3カ月に1度でも半年に1度でもない…プロが20年分のデータを検証「資産が最も増える新NISAの見直し頻度」

■資産配分を調整する「リバランス」
新NISAで買い付けされている投資信託上位は、世界株と米国株が占めています。よって、多くの人が、トランプショックや中東情勢の悪化によるここ最近の株価下落・円高で大きな資産減を経験したことでしょう。
こういった相場変動による資産減を抑えるために、債券や金など株と値動きが異なる資産に投資をしている人も読者にはいることでしょう。
しかし、分散投資をしていても、株式相場が好調であれば、ポートフォリオの中で株の比率がどんどん高くなっていきます。この配分比率を元に戻さずそのままにしていると、株価下落による資産減が大きくなってしまいます。
その場合、資産の比率の偏りを元に戻す「リバランス」をおこなうのが効果的ですが、このリバランスを定期的にやっている、という人は意外と少ないかもしれません。
リバランスには「配分変更」と「スイッチング」の2つの方法があります。

■配分変更とスイッチングの違い
配分変更は、主に積立投資をするときにおこなう方法です。毎月の投資金額でどの商品(資産)に投資するかという積立配分を変更して、時間をかけながら資産の配分比率を元に戻していきます。保有している資産を売却することなくリバランスできますが、資産の比率が戻るまでに時間がかかります。
スイッチングは、値上がりした商品(資産)を売って得たお金で、値下がりしている商品(資産)を買う方法です。機動的に商品(資産)を入れ替えて、資産の配分比率は戻します。
今回は、スイッチングによるリバランスはおこなったほうがよいのか、リバランス頻度はどの程度がよいのか、検証結果をご紹介します。
■リバランス効果検証のデータを確認
検証にあたり、使用する商品(資産)、観測期間、データ頻度などを確認しておきます。資産配分は国内外の株と債券の4資産均等配分にすることとし、投資信託を通じて投資することとします。

トラックレコードが長く取れる、以下のファンドを使用します。
外国債券:三井住友・DC外国債券インデックス(設定日:2002年4月1日)
国内株式:DC日本株式インデックスファンドL(設定日:2002年4月1日)
外国株式:三井住友・DC外国株式インデックスファンドS(設定日:2004年11月30日)
4ファンド全てのデータが取れるのが2004年11月30日からなので、2004年11月30日から2026年5月31日までの月次データで検証しました(図表2)。

外国株式が大きく上昇していますが、これは株価上昇&円安の恩恵によるものです。国内株式も悪くはないのですが、外国株式と比べると見劣りします。
一方、国内債券はほとんど増えておらず、減ってもいません。したがって、国内債券を加えることで、ポートフォリオ全体の値動きが抑えられる反面、資産上昇の余地も減ってしまうことになります。
■一括投資のリバランス検証結果は?
2004年11月30日時点で、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式に100万円ずつ投資したケースで、「リバランスなし」「年1回リバランス」「半年に1回リバランス」の資産額の推移はどうなるのか見ていきましょう(図表3)。

投資元本合計は400万円です。2026年5月31日時点の資産額は「リバランスなし」が一番多く1961万円、「年1回リバランス」が1579万円、「半年に1回リバランス」が1550万円という結果になりました。
この結果を見て「リバランスなし」が良いという判断は早計です。現時点で「リバランスなし」が一番になる理由は、2022年ごろから株価上昇&円安で大きく外国株式ファンドの値上がりが顕著であったからです。足元はAI・半導体株の急上昇・円安の進展があります。リバランスしなければ、株の比率も外国資産の比率も多くなり、それだけ恩恵も多くなります。
株価上昇&円安局面ではリバランスなしのほうが良いというのは当然の結果です。しかし、2008年から2020年までに焦点を当てると、違う結果が見えてきます(図表4)。

