススタジオ・戸田智 チーフインストラクター)
「基本的には、みなさんが楽しむ場所として来てくれる人が大半だが、なかには本気でガラス作家になりたいという人が時々現れた」
「イタリアに行っていたり、グループを作って作品展を行うセミプロが何人もいる」
「今の受講生の中でも、国際コンペで賞をとる人がいたりする」

チーフインストラクターの戸田智さん。

開館から37年、ガラススタジオに勤め続けている唯一のスタッフです。

今から11年前の戸田さんです。

風鈴の展覧会に向けて、作品作りに励んでいました。

(徳島ガラススタジオ・戸田智 チーフインストラクター)
「自分の人生が丸々ここ(ガラススタジオ)に詰まっているような感じ」
「私たちの蒔いてきたガラスの種が、これから徳島でどういう風に花開いていくのか」
「それが(閉館によって)しぼんでしまわないか、本当に残念で一番危惧しているところ」

(徳島ガラススタジオ・戸田智 チーフインストラクター)
「30秒ぐらい温めたら、上はさすがに冷えているかもしれないので、1、2秒だけ炙ってから木ごて押していく」
「しっかり回しながら押していく、ずれたりしないように気を付けて。花瓶だから底厚くてもいいので厚めにわざと残しました」

残された時間は2年。

ちょっぴり寂しくはあるけれど、徳島ガラススタジオは、ガラス工芸の楽しさや魅力を最後まで伝え続けていきます。

徳島市によりますと、現在、ガラススタジオで実施している一部の事業については、ほかの施設で実施できるよう検討を進めるということです。