赤い羽根募金 1億8千万円使途不明 なぜ発覚遅れた?「事務局長は明るいキャラでリーダーシップがあり、業務全般に精通」「通帳から印鑑まで管理」会見で説明

社会福祉法人北海道共同募金会(札幌市)は15日、記者会見を開き、「赤い羽根共同募金」などの寄付金のうち、今年度の資金から約1億8000万円の使途不明金が発生したと発表した。会計責任者の男性事務局長(58)による横領の疑いがあり、同会は事務局長を懲戒解雇処分とする方針で、刑事告訴や損害賠償請求の手続きを進めている。会見の冒頭、瀬尾英生会長は多大な迷惑をかけたとして深く陳謝した。
共同募金会は、預かった寄付金を道内の福祉施設や福祉団体に助成しているが、今回の事案発生を受けて例年4月に行っている助成金の交付決定を一時停止している状況にあると瀬尾会長は説明した。
事案の発端について瀬尾会長は、本年2月17日に当該事務局長個人の所得税法違反容疑で国税局による査察が入り、経理資料の相当量が差し押さえられたことが直接の引き金となったと説明した。
瀬尾会長によると、資料が手元にないことに加え、会計責任者である事務局長が経理業務処理の大部分を担っていたため、事態の把握に時間を要することとなったという。その後、3月に入って預金口座の残高と帳簿上の残高に相当額の差異があることが判明し、3月末には助成金が足りなくなる可能性を把握して弁護士へ調査を依頼したと明かした。
調査を担当した後藤雄則弁護士は、手元にある資料をもとにした調査結果を報告した。不正経理として疑われる行為について後藤弁護士は、会計上の支払いの際、通帳からの実際の支払いより多くの金額を引き出したり、自身が管理しているとみられる口座に、募金会との間に取引があったとして募金会から送金させる行為がなされている可能性が高いとし、令和2年頃から行われていた可能性があるとの認識を示した。
決算時に資金の不整合が表面化しなかった原因として後藤弁護士は、事務局長が年度末の決算期直前に取引業者から一時的に金銭を借り入れて帳簿を合わせ、決算を乗り切った後に返済するなどの処理がなされていたことなどを挙げた。
さらに令和5年度からは、理事会の承認のない議事録を独断で作成し、金融機関から相当額の借り入れを行っていた事実も確認された。後藤弁護士は、事務局長がこれらの行為で送金を意識的に補っていたと考えられると説明した。
また、同会は市町村共同募金委員会から寄せられた寄付金の集約口座など、多数の共同募金会名義の口座を保有していた。後藤弁護士は、途中で管理元が変更になった特定の口座を利用し、組織に把握されない形で帳簿外での取引を多数行っていたことが、募金会内部で把握できなかった原因であると指摘した。
後藤弁護士は、本来であれば通帳を精査することで事務局長以外の職員が把握できた可能性があるとし、「会計責任者である事務局長への事務局内でのチェック体制が機能しなかったことに原因があると考えている」との見解を示した。
「事務局長の人物像」は

質疑応答において、「事務局長の人物像」について同会から説明がなされた。瀬尾会長によると、事務局長は1991年に入ったプロパー職員であり、長年にわたり共同募金の業務に携わってきた人物であるという。現在58歳で、令和4年7月から事務局長に就いていた。天羽啓常務理事は、事務局長に就く前の担当について、以前から経理・会計関係を担当していたことを明かした。
瀬尾会長は「明るいキャラでリーダーシップがあり、業務全般に精通していて、職員の中で信頼を得ていた人物ではないかと考えている」と述べた。天羽常務理事は、通帳から印鑑までの全般の管理が可能だったとし、独自の日頃の人脈などを駆使して借り入れの協力が得られたのではないかとの認識を示した。なお後藤弁護士は取引業者からの借り入れについて、本来であれば支払いをする関係になるところを年度末の前にある程度額が先に入金されているとして、そうした行為があったのではないかとの推定を補足した。
事務局長の現状について瀬尾会長は、現在は自宅待機中となっており、今後懲戒解雇の手続きを行っていくと述べた。天羽常務理事によると、査察が入った直後に本人へ確認を行った際、国税局の捜査が始まったばかりであることを理由に具体的な話は聞けなかったという。ただ、職員に対しては「申し訳ないことをした。いずれちゃんとお詫びをしたい」と話していたと言い添えた。
後藤弁護士は、事務局長が現在は弁護人を依頼しており、聴取に対しては刑事事件に関わることとして協力を拒否している状況であると説明し、天羽常務理事も具体的に何にお金を使ったのかについては話を聞けていないと述べた。
今後の法的対応について後藤弁護士は、個々の横領に該当する金額を積み上げて計算するためには現在差し押さえられている資料での確認が必要であるとし、刑事告訴を行うことを検討していると報告した。
助成金がストップしている現状について天羽常務理事は、令和7年度の募金活動で集まったお金をもとに、年度末までに集約として次年度(令和8年度)の活動に本来充てられるべき規模が約3億4000万円であったと説明。それを3月末から4月に支出しようとした際にお金がショートしている状況になり、配分が止まっている状態であると述べた 。
今後の福祉事業への助成について、瀬尾会長は、事務費の削減や取り崩せる積立金などを検討し、当初予定していた額のうち約5割の交付を早急に行う予定であると言明した。天羽常務理事は、この配分が3月の理事会や評議委員会で一度承認されていた内容に基づいて一部配分を再開するものであるとした。
組織としての責任について、瀬尾会長は、このような不適切な行為が起こらない組織体制を構築することができなかったこと、また、不正を早く発見し、被害を最小限にとどめる仕組みを構築できなかったことを深く反省しているとした。その上で、これらのことに対する責任を取る必要があることや、新たな体制で信頼回復に取り組むことが必要であるとして、「然るべき時期に会長職を辞したい」と述べ、自身の辞任を表明した。