資産額は「リバランスなし」(青)よりも、「リバランスあり」(オレンジ・グレー)のほうが多くなっています。つまりこの間は、リバランスありのパフォーマンスのほうが良いのです。値下がりしている時期や株価が停滞している時期は、リバランス効果が高いと判断できます。上記のグラフの期間は約12年です。
また、リバランス頻度は「半年に1回」(グレー)よりも「年1回」(オレンジ)のほうがパフォーマンスは良いこともわかりました。細かなリバランスは手間がかかるうえ、効果も薄いのです。
投資するタイミングや観測期間を変えて色々と検証したのですが、総じて一定のリバランス効果があることがわかりました。
■積立投資のリバランス検証結果は?
一括投資をした場合のリバランスの検証結果は上のとおりですが、実際には多くの方が積立投資に取り組んでいます。積立投資の場合でも、リバランス効果があるのか検証してみました。
とはいえ、積立投資の場合の検証は一括投資と異なり超大変です。Excelが大得意でなければ、検証は難しいでしょう。よって、世の中にこの情報が全くないのです。
2004年11月30日から、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式に毎月末に1万円ずつ投資したと仮定し、「リバランスなし」「年1回リバランス」「半年に1回リバランス」の資産額の推移はどうなるのか検証します(図表5)。

積立元本合計は1036万円です。2026年5月31日時点の資産額は「リバランスなし」が一番多く3161万円、「年1回リバランス」が2594万円、「半年に1回リバランス」が2570万円という結果になりました。理由は一括投資と同じで、2022年頃から株価上昇&円安で大きく外国株式ファンドの値上がりが顕著であったからです。
一方で、積立投資も2008年から2020年までは「リバランスあり」の方が概ねパフォーマンスはよい結果となりました。ここでは2015年から2020年のして見てみましょう(図表6)。

やや分かりにくくて恐縮ですが、「リバランスなし」(青)よりも、「リバランスあり」(オレンジ・グレー)のほうが資産額は概ね上にあることが多いのがわかります。
つまり、積立投資においても、下落相場や調整局面では「リバランスあり」の方が「リバランスなし」よりも、パフォーマンスが良いということです。リバランス頻度は当初一括投資と同じく、「半年に1回」(グレー)よりも「年1回」(オレンジ)のほうがパフォーマンスは良いこともわかりました。
積立投資を始めるタイミング、積立日、観測期間も変えていろいろ検証しましたが、総じて一定のリバランス効果があることは分かりました。
■後悔しないためにも「年1回はリバランス」
株高&円安が進展しているときは、リバランスなしのパフォーマンスが最もよくなるのは当然です。しかし、検証結果からわかることは、下落相場や調整局面において、資産を大きく減らしたくないならば、年1回はリバランスした方がベターだという事実です。
ここ数年、暴落が短いスパンで起きています。2020年以降では、2020年2月「コロナショック」、2022年2月「ウクライナショック」、2024年8月「日本版ブラックマンデー」、2025年4月「トランプショック」、2026年3月「中東ショック」と実に5回もありました。
いずれも暴落期間が短いため、「リバランスなし」で十分という楽観的な考えが蔓延しています。しかし、いつ、暴落期間が数年にのぼる「大暴落」が来るかはわかりません。
大事なことは下落相場や調整局面に備えること。大暴落が起これば、回復までにかかる期間は意外と長い傾向にあります。
築いた資産はいつか使う時期が来ます。お金は一定程度あることで心の安心にはつながりますが、お金は使うことで初めて自分の価値に置き換えられます。資産を取り崩すタイミングで後悔しないためにも、年1回はリバランスすることをおすすめします。その方法は「配分変更」でもOK。
「3カ月に1回」「半年に1回」などリバランスは細かくやった方がいいという情報に関しては、情報発信者は本当に検証したのか疑問が残ります。「ファクト(一次情報)」を必ず確認し、それに基づいた行動が大切です。リバランスは年1回で十分です。本稿が投資行動のご参考になれば幸いです。
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頼藤 太希(よりふじ・たいき)
経済評論家・マネーコンサルタント
Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。ファイナンシャルプランナー三田会代表。日経CNBCコメンテーター。慶應義塾大学経済学部卒業後、アフラックにて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に現会社を創業し現職へ。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ。」、フジテレビ「サン!シャイン」、BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)など書籍110冊超、累計200万部。日本年金学会会員。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。宅地建物取引士。日本アクチュアリー会研究会員。X(@yorifujitaiki)
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(経済評論家・マネーコンサルタント 頼藤 太希)
