きんご(内田金吾)×りのん(多田梨音)(C)AbemaTV,Inc.

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 2017年の“第1弾”から、今年でついに10年目ーー恋愛リアリティショー『今日、好きになりました。』(ABEMA/以下:今日好き)がいま、“大きな転換期”を迎えている。

(関連:【写真あり】2025年度にカップル成立となり、現在も交際中の6組

 現役高校生たちが2泊3日の“恋の修学旅行”に飛び出し、運命の相手を見つける同番組。もはや説明不要だろうが、2025年度においては“おひな様”の愛称で知られるひな(長浜広奈)、MON7A名義でアーティストとしても大活躍中のもんたなど、これまでの“カリスマ”の枠を超える“スター高校生”を輩出。同年度に公開された全8シーズン全体としては、ABEMA 総合番組ランキング(2025年)にて堂々の首位を飾ると同時に、『夏休み編2025』単独では2016年のABEMA開局以来、同局が制作してきたオリジナル番組における週間視聴者数で最高記録(※)を叩き出すなど、番組の人気は“安定”を超えて、もはや“覇権”となった。

 その一方……いや、むしろ多くの視聴者が伴ってだろう。全8回の旅のうち、最終的に新たなカップルが誕生したのはうち6回。成立数にして、合計8組に留まっている。

 この数は、例年に比べて決して“多い”とはいえない。筆者は2020年、コロナ禍とともに始まった『青い春編』からリアルタイムで番組の歴史を辿っているものの、1回の旅で複数カップルが誕生することは当たり前だといまだに感覚のズレがある。カップル成立を見られない旅なんて、当時にして本当に衝撃でしかなかった。だからこそ、昨今の『今日好き』で高校生たちの幸せな旅の終わりを目撃できると、数年前とは比にならないくらい、ほっと胸を撫でおろしてしまう。

 高校生たちはいま、本当に慎重に恋をしている。キーワードとなるのは、相手の“素”に、“長続き”。もちろん、誰だって付き合ってすぐに別れたくはない。ただ、ややメタ的な話をすると、カップル成立=ふたりでの関連メディアへの露出の増加であり、それでなくとも単純にいまは多くの注目が集まる。そうなると、視聴者からもさまざまな意見が届いてくる。これまで以上に慎重になるのも、無理はない。一方、このあたりはポジティブな側面として、2026年4月現在で交際2年前後、あるいはそれ以上を経過したカップルが複数存在し、“長続き”のロールモデルが形成されたこともあると付け加えてはおきたいが。

■“転換期”迎えた『今日好き』 背景に『すぱのび』の誕生

 さておき本稿で考えるのは、冒頭に記した“大きな転換期”が具体的にいつ・どんなものなのかということだ。カップル成立こそ果たしていないまでも、もんた&ひなの“もんひな”ペアが放送から約1年近い現在でもなお絶大な人気を誇っているなど、スター高校生が登場していることもまた、この“転換”を構成する要素のひとつとしてあるだろう。筆者は今回、2025年度に成立し、現在も交際を続けている6組のカップルから、さらに考えられるふたつの要素を紹介していきたい。

 ということでまずは、交際中のカップルを並べてみる。いくつでも構わないので、まずは彼らの共通点を考えてみてほしい。 『マクタン編』・かなりの:かなと(河村叶翔)×りのん(相塲星音)

『夏休み編2025』・きんりの:きんご(内田金吾)×りのん(多田梨音)

『チェンマイ編』・しゅんゆま:しゅん(倉澤俊)×ゆま(谷村優真)

『テグ編』・ゆたひな:ゆうた(西小路侑汰)×ひなた(田中陽菜)・りくもか:りくと(森本陸斗)×もか(代田萌花)

『卒業編2026』・はるねね:はると(今井暖大)×ねね(時田音々)

 第一印象で気になっていた者同士なのは何組? “花くじ”で当たりを引き、特別なデートに参加したのは何組? あるいは、“最後のアピールタイム”を含め、カップル成立までに経験したツーショットの平均回数は? このあたりは本稿の執筆にあたり、全オンエアを視聴してしっかりと調査済みである。が、今回のテーマである“転換”を語るには要素として弱い……あるいは、読者各位がおおよそ想像できる通りの内容だったため、恐縮ながら割愛させていただく。  では逆に、要素として“強い”ものは? そのひとつが、姉妹番組『すーぱーのびしろたいむ by 今日、好きになりました。』(以下:すぱのび)の誕生だ。『今日好き』メンバーが学校を飛び出し、さまざまなことに挑戦する体当たりバラエティ。2024年11月時点で前身番組『今日、全力でやってみた。』が短期間ながら放送されていたことを補足しつつ、やはり2025年度とそれ以前の『今日好き』を比較すると、決定的な違いが『すぱのび』の有無にある。

 なにを隠そう『すぱのび』なくして、“きんりの”なし。ふたりは同番組内の人気企画「私たち、シゴデキ目指します!」にて超難関のイルカショーを成功させ、当時からお互いの存在を意識していた。それこそ、本人たちにこの話題について話を聞いた際、りのんからは「私はもうずっと“きんごくん、カッコいい”って思ってました」なんて発言があったくらい。

