少量の飲酒でも脳にダメージを与えることが研究で明らかに

お酒の飲み過ぎが体に悪いことは周知の事実ですが、近年の研究ではたとえ少量の飲酒であっても問題を引き起こす可能性があることがわかっています。長期的な飲酒習慣と脳スキャンを組み合わせた新たな研究では、少量の飲酒が脳にダメージを与えることが示されました。
The interaction of age and total lifetime drinks is associated with regional cortical perfusion and thickness in healthy adults with low-level alcohol consumption - ScienceDirect
Even Low Levels of Alcohol Could Damage Your Brain, Study Finds : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/even-low-levels-of-alcohol-could-damage-your-brain-study-finds
アメリカの研究チームは飲酒量と脳への影響の関連性について調べるため、アルコール使用障害や過去1年間の大量飲酒の履歴がない22〜70歳の健康な成人45人を募集しました。
研究チームは被験者に対し、過去1年間・過去3年間・生涯にわたる飲酒習慣についてのアンケートを実施。その後、45人全員を対象にしたMRIスキャンを行い、高度な思考をつかさどる大脳皮質の容積と厚さについて測定したほか、27人については局所的な脳の血流についても測定したとのこと。

被験者の飲酒習慣を分析したところ、生涯を通じた平均的なアルコール摂取量は1カ月あたり21杯であり、月間飲酒量の範囲は1杯〜54杯とさまざまでした。なお、ここでの「1杯」は純アルコール(エタノール)14gに相当し、アルコール度数5%のビール1缶(350ml)とほぼ同じです。
飲酒量と大脳皮質の厚さや脳の血流との関連性を調べた結果、「男性では1カ月あたり60杯以下」「女性では1カ月あたり30杯以下」という少量の飲酒に抑えている被験者でも、飲酒量が多いほど大脳皮質が薄く、脳の血流が低下するという関連性がみられました。
飲酒との関連性は大脳皮質の厚さよりも、脳の血流の方が強かったそうです。体の他の部分と同様に、脳における良好な血流は酸素や栄養素を必要な場所に届け、老廃物を除去するために不可欠です。今回の結果は、たとえ少量の飲酒であっても血流に大きな影響を与え、脳組織の損傷リスクを高めることを示唆しています。
以下のグラフは縦軸が脳の血流を、横軸が1カ月あたりの飲酒量を示したもの。1カ月あたりの飲酒量が多い被験者ほど、脳の血流が少ないことがわかります。

今回の研究では、飲酒が大脳皮質や脳の血流に影響を及ぼすメカニズムについては特定されていません。しかし、アルコールが引き起こす酸化ストレスが主要な原因である可能性が高いと考えられています。
研究チームは「総合すると、生涯にわたる低レベルのアルコール摂取の累積的な影響が加齢と相互作用して、大脳皮質の厚さと血流の相乗的な減少を促進したことが、今回の結果に反映されている可能性があります」と述べました。