 もちろん『すぱのび』で共演すれば、カップル成立が確約されるなんて安直な話ではない。とはいえ、そのほかのカップルとして“しゅんゆま”もまた、成立前に『すぱのび』で共演した仲。その後、旅で再会した際には「ゆまたち、もうちょっと仲よかったくない?」と、他人行儀な空気感を打ち消すのに時間を要していた。しかし裏を返せば、これは再会した時点ですでにある程度の関係値が築かれていたとも言い換えられるし、やはり『すぱのび』なくして、“しゅんゆま”なしとも言いたくなってしまう。

 そして、まだ成立ほやほやの“はるねね”カップル。この流れで触れるのだからもちろん、彼らの恋愛成就にも『すぱのび』がひと役を買っている。このふたりこそ、番組内での共演経験こそないものの、それ以前に『マクタン編』で同じ旅に参加してから約半年以上、はるとは“推し活”がごとく彼女の登場回をチェックし、ねねもまたオンエアを通して彼の性格を事前に把握。次の旅に向けて、自身の気持ちを固める材料にしていたという。

 後者については特に、たとえば男子同士でふざけあうといった仲のよさや空気感ーーつまり、旅で対面しているときに引き出そうとして苦戦しがちな相手の“素”を、画面越しからノーリスクで確認できるのである。なにより、『すぱのび』という“定期供給”があったことで、『マクタン編』以降も気持ちが途切れなかったのではないか。少なくとも、筆者はそう信じたい。

■カップル成立の“決め手”は、女子側からのリード? 価値観に変化か

 そして、“大きな転換”を構成するもうひとつの要因として、カップルたちの“決め手”となったハイライトをいくつか思い出していきたい。“かなりの”の成立を決定づけたのは、“どすこいゲーム”。それぞれが立てた親指の数と同じ文字数かつ、指定された文字から始まる単語を早く言った方が勝ちというルールで、りのん(“相塲”の方)は「す、好き!」「ら、ラブ!」と、かなとへの愛の言葉を連呼。あまりのストレートさに、かなとの心は完全に引き寄せられた。

 “きんりの”の場合は、りのん(“多田”の方)が旅の最終日に用意してきた“きんごくん専用花くじ”。この花くじは最終日前日にも登場したわけだが、その時点ではいわゆる“質問箱”的なものだったものの、そこからバージョンアップしたくじに書かれていたのは、「りのんを選んでくれたら絶対幸せにします♡」。あの瞬間、きんごは「りのんちゃんしかいない」と決意を固めるに至った。この質問箱アプローチは『卒業編2026』にてねねも編み出し、目に見える成果を残していただけに、かなり有効な手段と伺える。

 そのほか“ゆたひな”は、シャイなゆうたに対する、ひなたの「本当に目、合わせてくれないから、もっと合わせてください!」といった、冗談混じりながら相手の行動を“待って”引き出すコミュニケーション。“しゅんゆま”の場合は、もはやカップル成立がほぼ確定な状態ながら、自身の告白に対して「はい! しゅんくん、言って! 叫ぶ!」と返事を煽るなど……なんだか、女子側からの明確なリードが多くはないだろうか?

 そう、大切なのはここである。恋愛において、なんだかんだで女子は“される側”ーー手繋ぎも男子にリードされたいし、告白だって楽しみに待っていたい。そんな価値観が、いまの高校生たちが生まれる前からずっと根付いてきたと思う(ちなみに2025年度、男子からの告白は8回中3回に留まった)。

 だが、昨今の『今日好き』では、なにを考えているのかわからない男子を引っ張るサバサバ女子だったり、あるいは普段は気弱ながら、ここぞの場面で先輩らしく振る舞う年上女子だったり。むしろ、女子も頑張り、男子の気持ちを引き上げる恋愛が当たり前になってきたように映る。りのん(“多田”の方)が告白の場面で伝えた「絶対に、きんちゃん(きんご)を幸せにします」という言葉。あれこそ『今日好き』が迎えた“大きな転換期”を、なによりも象徴しているのではないだろうか。

 こうした価値観の変化は『今日好き』を通して、リアルな高校生たちの恋愛にも影響を及ぼしている可能性すらあるのではないか。ともあれ筆者はすでに彼らとひと回り以上も年齢が離れているため、残念ながら確認する術を持ち合わせていないのだが、我々が持っている“恋愛は男子が主導すべき”という考え方は、今や古い感覚なのかもしれない。

 以上が、2025年度の『今日好き』成立カップルから考える傾向分析、そこから進んで番組全体が迎えた“大きな転換期”への考察だ。台本はないけれど、ドラマはある。記念すべき10年目なだけあって、今年度も間違いなく大きな変化は起こるに違いない。だが、『今日好き』は視聴者を裏切らない。なにが変わろうと、この一点だけは絶対に揺らがない。だからこそ、我々は今年も画面の前で、勝手に“見届け人”の役目を全うしようとするのだ。

(※)2025年9月8日~9月14日の1週間のうち、『今日、好きになりました。夏休み編2025』を視聴した人数(被り含まず)。これまでに放送した特番を除く、シリーズ放送を行っている番組において最高視聴者数を記録。

(文=一条皓太)